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蒸し暑い季節、みんなバテていませんか?
今回はエネルギー不足になりがちな残暑に
細胞のエネルギー産生を司る「ミトコンドリア」を活性することで
細胞レベルでパワーアップしましょう!というお話です。
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ミトコンドリア・・・昔、生物の授業で習いましたよね。
ミトコンドリアは細胞の中に存在する細胞小器官の一つで
エネルギー産生によって細胞の活発な活動を支えています。
まさに「代謝」の要となっているのがミトコンドリアなのです。
ミトコンドリアは二重の生体膜からなり、
独自のDNA(ミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖します。
mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与するほか、
酸素呼吸(好気呼吸)の場でもあります。
細胞ひとつにつき数百個程度含まれ、
特に肝臓、腎臓、筋肉、脳や心臓のような代謝が活発な臓器には、
細胞1個あたり数百から数千個ものミトコンドリアが含まれます。
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ミトコンドリアは、細胞内にあるエネルギー産生工場です。
酸素を使って糖からエネルギーを取り出し、そのエネルギーを細胞内で使える
ATP(アデノシン三リン酸)という形にして細胞に供給します。
ちょっと詳しく言うと、ミトコンドリア内でATP(アデノシン三リン酸)から
ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に加水分解される時に発生するエネルギーで
生命活動は維持されています。
一言で言えば「ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを作る細胞の発電所」です。
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古くなったり傷ついたりして劣化したミトコンドリアは、
自分自身で細胞死という処理をして、新しいミトコンドリアを生み出します。
これは身体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる細胞死で
アポトーシスと呼ばれる細胞周期に関わる新陳代謝です。
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ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に使用する酸素の一部が
微量(約0.1-3.0%)の活性酸素になります。
活性酸素というと酸化による細胞変異などの原因となることで
一般的にはマイナスイメージしかないのですが、
活性酸素は殺菌力を持ち、
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が癌細胞を攻撃する際には活性酸素が使われます。
活性酸素は「微量であれば」このような良い働きもします。
しかしながら活性酸素は通常の呼吸によっても発生するもので
微量にとどまらず、過剰になりやすく、
結局はミトコンドリアを傷つけてしまう因子になってしまいます。
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ミトコンドリアはカルシウムを迅速に取り入れ貯蔵して、徐々に放出することで
細胞におけるカルシウム濃度の恒常性を保っています。
ステロイドやヘムの合成などを含む様々な代謝・
鉄の細胞内濃度の調節・脂質のβ酸化と運搬にもかかわっています。
また、キラーT細胞内でミトコンドリアが活性化することで
キラーT細胞の働きが活発になり、癌細胞が退縮することも分かっています。
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ミトコンドリアは加齢によって数が減ってゆくため
エネルギー不足になったり、アポトーシスが正常に行われにくくなったり、
活性酸素が増えすぎたりといった細胞の老化が起こります。
逆に言えば、ミトコンドリアが元気であれば
エネルギーに満ち溢れ、細胞が健康を維持できるということです。
健康な細胞は「変異しにくい」つまり「病気になりにくい」
細胞がしっかり酸素呼吸をして元気であること!が
「細胞レベルで元気」ということになります。
細胞の酸素効率を高めることで免疫力が上がったり
病気予防になったり、筋力が増強するリキッドサラダの原理も
実はここにあるのです。
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では、そんな素敵な働きをしてくれるミトコンドリアを増やしたり
活性化させたりする方法について考えましょう。
ミトコンドリアは細胞内のエネルギーが足りなくなると
「エネルギーを増やさなくっちゃ!!」と
頑張ってくれる良い子なのです。
細胞が「あ、エネルギー不足だ!」と感じると
ミトコンドリアは自然に増えるようにできているのです。
「ミトコンドリアは細胞のエネルギーを足りなくすることで増えてくれます」
・・・ と、いうことから ・・・
ミトコンドリアを活性化させる具体的な方法は「運動と空腹」です。
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運動などでエネルギーを発散してATPがたくさん使われると
細胞ではAMPKという酵素(AMP活性化プロテインキナーゼ)が活性化して
「エネルギー足りてないです~!体内の脂肪で補ってください~!!」とか、
「ミトコンドリアを増やしてもっとエネルギー作ってください~!」という指令を出します。
空腹の時間が大事!
ミトコンドリアを応援する食材で元気モリモリになろう!
ミトコンドリアを増やす栄養素 ・ タウリン
ミトコンドリアのATP産生における必須栄養素 ・ CoQ10
ミトコンドリアのATP産生に必須栄養素 ・ カルニチン
ミトコンドリアのATP産生を助ける栄養素 ・ ビタミンB群と鉄
ミトコンドリアを増やす運動の方法は
有酸素運動の合間にやや強めの筋トレをはさむ
筋力増強と筋持久力を対象とした「サーキットトレーニング」が良いとされています。
わんこにとってお散歩は「有酸素運動」です。
また、わんこにとっても筋トレは大切です。
パワーウォークは筋トレになりますのでのんびり散歩との組み合わせは
わんこにとって「サーキットトレーニング」となります。
お散歩の間にドッグランで思い切り走るのを取り入れてもいいかも。
「わんこにとって筋トレがいかに大事か」は「筋肉犬のすすめ」を見てね!
パワーウォークとはなにか?と、その方法も説明しています。
パワーウォークやアジリティだけがわんこの筋トレではありません。
お手、待て、伏せおもちゃを目で追うなどトリックを覚えるのも
毎日できる優しい小さな筋トレです。
そして毎日のおもちゃ投げやボール投げも筋トレ!
いっぱい遊んで楽しくハッピーに筋肉を付けましょう!
シニアになってもしっかり歩いたり遊べたりできるように
若いうちから「筋肉貯蓄」をしておくことが「元気貯蓄」につながります。
みんな元気な筋肉犬になりましょうね!
ちなみに、筋トレとか始めると最初はきついですが徐々にきつくなくなりますよね。
これってミトコンドリアが増えた結果だと言われます。
ミトコンドリアって短期でちゃんと増えてくれるんですね。
逆に運動サボって久しぶりにやるとかなりきつい。
これはミトコンドリアが減っているサインでもあるそうです。
ふむふむ・・・納得です。
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運動をすることに加えて大事なのは
「空腹の時間を持つ」
え?これだけ?・・・って思いますよね。
空腹によってエネルギーレベルが下がると
細胞は「あ、エネルギーもっと必要!!」と感じます。
そしてミトコンドリアが「よっしゃ任せて!今作るから!」
「あ、今のスタッフだけじゃ製造が追いつかない!
もっとスタッフの数を増えて頑張ろう!!」
・・・となるのです。
ミトコンドリアは酸素を使って糖や脂肪を分解して
臓器や筋肉などの器官が動くのに必要なATPという物質に変えるので、
このエネルギー代謝がうまくいっていれば、
糖や脂肪を余すことなくたくさんのエネルギーを作れます。
糖や脂肪がちゃんと代謝されるということは
身体に余分な糖や脂肪が残らない=メタボ予防になり、
それが成人病予防へとつながります。
ちなみにメタボリック症候群とは単に肥満のことではなく
「エネルギー代謝がうまくいっていない」ことです。
適度な空腹によって
「エネルギー基礎代謝がしっかり活性化していることが大事」ということです。
うちのCoCoっちは若い時から「半日絶食」をしていましたが
今も朝は軽いスナック、そしてご飯は夕ご飯のみです。
これは2歳を過ぎてから野生に近い食習慣をキープする意味で続けています。
空腹時間をしっかり設けることは、ミトコンドリアを増やすだけでなく
胃腸を休めて免疫を上げることや尿路感染予防にもつながります。
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さらにミトコンドリアを増やしたり活性化させたりする栄養素を取り入れて
モリモリパワーなご飯にする方法も!
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魚介類の血合いや肉類に多く含まれるタウリンは、
ミトコンドリアを増やす働きがあるとされています。
わんこにあげられるタウリンを多く含む食材としては
アジ、サバ、マグロ、カツオ、ブリ、牡蠣など。
あさり、しじみ、ほたて、はまぐり、たこ、かに、いかにも多く含まれますが
たこやいかはわんこにはあげられないので
これらの食材はスープにしてあげるとタウリンが摂取できます。
(タウリンは水溶性の栄養素ですのでスープに良く溶け出ます)
わんこは本来、肉類に含まれているアミノ酸であるメチオニンとシステインから
タウリンを体内で合成することができます。
なのでタンパク質源としてお肉がしっかり摂れている場合は大丈夫!
ただ、タウリン合成能力も年齢やその子のコンディションによって差があります。
心臓病の子は普通よりも多くタウリンを摂取する必要があるので
摂取量について獣医さんからアドバイスを受けてください。
心臓病に関するお勉強室の中でCoCoっちの心臓専門医の意見と
指示されたタウリン量については以下の記事で触れています。
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細胞で使用されるエネルギー形態であるアデノシン三リン酸(ATP)への
炭水化物(最終分解物である糖)や脂肪からのエネルギー変換では、
ミトコンドリア内膜にコエンザイムQ(CoQ)が必要です。
ミトコンドリアでの電子伝達系の一部として、
コエンザイムQは脂肪酸およびブドウ糖の代謝で発生する
還元当量の電子を受け取り、それらを電子受容体に渡します。
同時にコエンザイムQはミトコンドリア内膜の外にあるプロトン(陽子)を輸送し、
膜をはさんでプロトン濃度勾配を発生させます。
このプロトンがミトコンドリア内部に流れ戻る時に放出されるエネルギーが、
ATPを生成するのに使用されます。
ちなみに還元された形態であるCoQ10H2は、効果的な脂溶性抗酸化物質です。
細胞膜にかなりの量のCoQ10H2があって、
酸化されたCoQ10をCoQ10H2に還元できる酵素がともにあることから、
CoQ10H2が細胞の重要な抗酸化物質であるという考えが裏付けられています。
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ミトコンドリア内に運ばれた長鎖脂肪酸はβ酸化によって
最終的にアセチル CoAとなって、TCA回路に供給され、
アセチルCoAがTCA回路を巡りNADHとFADH2とGTPが産生されます。
その後NADH2とFADH2が電子伝達系に受け渡されることでATPが産生されます。
このミトコンドリアのエネルギー(ATP)産生過程は呼吸鎖(respiratory chain)と呼ばれますが
その最初の長鎖脂肪酸がβ酸化機構に供給される工程に必須なのがカルニチンです。
カルニチンはパピーの頃や成犬では肝臓や腎臓で
アミノ酸のリジンとメチオニンから合成するので充分なのですが、
シニアさんになってくると代謝機能の低下によりその生産量が低下してきます。
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豚肉や心臓などに多く含まれる「ビタミンB群」、レバーなどに多く含まれる「鉄」は、
ミトコンドリアがATPを作り出すのを助ける働きをします。
ビタミンB群と鉄を含む食材に関しては以下の記事をご参考になさってください。
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ストレスを受けると身体は副腎から出るコルチゾールというホルモン濃度が上昇します。
コルチゾールは脂質分解作用(リポリシス)を持っているので、脂肪が分解され
血液中にオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が遊離脂肪酸となって放出されます。
遊離脂肪酸はエネルギー源となって細胞内に取り込まれ、
これらがミトコンドリアに組み込まれると、その機能や構造に影響を与え
活性酸素の過剰産生、ミトコンドリアDNAの損傷、
ミトコンドリア内部のマトリックスへの不良タンパク質の蓄積などを引き起こします。
これらの障害は最終的に細胞の変異を引き起こし、
癌や代謝疾患、神経変性疾患などの原因となると言われています。
大切なエネルギー産生工場ミトコンドリアに健康で頑張ってもらうために
身体にも心にもストレスがかからない生活を送りましょう!
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とにかく大切なのは細胞の働きを阻害する因子を除去すること!
細胞が元気でないとその中に含まれるミトコンドリアも元気を失います。
過剰になりやすい活性酸素は増やさない!
これが細胞を錆びさせない第一歩です。
22種類もの抗酸化物質の元気玉!
徹底的な抗酸化に特化したフォーエバーパップの商品名は
「いつまでもパピーのように若々しく!!」の願いが込められています。
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残暑お見舞い申し上げます。
8月も半ば、日本は今年も猛暑が続いているとのこと、
蒸し暑い日々ですが、みんな元気に過ごしていますか?
ちょうど今日のマガジン発行日は日本のお盆ですね。
天使になった子たちも舞い降りてきて
みんなご馳走をいっぱいもらっているかなぁ~。
これからもガーディアンエンジェルとして
どうぞ、可愛いみんなを見守っていてね。
マイアミもうんと暑い日々が続いています。
日中に強い日差しを浴びたアスファルトがなかなか冷めないので
CoCoっちのお散歩も夕暮れのちょっと遅い時間です。
雨も多い時期で、時々はものすごい音で雷が鳴ります。
CoCoっち、今までは全然平気だったのに、
最近はちょっと怖がるようになりました。
空気の入れ替えの時に虫がお部屋に入ってくるとすごく怖がるので
きっとなにかのタイミングでそれが被ったのかもしれません。
シニアになるとちょっとしたタイミングで苦手ができたりしますね。
それともシニアさんになってきて甘ったれ度が増しているのかも。
コロナ禍でママが食事や遊びに出かけることが少なくなって
べったりと一緒にいる時間が増えたので
最近はちょっと食品のお買い物に出るだけで遠吠えします。
そして帰ってきたときは喜びの雄たけびを上げます。
「ママが帰ったぞ~!!嬉し過ぎるぞ~!ワォーン!!」です。
嬉しいのでママも一緒に「ワォーン!」って応えます。
みんなもコロナ禍で甘ったれ度が増しているかな?
コロナはなかなか収束の兆しを見せませんが、
わんこたちにとっては悪いことばかりではないようです。
これからの季節は、日本でも夕立や雷の多い季節になりますが
みんなママにべったり甘えて、頑張って乗り切ろうね!
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