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まずは消化機能を理解しよう!
わんこたちの消化管の中には 酵素(エンザイム)と呼ばれる小さなタンパク質が存在し、 この酵素が食べ物を消化し、エネルギーに変換する役目をしています。 タンパク質は身体を作るために使われ、 脂肪は細胞壁を作るために使われますが、 炭水化物はエネルギー源となるだけです。 いくつかの消化酵素は胃の中に存在し、 食べ物はその消化酵素酵素によって砕かれ、 その後、膵臓から小腸に出される消化酵素によって 身体に吸収される形となり、消化プロセスが完了します。 わんこたちの胃酸は非常に強い酸性(pH2)で、お酢と同じです。 この強い酸が消化機能だけでなく、 バクテリアや有害物から身体を守っているのです。 この事は 「生食についての検討」 でも触れていますので ご参考になさってくださいね。
生食を検討されているけど踏み切れないママさんたちのご心配が 「骨がもしも消化管に詰まったりしたら大変!」 ・・・というのも私がCoCoっちに生食をあげることで 一番心配だった事も同じでした。 なので、最初に骨をあげた後の観察はドキドキでしたが 案ずるよりも産むが易し!の結果だったのです。 それでもご心配なママさんたちの為にこんな実験があります。 あげようと思っている「生」の骨を(加熱した骨はあげられません) お酢の中に2-3日漬けてみてください。 そうして取り出した骨はまるでゴムのように簡単に曲がるほど 柔らかく変化しているはずです。 お酢は骨のカルシウム(と同時にその他のミネラル分も)を溶かします。 骨はカルシウムがなくなると硬度を失います。 このことはつまり、わんこの胃の中の強い酸が 生の骨のカルシウムやミネラルを溶かし出し(消化)、 足りない消化酵素を膵臓から出してさらに分解し、 それらは全て腸から吸収されるということなのです。 アップルサイダービネガー(リンゴ酢)をお勧めする訳
CoCoっちの基本の生食にはオーガニックのリンゴ酢は必須ですし、 リンゴ酢はお勉強室のいろいろな記事の中でもお勧めしてきました。 リンゴ酢は腸のpHを下げることで、 腸内の殺菌作用が高まり(80-99%の有害なバクテリアを死滅させます)、 腸内を栄養素をより吸収できる環境に整えます。 りんご酢のpHはわんこが生食を食べた場合の腸内と同じpHで、 このpH濃度が健康な腸内環境を保ちます。
ドライフードと生食の大きな違いの1つは含まれるデンプン量です。 ほとんどの生食は炭水化物を全く含まないか、 含んでいても(市販のもの)15%以下です。 しかし、ドライフードの場合はその形状を保つために 最低でも30%のデンプン量を必要とします。 そして多くのドライフードが60%ものデンプンを含んでいます。 最近のドライフードは「グレインフリー(穀物なし)」と 書かれているものも多く存在するのですが、 その表示は「デンプンを含まない」という意味ではありません。 ドライフードの形状を維持するためにはデンプンは不可欠であり、 その原料がコメやトウモロコシの代わりに エンドウ豆やジャガイモに変わっただけの話なのです。 グルテンフリーであってもデンプン量は非常に高いというのが事実です。 そしてこの大量のデンプンを消化することで 消化器官にいろいろな負荷がかかります。
ドライフードに含まれる「デンプン」は胃のpHを上昇させます。 これはわんこに限らず私たちの身体でも同じです。 胃にはペプシンという消化酵素が存在し、 タンパク質をアミノ酸という形にまで分解してくれます。
しかし、ペプシンはpHが2未満の場合にのみ放出されるためデンプンによってpHが上昇した胃の中には放出されません。 このことはつまり、 胃の中でタンパク質がうまく分解できないということです。 また、腸のpHが上昇すると(酸性度が低くなると) 大腸菌やサルモネラ菌のような病原菌(悪玉菌)が生き残り、 消化不良や病気を引き起こす可能性が高くなります。
腸内環境を良く保つことは非常に大切で、腸の健康は全ての要となります。 わんこやその他の肉食動物は生の肉に存在する酵素で 消化のバランスを整えるように進化してきました。 しかし、そのシステムに適さない食事(デンプン)を与えることで 消化器官のpHバランスが崩れ、病原菌からの保護機能を失い、 消化吸収のメカニズムが狂ってくるのです。 消化された(完全な消化ではない形でも)食物が胃から出ると 消化のほとんどを担うすい臓酵素が放出されるためには 必要なpHレベルがあります。 もしも食物内に多くのデンプンが含まれているとpHは上がり、 このことは消化酵素が充分に出ないということを意味します。 つまり消化が充分に行えないので、 食物は未消化なまま小腸に運ばれます。 この未消化な食物粒子が炎症の原因となり、 リーキーガッツ(漏出性腸症候群)と呼ばれる 免疫反応を引き起こす可能性があることを意味します。 リーキーガッツとは小腸の壁から 未消化の食物やバクテリア(細菌)が体内に漏れ出すので それによって免疫障害を引き起こします。
リーキーガッツに関しては「蛋白喪失性腸炎とIL・IBD」 もご参考になさってくださいね。 未消化な食物が大腸や結腸に入った場合、 そこに住んでいる善玉菌たちを混乱させることで 下痢や過敏性腸症候群を引き起こす可能性があります。
上記の実験でもわかるように骨は酸で溶けます。 逆に言えば、胃の酸性度が保たれていない場合は骨が溶かせない。 このことはつまり・・・ 骨が溶けない=消化しない ↓ 必要なミネラルが溶け出さないので吸収されない ↓ 骨が軟化しないので腸に詰まる可能性が出てくる。 (腸閉塞のリスクが出てくる) ドライフードに含まれる大量のデンプンで 胃の酸性度が保てなくなった場合、 こういったことが起こって来るので、 ドライフードと骨付き肉を一緒にあげることは とてもリスキーだということなのです。
以上のことからわかるのは 「消化管のpHの変化が問題である」ということです。 なのでpHの変化をコントロールすることで 消化管を本来あるべき酸性に保てれば 「移行期」のドライフードと生食のコンビネーションも より安全にできる可能性があります。 プロバイオテックス(Probiotics)とは、
腸内フローラのバランスを改善し、
腸内環境を良くすることで
生命体に良い影響を与える「生菌」の総称で、
乳酸菌やビフィズス菌などのことです。
また、腸内の善玉菌の餌となるオリゴ糖などは細菌ではないので
プロバイオテックスではなく、
プレバイオティックス(prebiotics)と呼ばれます。
プロバイオティックスと一緒に摂ることで
腸内で善玉菌が育ちやすくなります。これらを食事に加えることで、善玉菌が優位となり、 大腸菌、サルモネラ、リステリア、カンピロバクターなどの 悪玉菌を押さえ込んでくれる働きがあります。 また、プロバイオテックスのうちの一部の乳酸菌には 腸のpHを低下させる働きもあることがわかっています。 先に書かせていただいたリンゴ酢とともに食事に加えてあげて下さいね。 「プロバイオテックス」 に関しての以下の記事も参考になさってくださいね。 取り入れやすいお助け消化酵素たち+プロバイオテックスはこちら
うちのCoCoっちは生後5ヶ月の末まで粗悪なドライフードで育ち、 運動も充分できない環境で育ちました。
うちに来てからは身体改造計画スタートです!いろいろな文献を読みあさり検討に検討を重ね 納得を何度もしてからスタートしました。 その時の記録が 「生食についての検討」 です。
まずは(それまでの習慣なので仕方なく)ドライフード+加熱食でもやっぱりドライフードは嫌なのですぐに止めて次! ↓ 加熱食+生食(骨までグラインドしてあるもの) ↓ 生食(骨までグラインドしてあるもの) ↓ 生の骨を齧らせてみる→ドキドキでしたが意外にあっさり大丈夫! ↓ 骨付き生肉+オーガニック野菜とフルーツ+サーディン +ケフィアやターメリック、サプリプラスの現在の食事 この経過は 「写真で見るCoCoっちご飯-1」 に載せています。 その後、現在の生食作りに移行する際のベースの生食作りは 「写真で見るCoCoっちご飯-2」 に載せています。
身体は全て食べ物で作られています。 そう思うと、どんな身体に育てたいか?!で あげるお食事の内容も変わってきますね。 完全に変えることが難しくても 少しずつでも「元気な身体作りのご飯」をあげてください。 我が家の移行経過が少しでも 「難しくないよ、大丈夫!」のヒントになってもらえたら嬉しいです。
そろそろ気温もぐんぐん上がってくる季節ですが、 まだまだ6月、暑さはこれから!
みんな美味しいご飯をしっかり食べて、しっかり運動して、ぐっすり眠って、体力を充実させて、 免疫力アップしながら、これから来る暑い季節に備えましょうね! Jun.2017
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