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  5. 肝臓の血液検査結果 ALP・ALT・AST・ビリルビン・アルブミン・グロブリン
 4月 15, 2014  PawPawClub, PawPawお勉強室  病気のケア,  * 検査データの読み方

 
  スマホでは横にして見て頂くと読みやすいです 
 

chuchu-from-kakomie.jpg春に注意が必要な肝臓の血液検査結果

  

春は健康診断の季節、ワクチンの季節、
ところによってはフィラリアのお薬開始の季節でもありますね。
「春の健康診断、行ってきたよ!!」そんなご報告をいっぱいいただくこの時期、
今までの経過を振り返り、「やったね!」と嬉しくてじわっと涙が出ちゃったり、
「あとちょっと!頑張れ頑張れ!」と手を握り締めたり、
みんなからのご報告に笑ったり泣いたりしてる毎日です。

そんな中、今月のお勉強室は「気になる血液検査結果」を取り上げてみました。

春は特に肝臓にエネルギーが集まる季節ですので
肝機能に関係する値の変調が多い季節ですが、
項目によっては無視できないくらい高い値を示すものもあります。 
今月のお勉強室では血液検査で気になる項目の中で
ご相談の多いものと注意が必要なものを取り上げてみました。

これらの値は直接的に肝機能の低下を示す値であったり
その他の臓器の異常を示すマーカーでもあるので、
「経過観察と注意が必要」なものです。

みんなベストコンディションで臨んで、自分なりの花マルをもらいましょうね。
可愛い笑顔のご報告を楽しみに待っているよ~!! 

 

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  ALP(アルカリフォスファターゼ)の上昇

 

最近特に多く聞かれるのが「ALPの上昇」です。
若い犬や猫のALP酵素が上がることは珍しくありませんが、
ALPの上昇はホメオスタシス・バランスの崩れを意味することも
見落としてはならないポイントです。
 
ALP酵素は、身体中のいくつかの場所に生産されますが、
ストレスに応じて肝細胞の外層でも生産されますので、
ALPの上昇は肝疾患の初期サインになります。

しかし、それは、同時に肝臓以外の場所の問題であったり、
一時的な自己消散的な状況を示している場合もあります。
 
たとえば、初乳を飲んだ子犬や子猫のALPは、
摂取から2-3時間後に非常に高い値を示します。
また、若い犬や猫たちは骨髄にも高いALPを有していますので
血液検査に高い値が出ることもあります。
(CoCoっちがまだパピーだった頃にそういった説明を受けました)
 
骨の病気、内分泌系疾患、癌、その他の慢性的病気でも、ALP濃度は上昇します。
また、特定の種類のグルココルチコイドならびに抗けいれん薬使用時は、
「酵素誘導」と呼ばれるプロセスが起こることで、ALP値が上昇します。
また、副腎皮質機能亢進症の犬では、コルチゾール・レベルの上昇に伴い
ALPレベルも上昇します。

以上のことから、ALP値は主として肝臓病の指標として使用されますが、
疑われるべき多くの潜在的な原因があることも忘れないでください。

 

 ALP(ALK PHOS)(アルカリフォスファターゼ)

 REF RANGE:(正常値)

 20-150 (5-131) U/L

 過剰症

肝臓障害・胆管閉塞(胆汁うっ滞)・甲状腺機能亢進症・骨腫瘍・悪性腫瘍
 
  • 胆道系酵素の一つです。胆道以外に肝臓・胎盤・小腸・骨などにも多く含まれます。
  • アルカリフォスファターゼは身体の中で燐酸化合物を加水分解する役割を持っています。肝臓障害によって高くなるときは、GOT・GPTの上昇と一緒に高くなります。
  • 胆汁うっ滞の時はγ-GTPと一緒に高い値を示します。転移性骨腫瘍ではアルカリフォスファターゼは上昇しますがγ-GTPの値は上昇しません。

 

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  GPT=ALT(アラニン・トランスアミラーゼ)の上昇
 
ALT(GPT)は肝細胞の内部で生産されます。
そして、それが血流内に出る唯一の方法は断裂された細胞を通じてしかありません。
このことは、つまり、ALTが高値を示すことは肝細胞の急速な死傷または損傷を意味します。
 
しかしながら、肝臓は「再生する臓器」であり、
細胞が死滅する率を若干上回る率で、細胞を再生成する回復力があります。
 
こういったことからALTの値の変化に対しては
一般的には経過を慎重に観察したのち、確定診断されることが多いと言えます。
 
また、ALTは肝細胞と同様に、腸にも存在するため
重篤なGI疾患(炎症性大腸炎など)でも高値を示すことがあります。
 
ALT(GPT)(アラニン・トランスアミラーゼ)

 REF RANGE:(正常値)

 15-55 (12-118) U/L

 過剰症

犬伝染性肝炎・レプトスピラ・肝腫瘍・肝硬変・肝臓組織の壊死・肝炎・砒素中毒・貧血・GI疾患
 
  • 肝臓に多く含まれる酵素です。したがって肝臓組織の破壊によって血液中に流出し、肝炎の診断基準となります。
  • GOT・GPT共に高く、GPTがGOTより高い場合は、慢性肝炎や脂肪肝などの肝臓のダメージを示します。
  • 筋肉に乳酸が高まるような過激な運動をしたり、筋肉に炎症がある場合などにもGPTは上がる場合があります。
  • GPTは肝細胞に多く含まれる酵素ですので、ウイルス・薬物等の原因で肝臓の細胞が多く破壊されると、その破壊された細胞からGPTが多量に血液中に流れ出して、血液GPT濃度が高くなる場合もあります。
 

 

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    GOT=AST(アスパラギン酸・トランスアミラーゼ)の上昇
 
AST(GOT)は、肝疾患を特定する場合、ALT(GPT)ほどの決め手にはなりません。

AST(GOT)は、肝臓だけでなく、骨格・心臓の筋肉で見つかるので、
この酵素の上昇がある場合は、そういった懸念の上での検査が必要です。

  

 AST(GOT)(アスパラギン酸・トランスアミラーゼ)

 REF RANGE:(正常値)

 10-60 (15-66) U/L

 過剰症

肝臓障害・筋炎・心筋や骨格筋の損傷
 
  • アミノ酸を産生する酵素で身体の中の臓器細胞に含まれ、心臓に最も多く含まれ、次いで肝臓、骨格筋などに含まれます。赤血球にも多く含まれています。臓器の破壊などの細胞の異常が起こると血液中にこの酵素が多くなり、心臓や肝臓の障害の目安になります。
  • 肝臓の細胞が破壊されると、その破壊された細胞からGOTが多量に血液中に流れ出して、検査値が上がります。GOTは心筋にも含まれているため、心筋梗塞の時にも検査値は高くなります。
  • GOT・GPT共に高く、GOTがGPTより高い場合は、肝硬変、肝臓がんなどのダメージを示します。
 
 
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  T.BILL(ビリルビン)の上昇

  

ビリルビンの上昇は肝臓病あるいは閉塞性胆嚢病など
深刻で致命的な問題が生じている兆候である場合があります。
病気の症状を呈している場合は、即時の診断と治療が必要です。
 
ビリルビンとは、赤血球が次々に死んでゆく時に出される色素です。
健康な状態では古い血球が新しいものに交換される際に、
断続的に生産され、肝臓は不要の色素を取り除くことできます。
 
ビリルビンは肝機能が正常な場合でも
「赤血球の急速な破壊が起こる病気」の場合に上昇を示す場合があります。
その場合は、肝機能が正常なうちに赤血球の破壊を引き起こしている病気
(自己免疫疾患・重金属中毒・毒素・寄生虫や伝染病など)を
早期に診断・治療する必要があります。

  

 T.BILL(ビリルビン)

 REF RANGE:(正常値)

 0.0-0.4 (0.1-0.3) MG/DL

 過剰症

肝細胞障害・胆管閉塞(値が劇的に高くなると黄疸が出ます)
 
  • ビリルビンはヘモグロビンから産生される色素で、肝臓の酵素の働きでビリルビンとなり胆汁の成分ともなります。そのままのものを直接ビリルビン、それが肝臓で代謝されたものを間接ビリルビンといいます。肝臓機能を計る重要な指標です。
  • 胆道系の疾患の場合はγ-GTPやALPも同時に上昇・急性肝炎などの肝細胞障害ではGOTやGPTも同時に上昇(この場合は直接型と呼ばれます)します。
  • 溶血性疾患ではLDHも同時に上昇し、この場合は間接型と呼ばれます。
 
 
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  アルブミンとグロブリン

  

アルブミンは肝臓によって生産された血液タンパク質です。
そのため、犬や猫における低いアルブミン濃度は肝不全を示す場合が多いです。
 
また低アルブミンレベルは、潜在的な腎臓病・食物からの栄養素の吸収不良・
PLEやIL、IBDなどの腸疾患によっても引き起こされます。
そういった意味では健康に見える子であっても検査は必要です。
 

 Albumin(アルブミン)

 REF RANGE:(正常値)

 2.6-3.9 (2.7-4.4) MG/DL

 低下症

肝不全・栄養失調・低タンパク血症・寄生虫感染・腸疾患
 
  • 血液中に含まれるタンパク質のうち最も量の多いのがアルブミンで、アルブミンは低タンパク血症の指標になります。血清中にはアルブミンとグロブリンという2つのタンパク質があり、低タンパク血症の場合はこのアルブミンが減少します。アルブミンは血管内における浸透圧の維持と全身への物質運搬を担っています。アルブミンが不足すると組織内へ水分が移行することにより血液量が減って浮腫を起こしたりします。アルブミンはすべて肝臓で作られるので、血中のアルブミン値は肝機能を知る上でよい指標となします。
  • アルブミンは下のグロブリンと合わせて指標とされますので、グロブリンも一緒に載せておきますね。
 

 Globulin(グロブリン)

 REF RANGE:(正常値)

 2.6-5.1 (1.6-3.6) MG/DL

 過剰症

慢性肝炎・肝硬変・感染症・腫瘍・多発生骨髄症・脱水症・高蛋白血症

 低下症

免疫不全・肝障害・ネフローゼ症候群・栄養不良・低タンパク血症
 
  • アルブミンと同じく血清中の総タンパク質の値ですが、アルブミンが全て肝臓で作られるのに対して、グロブリンは肝臓だけでなくリンパ組織でも作られます。血中に含まれるタンパク質は、肝臓で合成され、腎臓で充分にろ過されないと低下することから肝臓・腎臓機能の診断の指標になります。
  • 肝臓や腎臓の機能が落ちると血中のグロブリンが増加し高タンパク血症となったり、アルブミンの減少による低タンパク血症となります。その為、診断にはアルブミンとグロブリンの比率が重要視されます。(タンパク分画=A/G比といわれるもので、正常値はアルブミンが過半数を占めます)
  • グロブリンにはマクログロブリンという細かい分類があります。急性肝炎の場合はα1グロブリン・α2グロブリン・βグロブリンが上昇しますが、アルブミン値はあまり変動がありません。肝硬変の場合はアルブミン値は減少しγグロブりンが増加します。アルブミンが減少し、α1グロブリン・α2グロブリン・βグロブリンが上昇しγグロブりンが減少する場合はネフローゼ症候群が疑われます。
 

 

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  血液検査の値から見る肝臓病の分析

 

肝臓はそれ自体が病気である場合でさえも
充分に機能する素晴らしい再生能力を持っているので、
ALTまたはASTレベルが高値であっても必ずしも肝臓病と断定できません。
そのため、これらの値は重要でありながらも
器官の全体像を示すものでないため、決定的な指標とは成り得ません。
そのため、確定診断の目安としてこれらの単一な値に頼らないことは、極めて重要です。
また、ALTまたはASTの値が高値を示した場合は、定期的に再チェックされる必要があります。
 
肝臓酵素が高い値を示し続ける場合には
肝機能を測定するための2次血液検査 Bile Acids Test (胆汁酸テスト)が推奨されます。
他のすべての潜在的疾患の疑いがクリアになっってもなお高い値が持続する場合には
次のステップとして、肝臓、胆嚢と周囲の組織の超音波検査が行われるのが一般的です。
もしも重症でかつ他の検査結果が決め手とならない場合には、特定の肝疾患の診断を
決定付けるためにバイオプシー(肝生検)が残された唯一の方法かも知れません。

 

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  ホリスティックケアとリチェック

 
あなたの愛する子がいかなる病気の症状もないのに
定期的な血液検査で、肝臓酵素の値が少し高いと指摘された場合は、
ミルクシッスル・SAMe・フォスファチジルコリン、NAC(N-アセチル・システイン)
あるいはSOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)を
獣医さんから勧められるかもしれません。
また、その場合、一時的な肝臓解毒ダイエットはとても利益です。
 
うまくいけば、その子は、大気汚染、水と食品汚染物質、環境化学および毒素、
伝染病、不必要なワクチンのストレスや寄生虫感染症などから来る
肝臓ストレスの潜在的外因を明らかにしてくれるでしょう。
 
病気の兆候がなく、ホリスティック的な肝機能支援を選択する場合は、
肝臓の酵素の値が正常値に戻ったことを確認することは、安心につながるだけでなく
進行性の肝疾患の早期発見にも繋がります。
 
もしも病気の場合は根本の原因(伝染病、金属中毒、変性であるか、炎症性であるか、
免疫介在性の病気なのか、先天的のものかなど)を特定することは、
早期治療とスピーディな回復に繋がります。
 
血液検査で高い値を指摘されたら、まずはホリスティックな取り組みと必ずリチェックを!

 

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  肝臓に関するお勉強室の項目

 

以下の関連項目も合わせてチェックしてね。
 
  
 

 

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さあ、季節は春真っ盛り!
これからはどんどん暖かくなっておんもに出かけるのが楽しい季節!
 
やんちゃさんはさらに元気いっぱいに!
病気の子もシニア組さんたちも
お日様の暖かい光に包まれてみんなみんな元気になぁれ。

  

Apr.2014

 

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