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  5. 去勢手術と避妊手術についての考察
 11月 14, 2025  PawPawClub, PawPawお勉強室   * 病気と家庭でできること * 元気に過ごすヒント * ハッピーシニアになろう

 
  スマホでは横にして見て頂くと読みやすいです 
 
 
 去勢手術と避妊手術についての考察
 
今回は季節とは関係ありませんが、
以前から気になっていた去勢手術と避妊手術のメリットとリスクについて
まとめておくことにします。
 
一般的には「去勢と避妊手術は健康上のリスクを下げる」という意味で
肯定的な意見がほとんどだと思います。
また、上記の考え方から、早期に手術を勧められる事も多いのも現実です。
 
うちでは先住犬のチュ~ちゃんはお産をした後に2歳半で避妊手術をしました。
Coっちゃんは生後8か月くらいで、勧められるまま去勢手術を受けました。
多くの子たちも同じかな?
 
今回は去勢と避妊手術をするメリットだけでなく、
その際の注意点やその後にも気を付けるべきポイントを考察します。
 
去勢したから、避妊したから安心!では済まない注意点もありますので
元気で長生きするためにも知っておいてくださいね。
 
去勢手術や避妊手術を受けさせたくないママさんたちへ
将来的な性ホルモンバランスによるリスクを避けながら、
デメリットを避ける代替え案も載せていますので、
一つのチョイスとして、ご希望になれると嬉しいです。
 
 
 去勢手術と避妊手術の基本的な意味合い
 
去勢手術は男の子犬の場合で、精巣を摘出します。
避妊手術は女の子犬の場合で、卵巣、場合によっては子宮を摘出します。
 
去勢手術では、男性ホルモンであるテストステロン
避妊手術では、女性ホルモンであるエストロゲン
それら特定のホルモンのレベルを低下させ、
犬の成長、代謝、行動に影響を与える可能性があります。
 
これらの性ホルモンは成長において大きな影響を与える場合もありますので、
避妊手術と去勢手術は、長所と短所の両面があるといえるポイントです。
 
 
 去勢と避妊を選ぶメリット
 
去勢や避妊における性ホルモンの過剰抑制は男の子の精巣ガンや女の子の乳腺腫瘍など
特定の健康リスクを軽減するためにも推奨されています。
 
男の子犬の去勢手術による健康上のメリット
 
去勢手術には、精巣がんのリスクがなくなるという大きな健康上のメリットがあります。
精巣を摘出するため、この種のがんは絶対に発生しません。
これは去勢手術を受ける最大のメリットです。
(Coっちゃんもこのメリットを最重要視して去勢手術を受けました)
 
また、去勢により前立腺肥大などの非癌性前立腺疾患のリスクも軽減されます。
シニアさんになって発症しやすい前立腺肥大があると、
快適に排尿したり排便したりすることが困難になることがあります。
 
肛門周囲に炎症を起こすことで痛みを伴う肛門瘻(肛門周囲瘻)を発症する可能性も
去勢することでそのリスクがうんと軽減されます。
 
また、これは確定されたものではありませんが、
男の子犬の糖尿病リスクが去勢によって低下される可能性も示唆されています。
(ただ、現時点ではその根拠は完全には明らかではありませんので
そういったメリットの可能性があるという意見があるということです)
 
また、去勢後の男の子は、ヒート中の女の子に過剰に反応したり
あらゆる場所にマーキングしたりする可能性が低くなることで、
問題行動の制御に繋がる場合もあります。
 
これらのメリットはとても有益に聞こえますが、
成長過程における全身状態を把握し、手術を受けるタイミングや
犬種による特異的な部分も考え併せて、決定することが大切です。
 
女の子犬の避妊手術による健康上のメリット
 
女の子犬にとって、避妊手術は健康面で非常に大きなメリットをもたらします。
特に2歳半までに行うと効果が顕著だと言われます。
 
中でも特に重要なのは、女の子犬に最も多く見られる悪性腫瘍である
乳腺腫瘍のリスクが大幅に低下することです。
初回発情期前に避妊手術を受けることで、このリスクをほぼ完全に排除できるので
早期に勧められることが多いです。
 
命を救うもう一つの利点は、避妊手術によって子宮蓄膿症を予防できることです。
子宮蓄膿症とは、避妊手術を受けていない女の子犬の約4分の1が罹患すると言われる
危険でしばしば致命的な結果を招く子宮感染症のことです。
 
加えて、避妊手術によって子宮、卵巣、子宮頸部のがんのリスクもなくなります。
ただし、これらのがんは他の健康問題に比べると比較的まれなものです。
 
 
 去勢と避妊を選ぶデメリット(健康上のリスク)
 
男の子犬の去勢手術による健康上のデメリット
 
去勢手術は一部の健康上のリスク改善に役立ちますが、
他の健康問題のリスクを高めることもあります。
 
例えば、特に1歳になる前に去勢手術を受けた男の子犬の場合、
骨肉腫(骨の癌)を発症する可能性が高くなります。
このタイプの癌は進行が早く、大型犬に多く見られるため、
特定の犬種にとっては大きな考慮事項となります。
 
去勢手術は、致死的な心臓癌である心臓血管肉腫のリスクも高めます。
さらに、去勢手術を受けた男の子犬は、体重増加、無気力、
脱毛を引き起こす甲状腺機能低下症を発症する可能性が3倍ほど高くなります。
 
肥満も去勢した場合のもう一つの懸念事項です。
去勢された男の子犬は太りすぎになる可能性が高く、
糖尿病や関節の問題など他の多くの問題につながる可能性があります。
 
また、尿路がんやワクチンの副作用のリスクもわずかに高くなる傾向にあります。
 
女の子犬の避妊手術による健康上のデメリット
 
女の子犬が避妊手術を受けた場合にも健康上のリスクが伴います。
特に若い時期に行う場合はそのリスクは大きくなります。
 
去勢手術を受けた男の子犬と同様に、避妊手術を受けた女の子犬は
骨肉腫、脾臓血管肉腫、心臓血管肉腫を発症するリスクが高くなります。
どちらの病気も進行が早く、予後は不良です。
 
甲状腺機能低下症も避妊手術を受けた女の子犬にとってのデメリットであり、
避妊手術を受けていない犬に比べてリスクが3倍になります。
 
さらに、避妊手術を受けた女の子犬は肥満、尿路感染症、
そして尿失禁になりやすい傾向があります。
(特に加齢に伴いシニアさんになっての尿漏れが発生しやすくなります)
 
早期の避妊手術は、整形外科的な問題や、
膣炎や外陰部陥没などの膣の慢性的な問題を引き起こす可能性があり、
慢性的な炎症や感染症につながる可能性があります。
 
シニアさんになって性ホルモンが関係する症状と対策に関しては
以下の記事中の「膀胱機能をしっかりサポート」でも触れています。
 
 
 
 リスクと利点に関わる注意点
 
去勢、避妊手術を受ける時期
 
去勢、避妊手術の時期は、わんこの長期的な健康に大きな影響を与えます。
早期の避妊・去勢手術は成長板の閉鎖を遅らせることで骨が長くなり、
股関節形成不全や十字靭帯断裂といった整形外科的疾患のリスクを高める可能性があります。
(特に大型犬種で起こりやすい)
 
また、ホルモン剤の投与を早期に中止すると、
自然な発育が妨げられ、肥満、特定の癌、
その他のホルモン関連の問題が発生する可能性が高くなります。
 
充分に身体的に成熟するまで(ほとんどの犬種で通常12~18ヶ月)待つことで、
これらのリスクを軽減できる場合があります。
 
以上のことから生殖に関する健康問題の軽減といった潜在的なメリットと
ホルモンの減少に伴うリスクの間で適切なバランスを考えることが重要です。
 
犬種による問題
 
避妊・去勢手術が与える影響は、犬種によって大きく異なります。
例えば、ロットワイラーやゴールデンレトリバーのような大型犬は、
骨肉腫などのがんのリスクがすでに高く、
早期の避妊・去勢手術はそれらのリスクをさらに高めます。
 
同様に、ラブラドールレトリバーのように整形外科的な問題を抱えやすい犬種は、
骨が完全に発達するまで手術を待つ方が効果的かもしれません。
 
一方、小型犬は早期の避妊・去勢手術に関連する問題が少ない傾向にありますが、
肥満や尿失禁などのリスクから完全に免れるわけではありません。
 
犬種、年齢、そして全体的な健康状態に合わせて手術を選択することが、
潜在的なデメリットを最小限に抑える鍵となります。
 
 
 去勢、避妊手術のリスクと合併症
 
他の手術と同様に、避妊手術や去勢手術にも短期的なリスクはありますが、
一般的には低いものです。
 
合併症としては、感染症、過度の出血、麻酔への副作用などが挙げられます。
これらの手術の死亡率は0.1%程度と非常に低いですが、
リスクを最小限に抑えるためには、熟練した獣医師を選ぶことが重要です。
 
適切なケアを行えば、ほとんどの子は術後すぐに回復しますが、
不快感、腫れ、異常な行動などがないか注意深く観察する必要があります。
獣医さんの術後指示に従って早期回復を目指しましょう。
 
Coっちゃんの場合はホリスティック獣医さんでしたので
術後も自然治癒、抗生物質なども処方されませんでした。
抗生物質が出された場合は腸内環境悪化にも気を付けてあげて下さいね。
(抗生物質は腸の善玉菌まで弱めてしまう可能性があるため)
 
生殖ホルモンの除去は、直接的なリスクに加え、
犬の健康全般に波及効果をもたらす可能性があります。
 
テストステロンやエストロゲンといった性ホルモンは、
健康な代謝、丈夫な骨、そして適切な免疫機能を維持する役割を果たします。
これらのホルモンが不足すると、加齢とともに体重増加、内分泌疾患、
さらには認知機能の低下に陥りやすくなります。
 
これらの長期的な影響はすべての子に同じように影響を及ぼすわけではありませんが、
避妊・去勢手術を行うかどうか、またいつ行うかを決める際に考慮する必要はあります。
 
これらの影響を心配するママたちにとって、
ホルモン機能をある程度温存できる代替案を検討することはお勧めです。
 
ホルモンバランスを補助してあげる食品なども
以下の記事中の「膀胱機能をしっかりサポート」で触れています。
 
 
 
 去勢、避妊手術をしない選択・代替案
 
去勢、避妊手術をするかどうかの判断は、即決できるものではありません。
生殖器がんの予防というメリットの半面、
ホルモン分泌の低下、手術による合併症、
そして長期的な健康への影響といったリスクをよく考えることが重要です。
 
犬種、年齢、ライフスタイルに基づいて、獣医さんとよく相談なさってください。
従来の避妊手術6ヶ月という基準は、うまくいく場合が多いかもしれませんが、
身体的に成熟するまで待ったり、別の避妊手術方法を検討したりする方がよい場合もあります。
重要なのは、一般的な推奨に従うのではなく、
「うちの子」の成長状態や発達状態にとって最適な方法を選ぶことです。
 
生殖器官の摘出に抵抗がある場合は、他の選択肢も検討してみてください。
男の子犬の場合の精管切除、女の子犬の場合の卵巣温存避妊手術といった手術は、
不妊状態を維持しながらホルモンバランスを維持するのに役立ちます。
 
これらの方法は、整形外科的疾患や認知機能の低下など、
ホルモンの減少に伴う長期的なリスクを軽減することができます。
 
あまり一般的ではありませんが、
これらの処置は、健康維持と不妊手術の妥協点を見出すという点で
近年人気が高まっているものです。
 
矯正手術、避妊手術で悩まれた場合は
これらの代替案がその子の状態に合っているか
獣医さんに相談してみるのも1つの良いアイデアだと思われます。
 
 
 
 
短い秋が過ぎ、朝夕は冷え込みが強くなってきましたね。
みんな元気に過ごしていますか?
 
私は叔父の四十九日の法要を終えるまで京都におり
朝夕の底冷えの厳しさを感じる日々です。
 
ご近所を元気よくお散歩している子たちを眺めながら
みんな寒い中でも元気でいてね!と願っています。
 
Coっちゃんと一緒の日本滞在もあと10日。
来週は祖父母のお墓参りを兼ねて、紅葉を見に行く予定です。
寒い季節ですが、日本の美しい景色をCoっちゃんと一緒に楽しみます。
 
そろそろ冬将軍が駆け足でやってくる季節
肌や肉球の乾燥に気を付けながら
これからの季節をみんな元気に過ごしましょうね。
 
Nov.2025
 
 
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