1. ホーム > 
  2. Blog > 
  3. PawPawClub > 
  4. PawPawお勉強室 > 
  5. タンパク質とアミノ酸
 3月 15, 2016  PawPawClub, PawPawお勉強室  手作り食と食材・栄養のこと,  * 栄養素のこと

 
  スマホでは横にして見て頂くと読みやすいです 
 

chuchu-from-kakomie.jpg タンパク質とアミノ酸

 

今回のお勉強室は「タンパク質とアミノ酸」です。
我が家のCoCoっちはパピーの時から生食で育てていますが
お肉と骨の割合が全体の75%-80%です。
最近はそこにさらにお豆腐も足すので85%くらいになってるかな。

「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」どっちが良いでしょう?
これは以前によくいただいていたご質問なのですが、
アミノ酸スコアのことや動物性タンパク質の注意点など、
病気の子やシニアの子にも気になる内容なので取り上げることにしました。
タンパク質は、私たちの身体を構成する大変重要な栄養成分です。
筋肉、皮膚、内臓、骨、血液だけでなく、
酵素やホルモン、神経伝達物質なども、全てタンパク質からできています。
 
私たちの身体を構成するタンパク質は
トータル20種類のアミノ酸から構成されています。
 
アミノ酸とはタンパク質の構成成分で生命体の構成成分です。
自然界には多くのアミノ酸が存在しています。
 
そのアミノ酸の中でも、体内では生成できないので、
必ず食事から摂取しなければならないアミノ酸を
「必須アミノ酸」と呼びます。
 
その中でもバリン、イソロイシン、ロイシンは
BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、特に重要で、
不足すると食欲不振、栄養不足となります。
 
また非必須アミノ酸は体内でも作られますが
食品で足してあげると良いアミノ酸で、
この2つとも生命維持に必要なアミノ酸です。
 
タンパク質を構成するアミノ酸の種類は全部で20種類です。
全ての略号を以下にまとめておきますね。

 

 必須アミノ酸 略号

 非必須アミノ酸 略号


トリプトファン (Trp)・リジン (Lys)・
メチオニン (Met)・
フェニルアラニン (Phe)・バリン (Val)・
ロイシン (Leu)・イソロイシン(Ile)・
ヒスチジン(His)・スレオニン(Thr)・
アルギニン(Arg)* ←わんこの場合

アスパラギン酸(Asp)・グリシン(Gly)・
プロリン(Pro)・チロシン(Tyr)・
アラニン(Ala)・セリン(Ser)・
システィン(Cys)・アスパラギン(Asn)・
グルタミン(Gln)・グルタミン酸(Glu)・
アルギニン(Arg)* ←ヒトの場合

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif   わんこの必須アミノ酸ってなに?!

 

まずは、わんこに必要なアミノ酸を知りましょう。
わんこの必須アミノ酸はヒトの必須アミノ酸9種類に
スレオニン(トレオニンとも呼びます)を加えた10種類です。
表にまとめると・・・
 

 必須アミノ酸(略号)

 ヒト

 わんこ

 にゃんこ

 

トリプトファン (Trp)

 

 

 

 

リジン (Lys)

 

 

 

 

メチオニン (Met)

 

 

 

 

フェニルアラニン (Phe)

 

 

 

 

バリン (Val)

 

 

 

 

ロイシン (Leu)

 

 

 

 

イソロイシン(Ile)

 

 

 

 

ヒスチジン(His)

 

 

 

 

アルギニン(Arg)

 

×

 

 

 

スレオニン(Thr)

 

 

 

 

タウリン(Tau)

 

×

 

×

 

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif   アミノ酸はどういう働きがあるの?

 

次に各アミノ酸の働きを知りましょう。
 
必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つは
BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれて、
特に動物性タンパク質に多く存在します。
 
ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに比べて、 
 BCAAは主に筋肉と脳で代謝され、
運動エネルギーとなる必須アミノ酸群です。
筋肉を作るアミノ酸ですので、
筋肉犬育成には必須のアミノ酸とも言えますね!
* 多く含むものの値は、全て生の状態での含有量です。

  

 わんこの必須アミノ酸

 アミノ酸

 働き

 どんなものに多いの?

 

トリプトファン(Trp)
  • 脳内神経伝達物質セロトニンの材料で生成をサポートします。
  • 睡眠ホルモンであるメラトニンの材料でもあります。
  • 体内でナイアシンになるアミノ酸です。
  • 血圧や血中コレステロールを正常に保つ働きもあります。
  • 大豆(100gにつき520mg含有)
  • カツオ(100gにつき310mg含有)
  • マグロ赤身(100gにつき300mg含有)
  • 牛レバー・豚レバー(100gにつき290mg含有)
  • 鶏レバー(100gにつき270mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき230mg含有)
  • イワシ(100gにつき220mg含有)
  • 卵(1個約55gにつき99mg含有)
  • ヨーグルト(200mlにつき94mg含有)
  • 牛乳(200mlにつき82mg含有)
  • プロセスチーズ(10gにつき29mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 肝硬変の場合は制限が必要です。
  • 梨(1.2mg)
  • リンゴ(1.3mg)

 

リジン (Lys)
  • リシンともリジンとも読みます。穀類に少ないアミノ酸です。
  • カルシウムの吸収を促進します。
  • カルニチンの生成に関与し、脂肪のエネルギー代謝をサポートします。
  • カツオ・ブリ(100gにつき2100mg含有)
  • マグロ(100gにつき2000mg含有)
  • チキン胸肉(100gにつき2000mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき1800mg含有)
  • サーモン・サバ(100gにつき1800mg含有)
  • 牛サーロイン(100gにつき1700mg含有)
  • イワシ・アジ(100gにつき1700mg含有)
  • チキンもも肉・牛レバー(100gにつき1700mg含有)
  • 小豆(100gにつき1700mg含有)
  • 納豆(100gにつき1000mg含有)
  • 卵(1個約55gにつき550mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき510mg)
  • しらす干し(100gにつき350mg)
  • 大豆もやし(100gにつき160mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 腎機能障害がある場合は制限が必要です。
  • 梨(5.4mg)
  • リンゴ(7.1mg)
  • 白米(10mg)
  • もずく(10mg)

 

メチオニン (Met)
  • 体内でタンパク質生成に真っ先に必要なアミノ酸です。
  • 肝機能をサポートします。
  • カルニチンの生成に関与し、脂肪のエネルギー代謝をサポートします。
  • しらす干し(100gにつき1100mg)
  • クロマグロ(100gにつき760mg含有)
  • カツオ(100gにつき700mg含有)
  • イワシ(100gにつき640mg含有)
  • チキン胸肉・皮なし(100gにつき640mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき620mg含有)
  • 豆乳(100mlにつき52mg含有)
  • 大豆もやし(100gにつき38mg含有)
  • 海苔(3gにつき26mg)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 動脈硬化の場合は制限が必要です。
  • 梨(2.9mg)
  • リンゴ(2.4mg)
  • みかん(2.9mg)
  • もも(3.3mg)
フェニルアラニン (Phe)
  • 肝臓でチロシンに変換され、脳内神経伝達物質ドーパミンやノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質の材料になるアミノ酸です。
  • 黒色の色素メラニンの合成材料でもあり、変換されたチロシンは白髪に効果があるとも言われています。
  • 血圧上昇作用もあります。
  • 牛レバー(100gにつき1100mg含有)
  • クロマグロ(100gにつき970mg含有)
  • チキン胸肉・皮なし(100gにつき930mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき435mg)
  • 大豆もやし(100gにつき180mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 高血圧・心臓秒・妊娠中・皮膚がんの場合は制限が必要です。
  • 梨(4.0mg)
  • リンゴ(4.4mg)
  • みかん(7.0mg)

 

バリン (Val)
  • 主に筋肉と脳で代謝され、運動エネルギーとなる必須アミノ酸です。タンパク質生成で筋肉を作りますので成長過程に欠かせないものです。
  • 肝機能をサポートします。
  • 血中の窒素バランスに関与します。
  • 牛レバー・豚レバー(100gにつき1100mg含有)
  • プロセスチーズ(10gにつき160mg含有)
  • お豆腐(100gにつき330mg含有)
  • クロマグロ(100gにつき1300mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき420mg)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 妊娠中・ダイエット中の場合は制限が必要です。
  • リンゴ(6.0mg)
  • みかん(8.2mg)

 

ロイシン (Leu)
  • 主に筋肉と脳で代謝され、運動エネルギーとなる必須アミノ酸です。タンパク質生成と分解で筋肉の維持に役立ちます。
  • 筋肉グリコーゲンの合成に関与
  • 肝機能維持・肝細胞の代謝に関与
  • 血糖の調節に関与
  • チキン胸肉・皮なし(100gにつき1900mg含有)
  • カツオ(100gにつき1800mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき675mg)
  • 卵(1個約55gにつき336mg含有)
  • 大豆もやし(100gにつき210mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 妊娠中・ダイエット中・免疫力を集中して高める治療中の場合は制限が必要です。
  • 梨(7.6mg)
  • リンゴ(8.1mg)
  • みかん(10mg)

 

イソロイシン(Ile)
  • 主に筋肉と脳で代謝され、運動エネルギーとなる必須アミノ酸です。タンパク質生成で筋肉を作りますので成長過程に欠かせないものです。
  • 肝機能をサポートします。
  • ヘモグロビン形成に必要。
  • 血管拡張作用
  • クロマグロ(100gにつき1200mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき1000mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき405mg)
  • 卵(1個約55gにつき336mg含有)
  • 大豆もやし(100gにつき140mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 妊娠中・ダイエット中の場合は制限が必要です。
  • 梨(5.7mg)
  • リンゴ(5.2mg)
  • みかん(5.9mg)

 

ヒスチジン(His)
  • 副交感神経を落ち着かせます。
  • ヘモグロビンに多く含まれるアミノ酸で貧血を改善します。
  • 白血球の生成にも関与しています。
  • カツオ(100gにつき2500mg含有)
  • クロマグロ(100gにつき2400mg含有)
  • キハダマグロ(100gにつき2100mg含有)
  • ブリ(100gにつき1020mg含有)
  • イワシ(100gにつき1000mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 喘息・アレルギーの場合は制限が必要です。
  • 梨(2.7mg)
  • リンゴ(3.0mg)
  • もずく(3.6mg)
  • みかん(4.1mg)

 

アルギニン(Arg)
  • ヒトでは成長期に合成能力が欠如するので子供の頃は必須アミノ酸です。
  • 血管機能のサポート免疫力のアップ
  • インシュリンやグルカゴンの分泌促進
  • 伊勢海老(100gにつき2100mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき1500mg含有)
  • チキン胸肉・皮なし(100gにつき1500mg含有)
  • 豆乳(100mlにつき300mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 肌荒れ・関節肥大・骨の奇形の場合は制限が必要です。
  • 梨(3.0mg)
  • リンゴ(3.8mg)
  • もも(7.6mg)
  • すもも(9.1mg)

 

スレオニン(Thr)
  • 肝機能をサポートします。
  • 成長促進に欠かせないアミノ酸です。
  • クロマグロ(100gにつき1100mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき1100mg含有)
  • チキン胸肉・皮なし(100gにつき1100mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき315mg)
  • プロセスチーズ(10gにつき83mg含有)

 制限が必要な病気

 含有量が少ない食品

 
  • 胃腸障害の場合は制限が必要です。
  • 梨(6.7mg)
  • リンゴ(5.1mg)
  • みかん(7.4mg)

 

 わんこの非(準)必須アミノ酸

 アミノ酸

 働き

 どんなものに多いの?

 

アスパラギン酸(Asp)
  • カルシウムやカリウムなどのミネラルを全身に運びます。
  • 身体の中で素早くエネルギー源となり疲労回復効果と筋肉消耗を和らげます。
  • 利尿作用が有り、体内の毒素を排泄する役割もあります。
  • 大豆もやし(100gにつき890mg含有)
  • アスパラガス(100gにつき327mg含有)
  • 鰹節(約15gにつき1095mg)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき945mg)
  • 湯葉(約4gにつき272mg)
  • 悪性腫瘍の場合はアスパラギン酸の摂取を控えるようにという文献もあります。

 

グリシン(Gly)
  • コラーゲンの33%を占めるアミノ酸です。
  • 血液の色素生成・赤血球の材料です。
  • 神経伝達物質でもあります。
  • 車海老(100gにつき2600mg含有)
  • 豚ミンチ(100gにつき1500mg含有)
  • うに(10gにつき200mg含有)
  • 海苔(3gにつき69mg含有)

 

プロリン(Pro)
  • コラーゲンの素となるもので皮膚の角質層の保湿作用があります。
  • 麸(約5gにつき190mg)
  • スキムミルク(約5gにつき175mg)
  • 湯葉(約4gにつき124mg)

 

チロシン(Tyr)
  • フェニルアラニンから作られるアミノ酸です。
  • 脳内神経伝達物質ドーパミンやノルアドレナリンの材料になる必須アミノ酸で、気持ちを落ち着かせ、ストレスに拮抗作用があります。
  • 黒色の色素メラニンの合成材料でもあります。
  • 甲状腺ホルモンの原料でもあります。
  • クロマグロ(100gにつき860mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき810mg含有)
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき330mg)
  • 鰹節(約15gにつき405mg)

 

アラニン(Ala)
  • グルタミン酸とピルビン酸から作られ、素早くエネルギーに変わる性質で肝臓のエネルギー源となり、アルコールの代謝を促進します。
  • お肌にハリやツヤを与えてくれるアミノ酸でもあります。
  • ほとんど全てのタンパク質に存在するアミノ酸です。
  • サーロイン(100gにつき1100mg含有)
  • 豚ロース(100gにつき1100mg含有)
  • チキンもも肉皮なし(100gにつき1100mg含有)
  • チキンレバー(100gにつき1100mg含有)
  • マダラ(100gにつき1000mg含有)
  • カタクチイワシ(100gにつき727mg含有)
  • さんま(100gにつき700mg含有)
  • 鮎(100gにつき605mg含有)
  • ゴマ(10gにつき100mg含有)
  • 小豆(10gにつき100mg含有)

 

セリン(Ser)
  • リン脂質やグリセリン酸など様々な酵素の素となるものです。
  • 中枢神経系の栄養にもなります。
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき130mg)
  • 大豆もやし(100gにつき160mg含有)
  • 鰹節(約15gにつき120mg)

 

システィン(Cys)
  • 皮膚のメラニン色素の発生を抑えます。
  • タウリンの成分にもなります。
  • CoA(補酵素A)の生成にも関与します。
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき405mg)
  • 鰹節(約15gにつき435mg)
  • 麸(約5gにつき42mg)

 

アスパラギン(Asn)
  • アスパラギンはアスパラガスから発見されたアミノ酸です。
  • 尿の排出を促進し、有害なアンモニアを体外に排出することで、中枢神経系を保護する働きがあります。
  • 神経伝達物質の材料でもあります。
  • 筋肉や内臓の素となるタンパク質となります。
  • クエン酸回路に働きかけエネルギー代謝を促進するので、運動時の持久力をアップさせます。
  • 大豆もやし(100gにつき890mg含有)

 

グルタミン(Gln)
  • グルタミンは、体内でグルタミン酸とアンモニアに酵素が働くことによって合成される準必須アミノ酸で、ストレスで減少することもあります。
  • 筋肉系のサポート
  • 胃腸と肝臓の働きをサポート
 
  • 高野豆腐(1枚約15gにつき1425mg)
  • チェダーチーズ(10gにつき540mg)
  • アーモンド(10gにつき510mg)
  • 熱を加えると変性するので生で食べることが大事です。
  • 過剰摂取で肝臓にダメージを与えますので注意。

 

グルタミン酸(Glu)
  • 身体の中で素早くエネルギー源となります。
  • 脳機能を低下させる恐れのあるアンモニアを解毒し、体外に排出する役目があります。
  • 興奮性神経伝達物質です。
  • 小麦グルテンから発見されたアミノ酸で、ストレスを和らげる働きのあるGABAや肝臓で作られる抗酸化物質グルタチオンの材料となります。
 
  • 鰹節(約15gにつき1470mg)
  • 湯葉(約4gにつき440mg)
  • 大豆もやし(100gにつき330mg含有)
  • トマト(100gにつき246mg)
  • じゃがいも(100gにつき102mg)
  • 白菜(100gにつき100mg)
  • えのき茸(100gにつき90mg)
  • 生椎茸(100gにつき71mg)
  • 大豆(100gにつき66mg)
  • ニンジン(100gにつき22mg)

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif   良質なタンパク質ってなに?

 

各アミノ酸の働きはざっとわかったけど、
結局のところ、良質なタンパク質ってなに?

それは「どれほど身体に効率的に取り込まれるか」
その指標となるのが「生物価(BV)」となります。

この生物価が高いほど、
身体に効率よく取り込まれる(吸収される)タンパク質と言えます。

「効率よく」取り込まれることは
身体にとって、窒素などの余分な代謝物になりにくいということ、
それはつまり、肝臓や腎臓に負担をかけないということです。
 
しっかり身体に吸収されるということは
ウンチになる量がより少ないタンパク質ということにもなります。
 
この生物価というのは身体に残った窒素(アンモニア)数を
吸収窒素数で割ったものに100をかけて算出するのですが、
アミノ酸スコアが100の全卵でも生物価は87-97と言われています。

この生物価に「消化吸収率」をかけたものが
「正味タンパク質利用率」となります。
他にもPDCAAS=タンパク質消化吸収率補正アミノ酸価
というのがありますが、専門的なのでここでは取り上げません。
 
・・・と、タンパク質の質をはかる指標はいろいろありますが、
身体を使った指標などは家庭で計算できないので、
食品に含まれるタンパク質の中の必須アミノ酸構成から評価した
(各食品の窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が
基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価した)
「アミノ酸スコア(NPU)」や
各食品に含まれる必須アミノ酸が、
人体が必要とする必須アミノ酸のバランスと比べて
どれだけ含有されているかを評価した「プロテインスコア」を指標にします。
 
アミノ酸スコアとはその食品の中に必須アミノ酸が
「どれくらいバランスよく含まれるか」というものです。
全てがバランスよく含まれれば100に近く、
必須アミノ酸の中の一つでも値が低いと
全ての必須アミノ酸の平均点となるアミノ酸スコアが下がります。
この時の最低値を示すアミノ酸を「第1制限アミノ酸」と呼びます。
 
プロテインスコアとは卵のプロテインを理想的な100として
その他の食品のプロテインバランスを評価したものです。
 
天然のタンパク質の中で全卵のアミノ酸スコアは最も高く、
その生物価はほぼ100(87-97)と評価されています。

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif   アミノ酸スコアとプロテインスコア

 

以下の表では動物性タンパク質と植物性タンパク質の
アミノ酸スコアとプロテインスコアを比較しています。

 

 アミノ酸スコアとプロテインスコア

 動物性タンパク質

アミノ酸スコア

 プロテインスコア

 植物性タンパク質

 アミノ酸スコア

 プロテインスコア

 

全卵

 

100

 

100

 

大豆

 

100

 

56

 

卵黄
 

 

89

 

豆乳・豆腐

 

82

 

67

 

卵白
 

 

100

 

枝豆

 

92
 

 

牛乳

 

100

 

85

 

里芋

 

84

 

76

 

プロセスチーズ

 

91

 

83

 

じゃがいも

 

68
 

 

ヨーグルト

 

100
 

 

ブロッコリー

 

80
 

 

スキムミルク

 

95
 

 

カリフラワー

 

77
 

 

牛肉

 

100

 

80

 

トマト

 

48

 

51

 

豚肉

 

100

 

90

 

さやいんげん

 

68
 

 

鶏肉

 

100

 

87

 

バナナ

 

66
 

 

牛レバー

 

100

 

88

 

イチゴ

 

66
 

 

豚レバー

 

100

 

94

 

玄米

 

68
 

 

鶏レバー

 

100

 

96

 

精製米(白米)

 

65

 

78

 

サーモン

 

100

 

86

 

小麦粉

 

44

 

56

 

アジ

 

91

 

89

 

蕎麦

 

92
 

 

イワシ

 

100

 

91

 

ゴマ

 

50

 

69

 

* 卵は生卵を飲むと元気になるイメージがありますが、
タンパク質の身体への利用率は、生卵で51%、加熱した卵で91%です。

加熱した卵のタンパク質の方が身体に有効利用されるということです。
これは卵白に含まれるオボムコイドという糖タンパクが、
タンパク消化酵素トリプトシンの作用を阻害して、
タンパク質の吸収を妨げるというのが理由です。
(加熱するとオボムコイドは働かなくなります)

もちろんCoCoっちの生食にも卵は加熱して加えています。
わんこに卵白の生はビオチンの吸収を妨げるのでNGですが、
利用率を考えても加熱してあげてくださいね。

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif  動物性タンパク質の問題点
 
上記の表を見ると
お豆腐以外は動物性タンパク質の圧勝です。

・・・が、動物性タンパク質の問題点・・・
それはリンを多量に含むこと!!

なので、植物性タンパク質もちょこっと加えて
バランスを取ってあげるのも良いですね。
 
卵の殻にりんご酢をかけた「卵の殻カルシウム」は
一般的にリン吸着効果のある「炭酸カルシウム」よりも
優秀と言われていますので、
動物性タンパク質の過剰摂取が気になっている子は
ぜひ試してみてね。
 
リン吸着にお役立ちの「卵の殻ふりかけ+リンゴ酢で泡泡」は
お勉強室の 「CoCoっちご飯」 でもご紹介しています。


詳しい理論は 「生食とカルシウム」 に載せていますので
ご参考になさってくださいね。

 


pop-line-middle.gif

 

iiko.gif  バランスよく!が大切

 

プロテインをがんがん摂取して筋肉犬になるぞ!の場合は
アミノ酸の「バランス」が最も大切です。
 
鶏卵がアミノ酸スコア100なら
それを中心とした食事がパーフェクトなのかというと
それはまた違ってきます。
 
鶏卵は含硫アミノ酸の含有量が、肉や魚、牛乳より多いので、
動物性タンパク質の中では、血液を酸性化させ易い食品とも言えます。
(含硫アミノ酸値:鶏卵168・豚肉114・牛乳106)
なので、やはり「バランス」が大事。
 
例えば(わんこに穀類は推奨されませんのでこれはヒトの場合ですが)
お米と大豆を一緒に食べるとプロテインスコアは100となります。
 
お米には大豆に多いリジンが少なく、大豆に少ない含硫アミノ酸が多い、
大豆にはリジンが多いのに、含硫アミノ酸が少ない、
なので一緒に食べることでお互いがに不足しているアミノ酸を
補うためアミノ酸のバランスが100点となります。
 
各食品のアミノ酸バランスを調べていったらキリがないのですが、
バランスよくなんでも食べる、その中でアミノ酸スコアの高いものを
ちょっと意識して取り入れるというのが、無理がないかな?

そんな意味も含めてアミノ酸の分類表を載せましたので
トータル的に見て、ご参考になさってくださいね。

 

pop-line-middle.gif

 

iiko.gif  病気とアミノ酸の関係

 

わんこには動物性タンパク質!ではありますが、
それらばかりを多量に食べ続けると、
アンモニア・硫化水素・メタンガス・ヒスタミン・
ニトロソアミン・インドールなどの毒性物質が腸内で発生します。
 
加えて、動物性タンパク質を多く摂取することで
尿中にリン酸塩や硫酸塩が多くなり、pHが酸性に傾き、
カルシウムの再吸収が抑制されるために、
尿中にカルシウムが多く残り、尿中クエン酸が減少し、
結石の原因にもなりやすくなります。
 
タンパク質を多く摂取することで、
アミノ酸の分解の際に生じる窒素が多くなり
その処理を担う肝臓や腎臓に負担がかかります。

 

 わんこに多い病気と血漿中のアミノ酸濃度

 病名

 上昇するアミノ酸

 低下するアミノ酸

 

肝臓病
 
  • Phe(フェニルアラニン)
  • Tyr(チロシン)
  • Trp(トリプトファン)
  • Met(メチオニン)
  • Ser(セリン)
  • Gly(グリシン)
  • Val(バリン)
  • Leu(ロイシン)
  • Ile(イソロイシン)

 

腎臓病
 
  • Arg(アルギニン)
  • Asp(アスパラギン酸)
  • Cit(シトルリン)*
 
  • Val(バリン)
  • Leu(ロイシン)
  • Ile(イソロイシン)
  • Thr(スレオニン)
  • His(ヒスチジン)
  • Tyr(チロシン)

 

心臓病
  • Phe(フェニルアラニン)
  • Tyr(チロシン)
  • Met(メチオニン)
 
  • Val(バリン)
  • Leu(ロイシン)
  • Ile(イソロイシン)
  • His(ヒスチジン)
  • Pro(プロリン)
  • Asn(アスパラギン)

 

低たんぱく血症
  • Ala(アラニン)
 
  • Val(バリン)
  • Leu(ロイシン)
  • Ile(イソロイシン)
  • Thr(スレオニン)
  • Tyr(チロシン)
  • Met(メチオニン)
  • Lys(リジン)

 

* Cit(シトルリン)はタンパク質に含まれるアミノ酸ではなく、
体内やスイカなどの食品に含まれるアミノ酸です。
シトルリンには血管拡張作用・疲労回復作用があるとともに
それ自体が抗酸化物質です。
はじめの方に書きましたが、
必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つは
BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれます。
 
ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに比べて、 
 BCAAは主に筋肉と脳で代謝され、
運動エネルギーとなる必須アミノ酸群です。
筋肉を作るアミノ酸ですので、
筋肉犬育成には必須のアミノ酸とも言えます。
 
上記の表でわんこに多い病気のほとんどで
このBCAAが低下しています。

筋肉犬であることが、病気予防にいかに大切か、
その裏付けにもなりますね。
みんな良質なアミノ酸バランスのタンパク質をしっかり摂って
元気いっぱいの筋肉犬を維持しましょうね。

 

pop-line.gif 

 

chuchu-from-kakomie-summer.jpg

 

アミノ酸って奥が深い!!
しっかり筋肉犬にしてあげるにはこれとこれを加えて
・・・なんて、気がついたら違う方向へ行ってたり・・・
 
そして、最近サボっていたCoCoっちの「卵の殻ふりかけ」
また再開しようと決意!!です。
 
難しいことはいっぱいですが、大事なのは「バランス」
そのバランスを取る際に「どうせなら良い食材を」で
そんな感じで楽しく取り入れていただけたら嬉しいです。
みんな良質なタンパク質をしっかり摂って、ずっと元気な筋肉犬でいましょうね。
 
もうすぐお花もいっぱい咲き誇る春~!!
美味しいご飯で筋力アップして、元気に春を迎えましょうね!

 

Mar.2016
  

 pop-line.gif 

© Paw Paw Club Inc. All rights reserved.