発疹の種類
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見た目などの特徴
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原因
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膿皮症
Pyoderma |
表面性(表層性)膿皮症
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- 小さなブツブツができて拡がって痒くなってきた!・・・これが膿皮症!犬の皮膚病の代表です。
- 膿皮症の原因菌は多くの場合、皮膚常在菌なのですが、なんらかの理由で皮膚のバリア機能が弱くなって感染します。汚れや湿度の高さなどで痒みがあってそこを掻いてしまい、そこから細菌感染を起こして拡がるのが一般的です。
- 免疫力の低下、アレルギーやアトピーがある場合、抗生物質の長期使用で抗生物質に対して耐性のある菌が増えてしまった、高温多湿で最近が増えてしまった、強いシャンプーなどで皮膚バリアが崩れてしまったなどの原因があげられます。
- CoCoっちの場合は工事の噴煙に含まれるバクテリアや腐敗菌に感染した可能性が高いのですが、連日の工事の騒音で免疫力が低下して常在菌のバランスが崩れているのも原因の一つだと考えられます。(同時にお耳の汚れがひどくなったのが、常在菌が増えたことの証拠です)
- CoCoっちの場合はお腹と脇、芝生に触れる部分限定で。ニキビみたいなのが2-3個出来て、あれ?って思っているうちに急に拡がってびっくりしました。
- 一般的にはお腹と背中によくできると言われています。ひどくなると他の皮膚病を合併しますので、早期発見、早期治療が非常に大切です。
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- 表面性(表層性)膿皮症では感染が皮膚の表面だけのごく軽い状態です。
- ニキビのような小さな膿ができてプチっと膨らんでいます。CoCoっちの場合は皮膚の色そのままでニキビみたいになっていましたが、膿が多く溜まると薄い黄色になってる所が出てきました。
- この時点では痒みはありません。
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浅在性(表皮性)膿皮症
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- 浅在性(表皮性)膿皮症では、感染が毛の根元の角質層など、表皮の中に拡がった段階。表面性膿皮症がはじけてその周りが丸く赤く腫れた感じになります。
- CoCoっちの場合はニキビ状のものが弾けた周りが赤くなって、はじけたニキビの部分が白く残った状態でした。
- この段階に移行すると、少し掻くようになってきたので受診しました。
- 毛包(毛の生えている根元)で炎症がひどくなると脱毛を起こします。
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深在性(深層性、真皮性)膿皮症
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- 深在性(深層性、真皮性)膿皮症では感染が真皮まで達した状態で、痒みがひどくなります。
- 皮膚が厚く硬くなったりかさぶたが出来てそこを掻いて出血したりします。
- 全身状態にも影響が出て、この段階まで行くと痒みや痛みで食欲不振になったりして全身症状にも影響を及ぼします。皮膚の深部まで感染しているため、治療が長期にわたるため耐性菌になってしまうと、治るのに非常に時間を要します。
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治療法
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- ごく軽症の場合は、薬用シャンプーと抗生物質の軟膏だけで軽減する場合もあります。
- CoCoっちの場合は薬用シャンプーは使用しないでハーブシャンプーで洗ってティツリーとハーブバターを塗っています。抗生物質軟膏は2日間だけ使用しました。薬用シャンプーは現在まで使用していませんが、この先、またあっちこっちに出てくるようなら徹底した殺菌が必要とみなし、軽いうちに数回だけ使用するかもしれません。(悪化した状態で強い薬用シャンプーを使うと逆に皮膚バリアを壊してしまうので使用するなら軽症のうちが良いと言われます)
- ひどくなると外からのケアにプラス、抗生物質の内服を勧められます。CoCoっちの場合は抗生物質の服用は必要なしの軽度ですが、食事に抗菌、高ウィルス、抗真菌作用のあるラウリル酸を含むココナツオイルと痒みを抑える働きのあるグレープシードの量を増加しました。(両方ともたまにあげる程度だったのを今は毎日あげています)
- ひどくなっている子の場合は皮膚本来のバリア機能の崩れを修復してあげる必要があるので、バランスの取れたお食事、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸の補給と、皮膚を保護する方法でのケアが大切です。
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予防法
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- おしっこ周り、お口周りなどはいつも清潔にしてあげてください。
- 全身のブラッシングで皮膚の風通しを良くしてあげることも大事です。
- お散歩の後、あんよを洗う子は洗ったあと、よく乾かしてあげてくださいね。
- 1度膿皮症になった子は繰り返しやすいと言われます。そんな子は毎日の全身観察を念入りに!CoCoっちも頑張ります!
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膿痂疹
Impetigo |
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- 表面性膿皮症のことを膿痂疹とも呼びます。
- 外皮が破れる水泡状の湿疹で、この水膨れのような湿疹はお腹の毛の生えていない部分によく発生します。
- 膿痂疹は常に軽症で部分的なケアで完治することが多いものですが、まれに慢性化して治療に時間を要する場合もあります。
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- 膿痂疹はバクテリア感染による湿疹でパピーに最も一般的な湿疹です。(膿皮症の最も軽いもののことです)
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治療法
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- 抗生物質の軟膏で治療しますが、軽症の場合は自然治癒する場合もあります。
- 慢性化した場合は抗生物質の内服と薬用シャンプーと抗生物質軟膏を併用します。
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予防法
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- おしっこ周りなどいつも清潔にしてあげてください。
- 早期発見のためにお腹の部分を気をつけてみてあげてください。
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毛嚢炎
Folliculitis |
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- 毛包炎とも呼ばれます。ニキビみたいに見えて、中に白い膿を持った湿疹や赤い湿疹ができます。
- 軽症の場合は小く、ステージが進むと大きくなり、更に進むと痛みや熱感を持つようになり、硬くてしこりができる場合もあります。
- アトピー性皮膚炎のある子はブドウ球菌が普通の子よりも多い状態で、ステロイド剤を使っていたりすると毛嚢炎にかかりやすくなります。
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- 毛嚢炎(毛包炎)は毛包(毛穴の奥で毛根を包んでいるところ)にブドウ球菌(Staphylococcus)が感染して起こります。
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治療法
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- 抗生物質の軟膏で治療します。
- 慢性化した場合は抗生物質の内服と薬用シャンプーと抗生物質軟膏を併用します。
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予防法
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- おしっこ周りなどいつも清潔にしてあげてください。
- 早期発見のためにお腹の部分を気をつけてみてあげてください。
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毛包虫症
アカラス
Demodex Mange |
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- 口や目のまわりの脱毛や皮膚の赤み、フケなどの症状が首から手足や胴体へと全身に拡がります。
- 毛包炎のようにニキビみたいなものができてひどくなると化膿し、膿皮症を併発します。
- 全身に拡がるケースはパピーに多いのですが自然に治癒する場合も多いです。ただ、成犬の場合は治療にかなりの時間がかかり生涯治療となる場合もあります。
- ステロイド剤を使っていたりすると免疫力が抑えられてニキビダニが異常繁殖しやすくなります。
- アトピー、甲状腺機能低下症、糖尿病など、ホルモンバランス、免疫機能の低下に結びつく基礎疾患があると発症しやすくなります。
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- 毛包虫症は毛包(毛穴の奥で毛根を包んでいるところ)に常在している疥癬(ニキビダニ)が異常に繁殖して起こります。
- ニキビダニは多くのわんこに多少は寄生していると言われますが、健康なわんこの場合は抵抗力があるため大量に増殖せず、症状は現れません。免疫力や抵抗力が低下すると、症状が現れやすくなります。
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治療法
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- 徹底したニキビダニの駆除が必要ですが、時間がかかる場合が多いです。
- 細菌感染を併発している場合は抗ダニ薬、抗炎症剤、抗生物質などの併用と薬用シャンプーでの薬浴。また、かゆみに対しての対症療法も行われます。
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予防法
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- 栄養バランスを整えて、免疫力が低下しないように身体のバランスを整えてあげる。
- 抵抗力の弱いパピーやシニアに多いので、初期症状の脱毛(眼の周りや口の周りに脱毛が起きる症例が多い)にいち早く気づいてダニ駆除とあわせて治療してください。
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毛嚢虫性疥癬
Sarcoptic Mange
(Scabies) |
- 耳のふちや顔、ひじ、ひざ、かかと、足先から発症しやすく、そのうち全身に広がって湿疹様の皮膚炎を起こし、発赤、水疱、小結節、かさぶた形成、皮膚の肥厚、脱毛、落屑や細菌の二次感染などが起こってきます。
- 卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニの各発育期をもち、それぞれのダニはわんこの皮膚を穿孔し、トンネルを作って生活をします。皮膚の中にいるダニの穿孔、分泌物のためにわんこは強いかゆみを感じます。
- おそろしく痒いのでパピーでは、その痒さのための食欲減退、発育遅延で死亡することもあります。
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- イヌセンコウヒゼンダニというダニによって起こる皮膚炎です。このダニは犬疥癬をひき起こすダニの一種で、感染している犬の首輪やブラシなどから感染します。お散歩の草むらに感染したわんこが落としていったものを拾ってくる場合もあります。
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治療法
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- ダニを殺す作用のあるシャンプーを使ったり、その子の寝ているベッドなどの消毒、一緒にベッドで寝ている場合はベッドも殺虫剤などで消毒してくださいね。ダニが完全に死滅すれば完治します。
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予防法
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- 接触によって他の犬に感染するので、症状が改善されるまでは、他の犬との接触を避けてください。また、ママたちにも感染する事があり腕や腹部、大腿などに湿疹ができます。
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アトピー性皮膚炎
Atopic dermatitis |
- 激しいかゆみや皮膚の赤みが眼や口の周り、耳、脇の下、お腹、足の先などに起こります。
- 慢性化すると、湿疹が出て、膿皮症や脂漏性皮膚炎などの二次的な皮膚疾患を引き起こします。
- 外耳炎や結膜炎などの合併症を引き起こす場合もあります。
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- アトピー体質のある子が、空気中の花粉やハウスダスト、ダニやカビなどのアレルゲンを吸い込み、それに対して体内の免疫システムが過剰反応を起こすことで起こります。
- アトピー性皮膚炎は、若い子に多く発症します。
- 皮膚バリア機能や保湿力の低下も、皮膚症状を悪化させる要因となります。
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治療法
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- 痒みや皮膚の炎症を抑える対症療法が行われると同時に、アレルゲンの回避を行います。
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予防法 |
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- アレルゲンとなるものをできるだけ避けることも大事です。こまめな洗濯やお掃除も大切です。
- シャンプーのし過ぎは逆に保湿力の低下を招く場合もあります。
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ノミアレルギー性皮膚炎
Flea Allergy Dermatitis |
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- ノミの唾液に対して強い痒みを伴う皮膚症状が出ます。
- ノミに噛まれやすい背中から腰にかけて痒みを伴う赤い発疹や蕁麻疹が出るのが一般的です。
- 激しい痒みでその部分を掻くことでさらに悪化して膿皮症を引き起こすことも多いです。
- 慢性化すると脱毛や皮膚の色素沈着、皮膚の肥厚も起こってきます。
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- ノミに噛まれることで、その唾液に対してアレルギー反応を引き起こします。
- アトピー体質のある子やフードアレルギーのある子はノミアレルギーも起こしやすい傾向にあります。
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治療法
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- 痒みや皮膚の炎症を抑える対症療法が行われると同時に、アレルゲンであるノミの駆除を行います。
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予防法
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- ノミを徹底的に駆除します。身体に付いたもの以外に室内に落ちた卵やサナギなども徹底した駆除が必要です。掃除機をこまめにかけましょう。
- 普段からノミに刺されないよう虫除けは徹底してくださいね。
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