スマホでは横にして見て頂くと読みやすいです
まずは、鉄が体内でどのような働きをするか、不足するとどうなるかからです。 鉄は、体内での吸収率がとても低いので欠乏しやすいため、 きちんと補給する必要のあるミネラルです。 妊娠中や授乳中のママわんこや成長期のパピーには特に必要な栄養素です。 鉄の働き - 赤血球の血色素ヘモグロビンの構成成分であり、酸素の運搬をし、脳や身体の各細胞の働きを高め、成長を促すとともに、体温の維持、病気に対する抵抗力の促進に役立ちます。
- 細胞内で酵素の働きを促す酸素を活性化して、細胞内のエネルギー産生に大して働きます。
- 筋肉内では血液中の酸素を細胞内に取り入れるために働きます。(これはミオグロビンというヘモグロビンとおなじような働きをするタンパク質で鉄を含みます)
不足する事によって起こる問題 過剰症とは? - 鉄は酸素を運搬する役目をしますので、不足すると酸欠状態となり、貧血症状が現われます。
- 鉄は体内で、肝臓、脾臓、骨髄、筋肉内に蓄えられています。単に摂取する鉄が不足しても貧血にはならないで、こういった臓器や筋肉内に蓄えられた鉄が必要に応じて血中に放出されて働きます。なので、貧血症状が現われたときは、これらに蓄えられた鉄が底をついた状態といえます。
- 身体が慢性の鉄不足に陥ると、脳への酸素供給が少なくなることで、神経過敏になったり、集中力や思考力の低下、細胞への酸素供給がうまく行かなくなることにより抵抗力の低下による感染症や、ただれ、胃腸などの働きが悪くなることにより食欲不振、下痢、便秘、慢性胃炎などを起こします。
- 過剰に摂取しても、鉄は体内での吸収率が約8%と非常に低いため、積極的に摂取が必要な栄養素といえます。
鉄にもその吸収率に種類があります 赤みのお肉や魚に含まれる鉄はヘム鉄と言って、その吸収率は約23-25%であるのに比べ、 植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄と言って、その吸収率はたった5%前後です。 この非ヘム鉄はビタミンCの力を借りるとその吸収率が5.7-12.9%に上がると言われています。 また鉄鍋などを使用して調理すると摂取量の増加につながります。 (鉄鍋でトマトなどの酸を含む食品を長時間煮込む料理などが鉄を増やすといわれています)
不足を招く要因 鉄の吸収は食物繊維、カルシウム、精製されていない穀類、豆類の皮に含まれるフィチン酸などで阻害されます。 (食物繊維もカルシウムも玄米や豆類も身体にいい素材ばかりなんですが・・・) 食物繊維に関しては20-30g/dayの摂取で鉄の吸収率を下げることが実証されていますが、 そのままとり続けることで身体の方がきちんと鉄を吸収する働きに変わってきます。
一緒に働く栄養素 植物性の非ヘム鉄は、ビタミンCの働きでその吸収率があがります。 またビタミンB群、カルシウム、銅とも一緒に働きます。
慢性腎臓病の鉄分の必要性
慢性の腎臓疾患の場合は、腸の吸収機能がうまく働かないため、 必要なミネラル分がおしっことして排泄されてしまいます。 特に鉄と亜鉛はおしっこで出てしまいやすいミネラルです。 鉄は赤血球の生産に必要とされるミネラルですので、 慢性の腎臓疾患では、上記のことからしばしば貧血が起こります。 そのため慢性腎臓疾患から起こる貧血にはサプリメントとして補充する鉄は有効です。
コマーシャルフードの鉄過剰の問題点
コマーシャルフードは大いにしてビタミンA、D、鉄、銅を過剰に含んでいます。 これらの過剰は吸収された残りは肝臓に貯蔵され、蓄積しますので、 肝臓にとってダメージを引き起こします。 コマーシャルフードを食べている場合、鉄剤などは 獣医さんからの指示がある場合のみ与えるようにしてください。
評価される日本の海藻類
西洋でもっとも古く海藻に含まれる豊富なミネラル類や微量要素が動物の体の全ての滋養強壮に役立つことを 提唱したのは Juliette de Bairacli Levy という人で、なんと1930年代に提唱しているんです。 彼女のこの提唱はその時代の獣医師の世界では軽蔑されるだけで終わっていました。 しかし今日では、海藻類(こちらではケルプやシーウィードと総称して呼びます)は、 動物の体にも非常に有効なフードサプリメントとして広く使用されるようになりました。 またケルプ(昆布類)やその他の海藻類はミネラルを補給すると共に 水銀、カドニウム、セシウム、プルトニウム、ストロンチウムその他の放射性同位体である 有毒金属の吸収を妨げ、消化器官を浄化する働きもあります。 海藻類には、体の中の「腺」の働きを改善させる働きがあります。(甲状腺が著名ですね) またコートの成長を促進し、正確な着色を促進する働きによりコートや鼻を黒く保ちます。 心臓や腎臓に対して健全な再生、保護に対しても非常に重要です。 全ての海藻類はペットの食事に加えて大丈夫です。 ノースアメリカと日本の健康食品の店ではさまざまな海藻類が売られています。 昆布、のり、わかめ、ひじき、あらめ、これらは茶色の海藻類です。 ダルスと呼ばれる海藻は赤い色をしており、海藻の中で最も鉄分を多く含みます。 アガアガという海藻は日本では「寒天」という名で売られていますが コルシカ島では駆虫剤や虫下しとして売られています。 どちらも説明書に従って使用します。 ここにリストアップされた海藻類は全てペットの食事に加えることができるものばかりです。 アガアガ以外は、パウダーや砕いた形で売られています。 小さな子には一つまみ程度、大きな子には体にあわせた適量をあげてください。 日本では当たり前に食べている海藻類もこちらの文献ではこんな風に紹介されています。 日本の海藻類はこちらでとても評価が高いんですよ。 寒天はこちらでは「Agar-agar」と表示されています。 アメリカ人はあのままわんこにあげたりするのでしょうか?? なのであえて「説明書に従って使用」と書いてあるのかな?? それにしても日本の海藻の事がこっちの文献にこんな風に載ってるのも興味深いですよね。 寒天がコルシカ島では虫下しなのですね・・・それもまた複雑な気持ちですが・・・ こちらではダルスなど、日本では馴染みのない海藻も売られています。
* 以下に海藻類に鉄分が多く含まれているか、以下の表は全て同じ10グラムで比べてみました。 このマークが付いてる食品はチュ~ちゃんご飯に入っています。
クロライドとは「塩素」のことです。 (Chloride とも Chlorine とも言います) え?塩素?!って感じですが、胃液中にも塩酸の形で含まれるものなんですよ。
一般の食塩は塩化ナトリウムで塩素とナトリウムが結びついたものです。 塩分の取りすぎで問題になるのはナトリウムであり、 クロライドは通常は代謝されて過剰なものはおしっこと一緒に排泄されます。
クロライド(塩素)の働き - 胃液の中のペプシンを活性化させてタンパク質の消化促進や胃液のpHの調節、殺菌などに働きます。
- 膵液の分泌を促進させて消化を助けます。
- 他のミネラルとともに血液中でpHバランスの調節をしながら浸透圧の維持に働き、体内の老廃物除去に役立ちます。
- 肝臓の解毒作用を促進したり、駆虫作用もあります。
不足する事によって起こる問題 過剰症とは? - 胃液の酸性度が低下し、食欲不振や消化不良を招きます。
- 体液バランスの崩れなどは、虚弱、無気力、疲労感、水を飲む量の減少、皮膚乾燥や脱毛、脱歯などを引き起こします。
- クッシング症候群や肥満の原因になり得るとも言われています。
- 過剰に摂取したものは通常おしっこと一緒に排泄されます。
塩素にまつわるこんなこと・・・ - 塩素は、水道水の消毒に使われています。PawPawClubでは、お客様に「水道水ではなく蒸留水やスプリングウォーターをあげてくださいね」と提唱しています。これは塩素の入ったお水を飲んでいると、ビタミンB群の産生に大切な腸内細菌の繁殖状態が悪くなるという指摘からなんです。水道のお水はその他いろいろ問題がありますが(詳しくはマルチビタミンのページを見てね)塩素を含むという意味では、腸内細菌に関してが一番の問題と言われています。
一緒に働く栄養素 ソディウムやポタシウムと一緒に働きます。
この地球上のすべての生物(犬、猫、馬、牛、鳥類、羊、トロピカルフィッシュ、 全ての野生動物、そして人間を含みます)に、もっとも必要なミネラルと言えば、塩です。 塩と言ってもテーブルソルト(食塩)ではなく、精製されていない、まったく加工されていない シーソルト(海水の塩)のことを言います。 シーソルトには80-83%のソディウムクロライドが含まれます。 ここで言う「精製されていないシーソルト」とは、食塩のことでも シーソルトとして売っているものの中でも白いものは該当しません。 それらは加工の段階で沸騰させたり熱を加えたりされており、ペットの健康には良くないものです。 純粋なシーソルトとは、わずかに灰色がかった色をしていて、味も食塩とはかなり違うものです。 もしも純粋なシーソルトが入手可能であれば食事にわずかに加えることにより、脂肪の消化を助けます。 また少量をお水に入れて飲ませても同じ効果が得られます。 コマーシャルフードやおやつには嗜好を良くする上で塩分が添加されているものが多いので 過剰摂取とならないようにしてくださいね。
|
銅は英語で Copper と言います。銅は鉄と一緒に働き、貧血を予防し、健康なコートを保ちます。 鉄が充分に摂取されていても銅がないとヘモグロビンがちゃんと合成できない為に貧血になります。
|
|
|
|
|
コマーシャルフードは大いにしてビタミンA、D、鉄、銅を過剰に含んでいます。 これらの過剰は吸収された残りは肝臓に貯蔵され、蓄積しますので、 肝臓にとってダメージを引き起こします。
ナチュラルなビタミンはミネラルと一緒に働くのに対し、 合成のビタミンは体内のミネラルと拮抗して働きます。 ナチュラルなビタミンCは銅と互いのその働きを高めあいながら働くのに対し、 合成ビタミンであるアスコルビン酸は銅を消耗するこという判断で Bruce West, M.D. のように、患者に合成のビタミンを推奨しないドクターは多いのです。
ベータカロチンがヘビースモーカーの心臓発作に効果がなかった際にそれがナチュラルなものでなく、合成のものであったのがわかるまでビタミン療法は非難されていました。 その後、多くの研究の結果によりベータカロチンを多く含む食材を食べている人の方が それらをあまり食べない人よりも心臓発作や発ガンのリスクが低いことが証明されました。 今日ではナチュラルな、または食品をベースにしたビタミンが多く流通しています。 これらは合成のビタミンとは全く違う働きをします。
次回は残りの必須ミネラルの「マンガン、ヨウ素、セレニウム」についてです。 今年もみんなで元気元気なハッピ~わんこでいましょうね。 Jan.2004
-
© Paw Paw Club Inc. All rights reserved.