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蛋白喪失性腸症って難病なの?
今月のテーマは、蛋白喪失性腸症と その原因であるIL(腸リンパ管拡張症)とIBD (炎症性腸疾患)です。 蛋白喪失性腸症はここ1年の間にとってもご相談が多い病気なのと、 とっても多い「アレルギー」と深く関係があること お客様から「日本では『難治性』『治らない』『一生投薬が必要』『再発』などの マイナスな情報が圧倒的に多いので有益な情報をお持ちであれば、 教えていただけると助かります。 お友達ワンちゃんにも同じ病気の子がたくさんいて、 意外に多い病気だと感じています。 なので、IBDのことをお勉強室でまとめていただけると 嬉しいと思うのは私だけではないと思います。」 ・・・というリクエストを頂いたので、今回取り上げることにしました。
日本では難病と言われていますが、こちらでは自然療法によく反応する病気と言われています。 事実、お客様の中には、サプリメントを7ヶ月続けた結果、 ステロイド剤、抗生物質、免疫抑制剤など、 それまで5種類も飲んでいたお薬の全てが必要なくなって、 今は整腸剤だけで様子をみながら元気いっぱいに過ごしている子もいらっしゃいます。 頑張っている子たちみんながそうなって欲しいので、 家庭で出来ることを中心にまとめることにしました。 みんなもこの子に続け~!!です。 以下は [CARING FOR YOUR PET], [National Health for Dogs & Cats], [Home-Prepared Dog & Cat Diets],[National Health Bible for Dogs & Cats], [Homeopatic Care for Cats and Dogs] などを参考にしています。
蛋白喪失性腸症とは、 血液中のタンパク質が小腸などの消化管から過剰に漏出する病気です。
正常な状態でも、血管から消化管へのタンパク質の漏出は起きていますが、漏れたタンパク質はまたすぐに再吸収されて、身体の中で再利用されます。 しかしながら、何かの病気が原因で、漏れ出るタンパク質の量が異常に多くなってしまうと 血液中のタンパク質が決定的に不足することで、色々な症状が出てきます。 タンパク質が消化管に漏出してしまう原因としては、
消化管の炎症、腫瘍、出血、寄生虫、感染症、心疾患や循環障害、自己免疫疾患などによるリンパ系の異常や毛細血管の透過性の亢進、 粘膜上皮の異常などで、リンパ管拡張症と炎症性腸炎が一般的な原因です。 (その他の原因として消化管型リンパ種のもあります)
腸リンパ管拡張症は、蛋白喪失性腸症の原因の一つで、 胃腸内の粘膜内、粘膜下織、またはその両方のリンパ管が拡張する疾患です。 ミドルエイジ(中年)の犬に発症することが多いと言われています。
リンパ管はリンパ液を通している管で、血管ともつながっています。腸リンパ管は腸から吸収した脂肪酸をタンパク質と結合させて身体に取り込むための管で、 腸の血管と平行して走り、胸管を経て大静脈に流れ込みます。 リンパ管や胸管の閉塞や奇形があると、リンパ管内圧が上昇することで 大量のリンパ液が漏れ出ます。 リンパ管を直接圧迫するリンパ腫、静脈圧の上昇によってリンパ腔内圧を高める肝硬変、 うっ血性の心不全である右心不全、心内・外膜炎などによっても リンパ液の流れが悪くなり、流れが滞った所から大量にリンパ液が漏出します。 リンパ管の拡張に伴い、二次的に炎症性腸炎を発症する場合もあります。
リンパ液が腸内へ漏れ出すことで本来なら身体に吸収されるべき脂肪酸とタンパク質が吸収されずに失われます。 その結果として、下痢・食欲不振・体重減少・低蛋白血症・低コレステロール血症・ 低カルシウム血症・リンパ球の減少などが起こります。 まず、腸からのタンパク質喪失を食い止めることが一番の治療となります。 低脂肪で、良質のタンパク質のご飯を与えます。 (高脂肪食はリンパ管への負担を増大させますので、低脂肪食とします)
低コレステロール血症に対しては吸収時に負担とならないMCTオイルを使用します。
MCT(Medium Chain Triglycerides) とは、中鎖トリグリセリド(脂肪酸)のことで、ココナツオイル、パームカーネルオイル、牛乳や乳製品の脂肪分、母乳などに含まれるもので 炭素数が5-12の脂肪酸からなり、(ちなみに炭素数2-4は短鎖脂肪酸、12以上は長鎖脂肪酸) 炭素数が低いため消化吸収がよく、エネルギー効率に優れたオイルのことです。
身体に入ったあと、身体に蓄積されることなく素早くエネルギーに変わるため、低エネルギー状態の場合のエネルギー源として優れています。(腎臓治療食にも用いられるオイルです)
* 普通の植物油は長鎖脂肪酸(LCT= Long Chain Triglycerides)なので、リンパ管、静脈を経て、脂肪細胞、筋肉、肝臓に蓄積されて、必要に応じて分解されてエネルギーに変わりますので エネルギー効率としては悪いものとなります) 中鎖脂肪酸も同じ経路で代謝されますが、「蓄積しない」ですぐにエネルギーに変わります。 補助として炎症性変化を抑える抗炎症薬と、細菌増殖を抑える抗生剤を併用します。
うっ血性心不全や肝硬変、リンパ腫など原因となる病気がある場合はその治療も必要です。
炎症性腸疾患とは、突発性の腸炎で、嘔吐や下痢を起こします。 ウンチに血が混じることもあります。
IBDは犬と猫の胃腸問題で一般的に原因不明と言われるように、誤診されやすく、嘔吐、下痢や体重減少などの 慢性の問題につながる場合もあると言われます。 原因が分からず、いろいろな検査を行った結果、 他のどの病気にも当てはまらない場合にIBDと診断されることも多い病気です。
診断は腸の内視鏡検査(エンドスコピー)で採取した生検標本の検査によって決定づけられます。この検査は腸内にチューブを挿入するため、弱い麻酔をかけて行う検査です。
急性結腸炎では、好中球および上皮の変質を伴う粘膜の浸潤および潰瘍形成があります。
慢性大腸炎は、プラズマ細胞とリンパ細胞の粘膜の浸潤、繊維症および時々見られる潰瘍形成が特徴です。
杯状細胞は過度の多量の粘液を分泌するために刺激されます。血液検査では、一般的には、低アルビミン血症、 低グロブリン血症をともなう低蛋白血症が見られます。 IBDの正確な原因は知られていません。
知られているのは、それが自分の消化器を攻撃する免疫病であるということです。
白血球、抗体および様々な化学薬品は胃、小腸および(または)大腸に蓄積し、細胞を破壊します。
細菌、寄生虫、真菌、コクシジウムまたはジアルジア、尿毒症、外傷、アレルギーの原因が仮定されます。 また遺伝適素因も疑われます。 食事や細菌の要因、遺伝的素因、神経や血管に影響を与える精神的な病因、 伝染または寄生疾患の後遺症も関与しているとも考えられています。 バクテリアやイースト(例えばカンジダ・アルビカンス)は、 慢性胃腸疾患のあるペットの腸では異常繁殖する可能性があること、 抗生物質の長期にわたる使用、蛋白漏出性腸炎、食物アレルギー、腸内環境の崩れは、 腸内での毒素を産生し、腸を過敏にさせて、IBDを誘発する因子になるかもしれません。 大腸は消化された廃棄物を収集し、保存する役割があります。 大腸は、食物を最終的な廃棄物の状態にしながら体外排泄に向かって 未消化の食物を押し出す長い筋肉の管です。
胃で分解された食べ物は、その後小腸を通過しながら、腸液と混じり、有益なバクテリアと混じって分解、消化されて、体内に吸収されます。 腸液と混じって分解された食物が大腸に入ると、 そこで更に粘液および大腸内に存在する常在菌と混ざり合い、再吸収されやすい形となります。
大腸の壁は、多数のレイヤー(層)から成っています。腸壁の表面には長い大腸を通過する間に消化不良の食物を絞る役割を果たす平滑筋層があります。 内部の層または粘膜は、流体と接触すると水と電解質の吸収ができるようになっていて ウンチを固めるのを助けます。 粘膜層は結腸の炎症が発生する場所で、大腸炎の症状を呈する場所でもあります。 大腸炎とは幅広く大腸の炎症を指します。 感染症や貧血、そして自己免疫反応など、大腸炎の原因には様々なものがあります。
大腸炎の中でも潰瘍性大腸炎は身体の免疫システムが大腸を攻撃し、炎症を引き起こす自己免疫疾患であると考えられていて フードアレルギーもその大きな原因の一つです。
自己免疫反応が起こっている場合は、食物は通常より速いスピードで腸の中を移動します。この通常とは違う食べ物の流れ方はやがて腸壁を厚くして 炎症を起こしたような感じに変化してゆく原因となります。
腸の内壁でバクテリアや細菌と闘うはずの力が低下し、炎症を起こした場合、痛み、疝痛、下痢を引き起こします。 もろくなった腸壁は出血しやすくなり、悪玉菌が増殖します。 こういった腸内バランスの崩れにより食物を有益に分解する善玉菌が減ってしまい、 せっかく摂取した食物の栄養分の分解・吸収を妨げます。
水と電解質の吸収も阻害され、結腸がナトリウムを吸収する能力も阻害されます。また、腸の運動性も制限されます。
また、他の臓器と同じように、大腸はそこに酸素を豊富に含む血液や栄養素を提供する動脈、そこから二酸化炭素や乳酸を排出する静脈といった血液供給システムを持っていますので、 貧血や循環障害など、血液供給を減少させる疾患も大腸の炎症を引き起こす可能性があります。 炎症が腸の上の部分で起こっている場合は、吐き気や嘔吐などの症状が出るため 食欲も低下するかもしれません。
炎症が腸の下の部分で起こっている場合は、ウンチの状態は安定せず、頻回だったり、水分を多く含む下痢便だったり、粘液便だったりします。 ウンチが腸を移動する際に痛みを伴う場合も多いです。 直腸で炎症が起こっている場合は、ウンチに鮮血が混じることもあります。 こういったことから、食欲不振、栄養失調、体重減少、 そしてしばしば貧血の症状を呈します。
IBDは、犬の慢性的な嘔吐や下痢の一番の理由となる場合が多々あります。 IBDにはいくつかの異なるタイプがあります。 これらは腸で見つかる特定の種類の炎症性細胞の増加によって、それぞれ特徴づけられます。 以下はタイプ別症状とその一般的な(従来の)治療法です。 タイプ
症状と特徴
治療法
Lymphocytic-plasmacytic colitis リンパ球プラズマ細胞性 大腸炎
- リンパ球のプラズマ細胞(形質細胞)性大腸炎は犬と猫の両方で見られる大腸炎で、蛋白流出性腸炎の原因となる腸炎です。
- 典型的所見で、固有層にリンパ細胞と形質細胞の増加が認められます。(粘膜下組織と筋中には少ない)
- 発症年齢のほとんどがミドルエイジ(中年)と言われていて男の子でも女の子でも起こります。(好発性別はありません)
- 好発犬種はジャーマンシェパードと言われています。ネコの場合は純血種でミドルエイジに好発すると言われています。
- 低アレルギー食
- 抗生物質
- 副腎皮質ステロイド
Eosinophilic colitis 好酸球増加性大腸炎
- 好酸球性大腸炎は、粘膜における好酸球の増加によって特徴付けられます。
- ウンチは軟便になり、痩せてコートの艶がなくなります。
- リンパ球プラズマ細胞性大腸炎よりも一般的です。
- 若い年齢に発症しやすく治療が困難です。
- 感染性病原体や寄生虫、食物アレルギーが原因と考えられますが、どれも立証はされていません。
- CBCでは、好酸球の増加が認められる場合があります。
- 好酸球増多が見られるネコの場合は、好酸球性腸炎の疑いだけでなく、肝臓, 脾臓, 腸間膜リンパ節、腎臓、副腎、および心臓の疾患を疑う必要があります。
- 寄生虫の駆除
- 副腎皮質ステロイド
Granulomatous enteritis 肉芽腫性腸炎
- 肉芽腫大腸炎はまれであり、腸(最も一般的には回腸と大腸)の分節、肥厚、部分的に妨げられた部分が所見としてあげられます。 それは、固有層の中でマクロファージと粘膜内の他の炎症性細胞の存在によって特徴づけられます。
- 組織の特性により、腸内寄生虫、ネコの伝染性の腹膜炎、異物、真菌性疾患二次炎症を排除することが重要です。
- 組織学的特徴のため、菌類の病気、腸内寄生虫、ネコの伝染性腹膜炎 異物、真菌性疾患二次炎症を排除することが重要です。
- 副腎皮質ステロイド
- メトロニダゾール(抗原虫薬、抗菌薬)
- 一般的には外科手術が推奨されていますが、この方法も論争の的になっています。
Neutrophilic colitis 好中球性大腸炎
- 好中球は、炎症部位に浸潤し、スーパーオキサイドアニオン、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)-α等を産生し、炎症を促進する作用を持っています。
- 好中球が関与する炎症疾患としては、大腸炎以外にも、関節炎、関節リウマチ、強皮症、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、結膜炎、好酸球増多症、ブドウ膜炎、円形脱毛症、湿疹、水疱症、天疱症、直腸炎、好酸球性胃腸炎、潰瘍性大腸炎、食物アレルギー、多発性硬化症、ネフローゼ症候群、I型糖尿病、扁平上皮がん、肺がん、過敏性腸症候群、炎症性肺疾患、炎症性大腸疾患、肝炎、膵炎、アレルギー、潰瘍、肺、心疾患、循環器疾患、炎症性皮膚疾患、髄膜炎等の炎症、虚血)、脳障害などが知られています。
- 抗生物質
- 副腎皮質ステロイド
Histiocytic ulcerative colitis組織球性潰瘍性腸炎
- 大腸炎の中でも潰瘍性大腸炎は身体の免疫システムが大腸を攻撃し、炎症を引き起こす自己免疫疾患であると考えられています。
- 潰瘍性大腸炎は直腸に始まり、徐々に大腸全体に広がる可能性があります。
- 症状としては腹痛やしばしば血便を伴います。
- 低アレルギー食
- 抗生物質
- 副腎皮質ステロイド
まずプレドニゾン(副腎皮質ステロイド)のようなコルチコイドを 高用量で2-4週集中的に治療します。 その後ゆっくりと時間をかけて、 臨床的症状が再発するのを防ぐ最低の服用量に徐々に減少します。 プレドニゾンに反応しないペットについては、 イムランのようなよりよく効く化学療法薬が必要かもしれません。
また、メトロニダゾールまたはチロシンのような抗生物質もよく処方される薬です。
これらの薬は両方とも炎症を縮小するのに役立つことができるだけでなく、炎症性腸疾患のペットにおいて一般的に起こる 二次的なバクテリアの繁殖を防ぐことが可能です。 まずは高用量のステロイドで 胃あるいは腸に生じている炎症をすべて完全に抑えてしまいます。 そして一旦、症状が安定したら、 注意深くステロイドを減らして、自然療法に切り替えます。
IBDは、実は、自然な治療方法が非常にうまく適応する病気です。 ほとんどの場合、薬物療法の慢性的な(継続的な)使用は必要ありません。 Dr.Shawn Messonnier, D.V.M. は、以下のように述べています。 私の試みにおいて、大部分のペットは、適切なダイエットと補助食品によって 順調に維持できていれば、どんな薬物治療も必要としません。 ただ、どうしてもプレドニゾンのような薬を必要とするペットの場合は、 週に1度か2度、副作用を心配する必要のないくらいの低用量を与えます。 適切な食事を見つけることは、IBDの最も重要なポイントです。 まず最初に、今までその子が食べたことのない(例えばウサギや鹿肉などの) 新しいタンパク質を使った食事を与えます。 一旦症状が安定したら、こういった自然な食事療法で維持することがとても大切です。 あなたのペットのために最適な食事を見つけるためにホリスティック獣医に相談してください。 サプリメントは、炎症性腸疾患のペットのための治療の主力となります。 ハーブやホメオパシーを含むいろいろなサプリメントの中から あなたのペットに最適なものを選び出してください。 同じ病気であっても症状は微妙に異なりますので、 従来の薬物療法から切り離す為には いくらかの試行錯誤が必要になるかもしれません。 私は、最低限必要なものとして次の成分を含むサプリメントを処方します。
IBDが、食物の消化不良と栄養分の吸収に不備をきたすために 我々は損傷を受けた消化器官の仕事を助ける必要があります。 消化酵素を食事に加えてあげることは、胃腸が食物をきちんと消化吸収する上で必要です。
プロバイオテックスは、健康な消化管に常在するバクテリアやイーストです。 これらの善玉菌たちは、腸の細胞損害と悪玉菌の増殖によってほとんど存在しなくなっています。 健康なバクテリアやイーストなど腸の善玉菌を投入し腸内環境を復活させることは 正常な消化活動への立て直しとして非常に大切です。
グルタミンは多くの健康上のベネフィットがある有益なアミノ酸です。 その利点の1つは、損傷を受けた腸細胞用の食物あるいは燃料として役立つということです。
腸の細胞を供給することによって、我々は治癒を促進させ、正常な機能を回復させることができます。
IBDの食事療法 IBDのダイエットポイント
低アレルギー食 - IBDは、免疫系細胞である炎症性細胞が関係した免疫介在性疾患であり、つねに食物アレルギーが原因の可能性があるといえるため、食事は腸の免疫系が [異物] と認識しないタンパク質、炭水化物、脂肪で構成された [低アレルギー食] を与えなければなりません。[CARING FOR YOUR PET]
- ライスは非常に消化に優れた食材なので、推奨される炭水化物です。また、ポテト、コーン、タピオカなどは、グルテンは全てグルテンを含まない食材です。[CARING FOR YOUR PET]
- 炭水化物に関しては逆説もあり、炭水化物をカットした食事で改善したという報告もあります。Dr.Beckerの勧める食事は調理されたターキーのひき肉と良く調理されたかぼちゃまたはスイートポテトという食事です。多くの獣医は学校で習ったとおりの牛肉とライスの食事を勧めますが、牛肉の脂肪が炎症を悪化させると膵炎の原因となる可能性があること、ライスは消化管で発酵する炭水化物ですのでガスと膨満感を引き起こし、炎症を悪化させる原因となります。
- Dr.BeckerはIBDの食事に関して、今まであげたことのない新規のタンパク源、新規の野菜、新規の食物繊維を勧めています。ここら辺はアレルギー食の考え方に準じています。
- 手作り食による症状の改善は、通常1ヶ月から半年くらい時間がかかりますので諦めないで辛抱して続ける必要があります。炎症性腸疾患がある場合は、通常よりも長い時間がかかると覚悟してください。経過をかかりつけの獣医さんと一緒にモニターしてください。[Homeopatic Care for Cats and Dogs]
高消化食 - 胃腸系の疾患をもつペットには高消化食が推奨されます。典型的な食事としては、「低脂肪・低アレルギー・消化しやすい形の炭水化物とタンパク質」が推奨されます。治療食は消化器官への負担を最小限にするために消化酵素を加えます。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- 過剰な糖分やグルテンを含む食事は消化器官に問題のあるペットには消化しにくい食事です。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- 加熱した白米は消化に良いため、推奨される炭水化物源です。白米が食べられないペットやライスをベースとした食事をしていない場合は、タピオカやポテトが代わりとなります。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- グルテンをベースとした穀類(小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦)は、グルテン過敏による継続的な下痢を引き起こす原因となりますのでおすすめしません。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- タンパク質は消化がよく、生物価の高いものを選びます。例えば、カテージチーズや豆腐は推奨されるタンパク源です。カテージチーズは消化されやすく、ほとんどのペットはミルクタンパクに対するアレルギーがないので安心して使用できる食材です。
- 肉類も試しても良いですが、肉に対しての消化能力を落としている場合は、一時的な過敏症として嘔吐や下痢などが起こる可能性もありえます。また、肉類は豆腐と比べて胃液の分泌をより刺激します。こういったことに注意しながら肉類を試したい場合は、赤みの牛肉、またはチキンかターキーを試しても良いでしょう。[National Health Bible for Dogs & Cats]
食物繊維 - 食事内容物に繊維の量を増やすことは、便の軟度と結腸の運動性(筋肉動作)を向上させ、消化を助ける腸内細菌の増殖を助けます。[CARING FOR YOUR PET]
- 胃腸の消化能力を良くして消化組織に負担をかけないことも大事です。そのためにはやっぱり「腸の健康」を保つこともポイントとなります。
- 腸の健康のためには「善玉菌が元気でいること」そのためには食物繊維をしっかり摂って不要なものをお腹に貯めないようにしましょう。
- 回復期には食物繊維を与えます。ポテトや野菜は健康的で自然な食物繊維です。[National Health Bible for Dogs & Cats]
低脂肪食 - 低脂肪食は常に炎症性腸炎に推奨される食事です。脂肪分を徹底して抑えた食事を与えた場合と12-30%の脂肪分を含む食事を与えた場合と比べた時にその回復の差は歴然としています。[Home-Prepared Dog & Cat Diets]
- 食事中の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合を比較した場合飽和脂肪酸の多い食事の方が炎症性腸疾患の回復をより促進させてくれます。このことは、例えば、コーンオイルなどのリノール酸の多い食事は回復を損なうということです。不飽和脂肪酸が少ない食事を供給することは、必須脂肪酸欠乏を引き起こしますが、このことは炎症性腸疾患よりも有害ではありません。[Home-Prepared Dog & Cat Diets]
- 過剰な脂肪分は下痢を誘発する原因となります。[National Health Bible for Dogs & Cats]
ナチュラルトリートメント
消化酵素 - 食事に消化酵素を加えることをお勧めします。もしも膵臓から採取したパウダー状の酵素、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンが入手できればベストです。しかし、植物から採取したパパイン、ブロメランなどでも充分に効果が期待できます。ただ、製品に人工的な合成物が混じっていないことを確認してください。[Homeopatic Care for Cats and Dogs]
- 治療食には消化器官への負担を最小限にするために消化酵素を加えます。消化酵素は炎症性腸疾患など多様な疾患に推奨されます。消化酵素には膵臓酵素、微生物酵素、植物酵素があります。膵臓酵素は膵臓疾患があって消化酵素が不十分である場合に使われます。植物酵素は膵臓酵素と比べて、より広範囲のpHレベル(pH3-9)で働くことができますので、ほとんどのケースに適用することができます。[National Health Bible for Dogs & Cats]
・・・自然の優しい消化酵素とプロバイオテックス Paw's A.G.E.・・・
プロバイオティック - プロバイオティックとは身体に良い影響を与える微生物。または、それらを含む製品や食品のことを言います。(病気は体内の微生物のバランスを崩すことで起こるというホリスティックな概念から、体内環境を整えるために、乳酸菌に代表される善玉菌を食品から摂取することで、消化器系のバランスを改善し、病気の発生を未然に抑えることができるとされます)
- プロバイオティックの代表的なものがアシドフィルス菌です。アシドフィルス菌は、ブドウ糖を発酵させて乳酸を産生する乳酸菌で小腸に住んでいる腸内乳酸菌です。有害菌の繁殖を抑え、善玉菌を増殖させ、腸内環境を整えてくれます。
- プロバイオティックには、クレモリス菌、ビフィズス菌などの動物性乳酸菌と、アシドフィルス菌・ラクトバチルス・プランタラムやラクトバチルス・プレビスなどの植物性乳酸菌がありますが、植物性乳酸菌は腸内生存率が動物性乳酸菌の10倍 とも言われています。
- いろいろな食品に含まれている添加物の中には、身体の中で発がん物質に変わる変異原性という性質を持っているものがあるのですが、プロバイオティックスたちは侵入した病原体と闘う過酸化水素とバクテリオシンを作りながら、この変異原性をおさえるはたらきをしてくれるのです。
- こちらでは抗生物質を投与する場合に一緒にアシドフィルス菌を処方されることも多く、その理由は、抗生物質は腸内の有益菌を殺して下痢やカンジタ症の原因となるからなのです。(大腸菌等への抗菌作用)
- アシドフィルス乳酸菌が作る乳酸や酢酸は腸に刺激を与えて、腸の動きを活発にさせます。このことで食物の消化吸収がスムーズになってウンチも速やかに排泄されるようになるのです。この事は、悪玉菌が食べ物を分解して作る有害物質を腸内に長時間ためないで体外に出すって事を意味します。ウンチ自体も、悪玉菌の減少で、有害物質の少ないいいウンチになるんですよ。ちなみにアシドフィルス菌の好物はりんごなどに含まれる食物繊維のペクチンです。なので、アシドフィルス菌を元気にするためにはりんごを一緒に取ると良いとも言われています。
- 腸内の悪玉菌の働きがおさえられると、腸から吸収されて血液と一緒に身体中にまわっていた有害物質が減ります。これは身体の中からきれいになる基本と言えます。
- プロバイオティックスで元気になる腸内善玉菌の中には免疫機能を活性化させてウイルスや細菌、癌から身体を守ってくれるインターフェロンの生産を助けるものや癌細胞を殺すキラー細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化させるものもあります。(以上、Paw's A.G.E.の商品ページより抜粋)
・・・プロバイオテックスと自然の優しい消化酵素 Paw's A.G.E.・・・
フラクトオリゴ糖 - フラクトオリゴ糖(Fructo-oligosaccharides=FOS)とは果物や穀類などに少量含まれている糖分で、(Fructo はフルーツの意味でoligosaccharide とは炭水化物の一種を指します)善玉菌のビフィズス菌の餌になるもので、プロバイオテックスの一種です。悪玉菌には作用しないのが特徴です。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- フラクトオリゴ糖は腸内の善玉菌にとって有効な環境を与えます。 犬とネコに0.75%~1.0%(乾いた物質としての量)を与えたところ、腸内の大腸菌が減少し、乳酸菌が増えたことが証明されています。 [National Health Bible for Dogs & Cats]
- 人々のためのFOSの所要量は1日約2.0gから8.0gの間です。ペットのための正しい服用量は決められていませんが、あるペット用のサプリメントは、50ポンドの犬の用量としてFOSを50mg含みます。研究では、乾いた物質としての量として考えた場合、FOSの量が食物の0.75%~1.0%であったとき、最も効果を示しました。[National Health Bible for Dogs & Cats]
グルタミン - グルタミンまたはL-グルタミンはアミノ酸の一種ですが、それは体内で作られるアミノ酸であるため他のアミノ酸とは区分されて「条件付き必須アミノ酸」と呼ばれます。
- グルタミンは血液中に最も多く含まれるアミノ酸で、タンパク質の構成分子ですが、強いストレス下では、体内で作られるアミノ酸は減少し、身体の需要に追いつかなくなります。
- グルタミンは免疫システム、消化器官、筋肉細胞など身体の機能維持と健康を支える重要な物質です。
- グルタミンは消化管の粘膜を保護するのに役立ちます。 このため、一部の専門家はグルタミン欠乏はIBD(潰瘍性大腸炎)およびクローン病の発症に役割を果たす可能性があると述べています。 これらの疾患は、炎症、感染症、および潰瘍によって大腸の粘膜内層の損傷が起こるのが特徴です。
- いくつかの研究成果では、腸内の細胞の治癒を促進し、IBDによって引き起こされる下痢を改善するため、グルタミンはIBDの治療中に有効なサプリメントであり得ることを示唆しています。しかしながらすべての研究は、決定的な結果を出していないため さらに多くの研究が必要とされています。 しかしながらこれは有意義な可能性ですので、IBDのためにグルタミンを使用するかどうかは、かかりつけの獣医さんと話し合われて決めてください。
- グルタミンは体内に存在するアミノ酸で、その使用において、決められた投与量を守る限り、安全なサプリメントと言えます。しかしながら、多くの抗てんかん薬は脳内でグルタミンをブロックすることによって働きます。そのため、高容量のグルタミン投与は抗てんかん薬の効果を遮ってしまうため、てんかんを持っているペットには危険であるかもしれません。もしもあなたのペットがてんかんを持っていて抗てんかん薬を使っている場合は、グルタミンの使用に関して必ず獣医の監視下で行う必要があります。[National Health Bible for Dogs & Cats]
- 小児、妊婦、授乳中の女性、または重篤な肝障害や腎障害の人に対しての安全な量の上限の目安は証明されていません。同様のことはペットにも言えます。ペットに推奨される量は250-3000mgです。[National Health Bible for Dogs & Cats]
MSM - MSMとはメチルサルフォニルメタン(methyl sulfonyl methane)有機イオウ化合物のことで、抗炎症効果があるとされる物質です。
- MSMは結合組織、酵素、免疫グロブリンの合成に必須のイオウの基で、MSMは体内でイオウを必要とする物質や組織の生成過程で必要なイオウを提供します。
- 鎮痛、腫れや炎症を押さえる作用、皮膚や細胞膜を通過する作用、神経インパルスの伝達を促進(伝達を抑制する酵素コリンステレ-ズの作用を抑制)して、腸の動きを活発にする作用、筋肉の痙攣やつりを押さえ筋肉を弛緩する作用、結合組織のコラーゲンを構成するタンパク質の構造を正常化して、傷跡を目立たなくする作用、回虫駆除作用、免疫機能を正常化して、リュウマチ、狼瘡、膠原病などの自己免疫症を軽減する作用があります。
- MSMは重要な抗アレルギー物質と考えられています。研究の結果、環境毒素、寄生虫とアレルギーに対するバリアーを維持する極めて重要な役割を持っている事がわかっています。
- MSMは鼻孔、肺、皮膚、消化器官の内壁の上皮組織(これらは防御組織の最前列の壁で、内部組織への異物の進入を防ぐ、大切なガード役です)を強化する働きもあります。
DMG - アミノ酸グリシンの誘導体で、ビタミンB15 (Pangamic acid) のことです。DMGは細胞のミトコンドリア内でコリンおよびベタインから生成され、利用量に応じて常に分解されます。多くの食物中にも低濃度で存在している物質です。(ビール酵母、レバー、かぼちゃの種、ゴマ、玄米などにも少量含まれます)
- ビタミンAやEと協力して働きます。
- 組織への血液および酸素供給を増大させる働き、タンパク合成に関与、ステロイドホルモン調節に関与、細胞の呼吸サイクルに関与、一部の細胞の過剰増殖を抑制する作用などがあります。
- 詳しいことはリキッドサラダのページを見てね。
・・・細胞の酸素活性を高め免疫力を正常に! Paw's リキッドサラダ・・・
オメガ3必須脂肪酸 - 炎症性の疾患やアレルギーにはオメガ3脂肪酸を含むフィッシュオイルが推奨されます。オメガ3脂肪酸が損傷された細胞に届くと、炎症を抑えるために必要な正常な免疫システムを整えるために、EPAやDHAを注入します。オメガ3脂肪酸であるEPAやDHAは、炎症を起こさせる有害な物質(炎症性エイコサノイド)をの過剰な合成を阻止し、レゾルビンやプロテクチンといった炎症を治癒する生化学物質を放出することで過度な炎症を防いでくれると言われています。
グルコサミン - 消化を助けるサプリメントにグルコサミン?って、感じるかも知れないけれど、グルコサミンは体内でグルコースから形成されグリコプロテイン、グリコ脂質、グリコサミノグリカンを含む大分子を構成する素材なのです。
- N-アセチルグルコサミンには消化性潰瘍や胃癌等の原因となるピロリ菌の増殖を抑制する作用があります。(Paw's A.G.E.商品ページより)
IBDに有効なハーブ
アロエベラ ・ボスウェリア・カレンデュラ・カモミール・マーシュマロウ・ラズベリーリーフ・スリップリーエルム (各ハーブの使い方や働きはお勉強室のハーブデータをご参考になさってくださいね)
食材については 「症状別食材コーナー」 もご参考になさって下さいね。
今回は最近とっても多い炎症性腸炎を取り上げましたが、 サプリのチカラでお薬が全て切れた子の嬉しいご報告もいただいています。 これは「ちゃんと自然な方法でコントロールできて寛解に向かう」ということです。 みんな希望を持って、頑張ろうね!!
おんもは緑が目に眩しいさわやかな季節。おいしい空気をいっぱい吸って楽しく運動してストレスをためないこと、 これは一番の病気予防です。 シニアさんだって病気の子だって「有酸素運動」はとっても大事! (このことはまた別の機会に取り上げますね)
風薫る5月!!爽やかな風に誘われて、みんな元気におんもにレッツゴ~!!
May.2013
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