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・・・というご相談、意外に多いんです。
なので、今回はみんなによく起こる「黄色い液体を吐く理由」と
「どうしたらいい?」をまとめてみます。
うちのCoCoっちも朝、黄色い液体を吐く時があります。
黄色い液体は胆汁で粘り気があり、泡立っている状態で、
そんなものを吐いたのが初めてだとかなり心配になりますが、
「黄色い(緑の場合も)胆汁の嘔吐」は一般的には正常で心配ないものです。
(ただ、心配すべきものもあるので、それにも触れておきますね。
命にかかわる突発性のものもあるので要注意です)
犬は本来、吐きやすい動物ですが、
ただ、あまりにも頻回に吐く場合は心配になりますよね。
なので、ここではその原因をはっきりさせておきましょう。
原因と対処を知っておけば、大丈夫!
きちんと予防で「ママに任せなさい!」です。
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胆汁は十二指腸に分泌される消化液で
肝臓で生成されて、胆のうに蓄えられます。
胆汁は消化酵素であるリパーゼを活性化させる働きのある液体で
脂肪を水に溶けやすくすることで、脂質を消化吸収させやすくします。
胆汁は十二指腸から小腸に流れて消化を助け、
その後、また肝臓に戻るのですが、その際に蓄積し、
幽門括約筋を通って、胃に流れ込むことがよくあります。
流れ込んだ胆汁は食道にまで達することもあります。
胃が空っぽな状態(空腹時間)が長く続くと、
この胆汁に含まれる胆汁酸が胃を刺激することで吐き気が起こり、
黄色や緑色の胆汁を吐くことがあります。
これは「胆汁性嘔吐症候群(bilious vomiting syndrome)」と呼ばれます。
朝、起きてすぐに吐いちゃうという子が多いのは
こういった仕組みによる「空腹時間が長すぎ」によるもので、
最も単純な理由で、最も多い理由です。
では、単純でない他の理由とその対処法も考えてゆきましょう。
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胆汁を吐くこと自体は正常な反応なのですが、
それがあまりに頻回に続くと、胆汁酸の刺激によって
潰瘍を発生させる可能性があります。
また、胃腸の炎症反応から発する熱が胆汁嘔吐の原因の場合もあります。
やや脱水気味だったりで、体内を循環する水分量が不足すると
熱が発生し、空腹時の嘔吐が起こります。
この場合の嘔吐は、胃を冷やし、熱を下げてくれます。
私たちの場合は、胆汁は食事をした時だけ放出されます。
しかし、わんこたちの消化器系は、食事をしていなくても胆汁と酵素を放出します。
これがわんこに胆汁性嘔吐症候群が起こりやすい理由です。
(わんこは吐きやすい動物といわれる理由の一つです)
わんこが年を取るにしたがって、こういった「空腹時の嘔吐」は多くなります。
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この問題の対処は簡単です!
夜ごはんから朝ごはんまでの時間が長い場合は
寝る前に軽いスナックをあげましょう。
また、お食事が1日1回の場合は2回に、
2回の場合は3回に、間におやつをあげる・・・というように
「空腹が長く続くのを避ける工夫」をしてあげてください。
また「腹持ちのよい食事」を工夫してあげるのも良いことですが
また「腹持ちのよい食事」を工夫してあげるのも良いことですが
炭水化物を増やし過ぎるのも良くないので
あくまでバランスを崩さないように工夫してあげて下さいね。
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カリカリフード(市販の乾燥ドッグフード)は
胆汁嘔吐を引き起こす可能性があります。
カリカリフードは消化管の水分を吸収しますので、消化管を乾燥させ、
(上で述べた)「熱」を増加させる可能性があります。
カリカリフードは水を吸収して、胃を拡張させ、胃酸を過剰生産させます。
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できればカリカリフードを避けて、新鮮な自然食品、生の食事を推奨します。
それが不可能で、カリカリフードを続ける場合は食事の回数を増やして、
小分けにしてあげることで胃の拡張や胃酸の過剰生産を抑えられます。
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特定の食品に対して過敏な反応をする場合は
胃炎を起こしやすく、胆汁の逆流を引き起こやすくなります。
特定の食品は免疫反応による急激な炎症を引き起こし、
このことで過剰な胆汁分泌による吐き気が引き起こされます。
この場合は腸の蠕動運動の亢進による下痢を伴うこともあり、
うんちの中に未消化の食物が見られることもあります。
大豆、トウモロコシ、小麦など一般的にアレルゲンとなりやすい食品以外にも
あらゆる種類の食物が反応を引き起こす可能性も否定できません。
また、熱すぎたり、冷たすぎたりする食事も原因となりえます。
また、目新しい食物へのチャレンジも胃への刺激となりえますので、
まずは少しずつ、反応を見ながら試すようにしてください。
よく草を食べて胆汁と一緒に吐く子がいますが、
これは自然の本能で「胃を冷やして炎症を鎮めるため」です。
この場合はなんらかの食物が関与していることが多いです。
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まずは、胃腸をしっかり休めましょう。
24-48時間の断食
(食事回数の多いパピーの場合は半日でも)
または
24-48時間、食事を骨から作ったスープのみとする
(室温または少しだけ温めたもの)
炎症性の嘔吐は脾臓を弱めるため、冷たい食品は避けてください。
食物アレルギーについては 「かゆいかゆいとアレルギー」 でも触れています。
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嘔吐が慢性的に続く場合は、
毎日の食事の内容や量と嘔吐の時間などの記録をとりましょう。
また、吐いたときの吐瀉物の写真も撮っておくとあとで比較できます。
食事時間・食事内容・嘔吐した日時と時間・内容物の写真・
その他の症状の有無(下痢・発熱・食欲不振・嗜眠など)
これらを記録に残しておくと、検診の時にも役立ちますし、
他の方法では気が付かないパターンに気づくヒントにもなります。
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胃の酸性度を抑え、過剰反応や痛みに効果があります。
乾燥ハーブをご飯に混ぜて1日2回与えます。
小型犬 150mg ・ 中型犬 300mg ・ 大型犬 500mg
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マーシュマロウの根(ルート)は胃を落ち着かせ、熱を下げます。
胃腸菅を保護し、炎症を抑えます。
みじん切りになった根、大匙2を水2カップに一晩浸したものを
1日2回 与えます。
小型犬 小さじ2 ・ 中型犬 小さじ3 ・ 大型犬 大さじ2 ・ 超大型犬 大さじ4
カプセルになったものも使用できます。
その場合は体重に合わせてボトルの指示量を割ってあげてください。
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カモミールは消化管のけいれんや炎症を抑えます。
粘膜や組織をコーティングし、修復し、
酸や短銃の逆流を予防するのにも有効です。
カモミール大さじ2杯に沸騰したお湯1カップを注ぎ、30分浸します。
冷ましたものを1日2-3回与えます。
小型犬 小さじ1-2 ・ 中型犬 小さじ3 ・ 大型犬 大さじ1-2 ・ 超大型犬 大さじ3-4
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リコリスは消化管をコーティングし、冷却効果があります。
急性の胆汁嘔吐や滑焼けを軽減する目的で短期的に使用します。
リコリスはグリセリン抽出液を使用します。
胆汁嘔吐が頻発している場合、
空腹時に1日2回、1-10日間与えます。
小型犬 5滴・ 中型犬 8滴 ・ 大型犬 12滴 ・ 超大型犬 15滴
ハーブデータでも確認してね!
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空腹時の胆汁嘔吐は自宅で対処できるものですが、
その他の症状を併発している場合は、獣医さんにかかる必要がある場合もあります。
以下は、「獣医さんにGo!」な症状です。
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空腹時以外に吐く場合、以下の原因も考えられます。
これらは「獣医さんに即刻Go!」が必要なものたちです。
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慢性的に胆汁嘔吐が続くことに加え、
食欲減退、無気力、脱水、熱、体重減少などの症状がある場合、
IBDなどの炎症性の腸疾患や腸リンパ腫など
胃潰瘍や胃がんなど、胃腸の問題がある可能性があります。
腸疾患に関しては 「タンパク喪失性腸炎とIL・IBD」 もご参考になさってくださいね。
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膵炎の場合は胆汁を吐く以外に、胃の痛みや下痢を伴う場合があります。
急性または慢性があり、脂肪や油脂を消化できないことが原因となります。
膵炎に関しては 「膵臓トラブルと食事」 もご参考になさってくださいね。
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胃の拡張と捻転。これは命に係わる事態で、急に起こります。
胃は多量のガスでパンパンに膨れ上がり(胃拡張)、
膨らんだ胃はクルリと回転してねじれ(胃捻転)るため、
食道との接続部と十二指腸への接続部が塞がれます。
胃がパンパンに膨らんだ状態になっているので、
胃壁とその周辺の臓器に壊死が起こり、血流障害が生じて循環不全に陥ります。
血圧が下がり、重度のショック状態から多臓器不全を引き起こして死に至る怖い病気です。
食後数時間以内に発症し、以下のことが引き金になります。
食後または水を飲んだ直後の運動・1日1回の食事(1回に大量)・早食い
運動前後の水のがぶ飲み・細かくした食事の摂取
(フードプロセッサーで細かくした食事や小粒のカリカリフードなど)
高い台の上に食器を載せた格好での食事
以下の初期症状がないかチェックしてください。
黄色または白い泡を吐く、または吐こうとしても何も出ない
お腹が膨らむ・よだれや頻繁なゲップ・不安げで落ち着かず元気がない
胃痛による背中を丸めた状態・呼吸が荒い
とにかく早期発見、早期対処しかありません。
おかしい!と思ったら、即、受診してください。
原因不明ですが、上記の引き金を避けてください。
また、高脂肪食や発酵しやすい食材を避けることも大切です。
食事も1度に大食いを避け、早食いも避けてください。
運動後のお水のがぶ飲みも要注意です!
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わんこによっては、信じられないものを飲みこんじゃう子がいます。
靴下、硬いおもちゃ、テニスボール、歯ブラシ、ぬいぐるみ、ビニールなどなど・・・
うちのCoCoっちもパピーの時にガジガジしていた歯ブラシのヘッドが折れて
飲みこんじゃいました。吐き出した時には歯ブラシヘッドは
ぺったんこになったプラスチックのヒラヒラした物体に変化していました。
わんこの胃液の強さに驚くとともに「吐き出してくれてありがとう!!」でした。
腸閉塞の症状としては、嘔吐、うんちやガスが出ない、腹痛、
うんちが出ないことで胃や腸内に大量のガスが発生し、おなかが膨らんできます。
異物で消化管が詰まっているので、その部分が刺激されて炎症を起こしたり、
最悪の場合は穴が空いたりします。
腸に穴が空くと腸の内容物が腹腔内に流れ出るため、腹膜炎を起こします。
とにかく、早期発見、早期治療が必要なので、
おかしい!と思ったら、即、受診してください。
飲み込める大きさのおもちゃは与えない、
歯ブラシも自分でさせるときはずっとついて見守る、
(ちょっと目を離した瞬間に折れて飲みこんじゃいました。反省)
飲み込む可能性のあるものは床に置かない
(丸めたプラスチック袋だって飲み込む子がいます)
事故につながらないように、注意してくださいね。
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ジアルジアは嘔吐を引き起こす腸内原虫寄生虫で、
感染した子のうんちをクンクンすることで拾ってしまう場合もあります。
汚染された地面や芝生でのゴロゴロ転がり遊びも危険です。
黄色い胆汁の嘔吐はジアルジアの症状の一つです。
また同時に、大量の下痢や無気力を伴う場合もあります。
うんちを肉眼で見て、ジアルジアかも知れないとわかるチェック事項 :
異常に柔らかい・いびつな形・淡い色または緑がかった色・
極悪臭い・粘液を含む・脂肪が多い感じがする・うんちに血が混じる
これらのうんちの状態と嘔吐や下痢などからジアルジアが疑われる場合は
検便を獣医さんにお願いしてください。
ジアルジアはクローブやガーリックでも退治できます。
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残暑お見舞い申し上げます。
暑いですね~。
コロナで開放的になれない分だけ、余計に暑い。
自粛中でビーチにも行けない日々です。
とにかく暑い。本当に暑いマイアミです。
日本の夏はいかがですか?みんな元気に過ごされていますか?
みんなお散歩には行けていますか?
マイアミではこの時期のお散歩はすっかり日が暮れてからです。
コロナの感染者が急増しているマイアミはまだまだ落ち着かず、
今も出かけるのを自粛している毎日が続いています。
生活必需品の買い物か病院受診以外はお出かけしないのですが
それでもずっと一緒の生活に慣れてしまったCoCoっちには
ちょっとの離れ離れも寂しい!うんと寂しがり犬になってしまいました。
ママが出かけるとエレベーターに乗る音がするまで遠吠えします。
それはそれで可愛くて、マッハで買い物を済ませて帰る日々です。
帰ってくると大喜びで興奮したまま、なぜかまた遠吠え。
「ママが帰ってきたぞ~!嬉しい~!」って言ってるのかな?
そんな喜びの遠吠えだったら嬉しいな。
自粛も長くなっておうち時間をうんと楽しむ習慣も付きました。
一緒に過ごす時間が長くなった分、CoCoっちへの愛しさも倍増です。
最近はなにをするにも意思の疎通がすごい!
身体の一部のようにべったり一緒に過ごしている成果かも!
みんなもパパやママと一緒にお家時間をうんと楽しみながら
元気いっぱいに過ごしていてね~!
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夏は「5エレメント=五行相生説」に基づくと
心臓と小腸にエネルギーが集まる季節です。
この季節は心臓と小腸の働きをしっかりサポートしてあげましょう。
のんびりとツボマッサージでのサポートもお勧めです。
(腸の健康は免疫力を高めますので、小腸のツボも免疫力アップです。)
夏のエモーションは「喜び」!
一緒にいっぱい遊んで、気持ちよくマッサージしてもらって、
喜びの感情をうんと高めて、毎日をハッピーに過ごしましょうね!
Aug.2020
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