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タンパク質とアミノ酸
今回のお勉強室は「タンパク質とアミノ酸」です。 我が家のCoCoっちはパピーの時から生食で育てていますが お肉と骨の割合が全体の75%-80%です。 最近はそこにさらにお豆腐も足すので85%くらいになってるかな。
「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」どっちが良いでしょう?これは以前によくいただいていたご質問なのですが、 アミノ酸スコアのことや動物性タンパク質の注意点など、 病気の子やシニアの子にも気になる内容なので取り上げることにしました。 タンパク質は、私たちの身体を構成する大変重要な栄養成分です。 筋肉、皮膚、内臓、骨、血液だけでなく、 酵素やホルモン、神経伝達物質なども、全てタンパク質からできています。 私たちの身体を構成するタンパク質は トータル20種類のアミノ酸から構成されています。 アミノ酸とはタンパク質の構成成分で生命体の構成成分です。 自然界には多くのアミノ酸が存在しています。 そのアミノ酸の中でも、体内では生成できないので、 必ず食事から摂取しなければならないアミノ酸を 「必須アミノ酸」と呼びます。 その中でもバリン、イソロイシン、ロイシンは BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、特に重要で、 不足すると食欲不振、栄養不足となります。 また非必須アミノ酸は体内でも作られますが 食品で足してあげると良いアミノ酸で、 この2つとも生命維持に必要なアミノ酸です。 タンパク質を構成するアミノ酸の種類は全部で20種類です。 全ての略号を以下にまとめておきますね。
必須アミノ酸 略号 |
非必須アミノ酸 略号 |
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まずは、わんこに必要なアミノ酸を知りましょう。 わんこの必須アミノ酸はヒトの必須アミノ酸9種類に スレオニン(トレオニンとも呼びます)を加えた10種類です。 表にまとめると・・・ 必須アミノ酸(略号)
ヒト
わんこ
にゃんこ
トリプトファン (Trp) ○ ○ ○ リジン (Lys) ○ ○ ○ メチオニン (Met) ○ ○ ○ フェニルアラニン (Phe) ○ ○ ○ バリン (Val) ○ ○ ○ ロイシン (Leu) ○ ○ ○ イソロイシン(Ile) ○ ○ ○ ヒスチジン(His) ○ ○ ○ アルギニン(Arg) × ○ ○ スレオニン(Thr) ○ ○ ○ タウリン(Tau) × × ○
次に各アミノ酸の働きを知りましょう。 必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つは BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれて、 特に動物性タンパク質に多く存在します。 ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに比べて、
BCAAは主に筋肉と脳で代謝され、運動エネルギーとなる必須アミノ酸群です。 筋肉を作るアミノ酸ですので、 筋肉犬育成には必須のアミノ酸とも言えますね! * 多く含むものの値は、全て生の状態での含有量です。
わんこの必須アミノ酸 |
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アミノ酸 |
働き |
どんなものに多いの? |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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制限が必要な病気 |
含有量が少ない食品 |
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わんこの非(準)必須アミノ酸 |
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アミノ酸 |
働き |
どんなものに多いの? |
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各アミノ酸の働きはざっとわかったけど、 結局のところ、良質なタンパク質ってなに?
それは「どれほど身体に効率的に取り込まれるか」その指標となるのが「生物価(BV)」となります。
この生物価が高いほど、身体に効率よく取り込まれる(吸収される)タンパク質と言えます。
「効率よく」取り込まれることは身体にとって、窒素などの余分な代謝物になりにくいということ、 それはつまり、肝臓や腎臓に負担をかけないということです。 しっかり身体に吸収されるということは ウンチになる量がより少ないタンパク質ということにもなります。 この生物価というのは身体に残った窒素(アンモニア)数を 吸収窒素数で割ったものに100をかけて算出するのですが、 アミノ酸スコアが100の全卵でも生物価は87-97と言われています。
この生物価に「消化吸収率」をかけたものが「正味タンパク質利用率」となります。 他にもPDCAAS=タンパク質消化吸収率補正アミノ酸価 というのがありますが、専門的なのでここでは取り上げません。 ・・・と、タンパク質の質をはかる指標はいろいろありますが、 身体を使った指標などは家庭で計算できないので、 食品に含まれるタンパク質の中の必須アミノ酸構成から評価した (各食品の窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が 基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価した) 「アミノ酸スコア(NPU)」や 各食品に含まれる必須アミノ酸が、 人体が必要とする必須アミノ酸のバランスと比べて どれだけ含有されているかを評価した「プロテインスコア」を指標にします。 アミノ酸スコアとはその食品の中に必須アミノ酸が 「どれくらいバランスよく含まれるか」というものです。 全てがバランスよく含まれれば100に近く、 必須アミノ酸の中の一つでも値が低いと 全ての必須アミノ酸の平均点となるアミノ酸スコアが下がります。 この時の最低値を示すアミノ酸を「第1制限アミノ酸」と呼びます。 プロテインスコアとは卵のプロテインを理想的な100として その他の食品のプロテインバランスを評価したものです。 天然のタンパク質の中で全卵のアミノ酸スコアは最も高く、 その生物価はほぼ100(87-97)と評価されています。
以下の表では動物性タンパク質と植物性タンパク質の アミノ酸スコアとプロテインスコアを比較しています。
アミノ酸スコアとプロテインスコア |
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動物性タンパク質 |
アミノ酸スコア |
プロテインスコア |
植物性タンパク質 |
アミノ酸スコア |
プロテインスコア |
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* 卵は生卵を飲むと元気になるイメージがありますが、 タンパク質の身体への利用率は、生卵で51%、加熱した卵で91%です。
加熱した卵のタンパク質の方が身体に有効利用されるということです。これは卵白に含まれるオボムコイドという糖タンパクが、 タンパク消化酵素トリプトシンの作用を阻害して、 タンパク質の吸収を妨げるというのが理由です。 (加熱するとオボムコイドは働かなくなります)
もちろんCoCoっちの生食にも卵は加熱して加えています。わんこに卵白の生はビオチンの吸収を妨げるのでNGですが、 利用率を考えても加熱してあげてくださいね。
上記の表を見ると お豆腐以外は動物性タンパク質の圧勝です。
・・・が、動物性タンパク質の問題点・・・それはリンを多量に含むこと!!
なので、植物性タンパク質もちょこっと加えてバランスを取ってあげるのも良いですね。 卵の殻にりんご酢をかけた「卵の殻カルシウム」は 一般的にリン吸着効果のある「炭酸カルシウム」よりも 優秀と言われていますので、 動物性タンパク質の過剰摂取が気になっている子は ぜひ試してみてね。 リン吸着にお役立ちの「卵の殻ふりかけ+リンゴ酢で泡泡」は お勉強室の 「CoCoっちご飯」 でもご紹介しています。
詳しい理論は 「生食とカルシウム」 に載せていますので ご参考になさってくださいね。
プロテインをがんがん摂取して筋肉犬になるぞ!の場合は アミノ酸の「バランス」が最も大切です。 鶏卵がアミノ酸スコア100なら それを中心とした食事がパーフェクトなのかというと それはまた違ってきます。 鶏卵は含硫アミノ酸の含有量が、肉や魚、牛乳より多いので、 動物性タンパク質の中では、血液を酸性化させ易い食品とも言えます。 (含硫アミノ酸値:鶏卵168・豚肉114・牛乳106) なので、やはり「バランス」が大事。 例えば(わんこに穀類は推奨されませんのでこれはヒトの場合ですが) お米と大豆を一緒に食べるとプロテインスコアは100となります。 お米には大豆に多いリジンが少なく、大豆に少ない含硫アミノ酸が多い、 大豆にはリジンが多いのに、含硫アミノ酸が少ない、 なので一緒に食べることでお互いがに不足しているアミノ酸を 補うためアミノ酸のバランスが100点となります。 各食品のアミノ酸バランスを調べていったらキリがないのですが、 バランスよくなんでも食べる、その中でアミノ酸スコアの高いものを ちょっと意識して取り入れるというのが、無理がないかな?
そんな意味も含めてアミノ酸の分類表を載せましたのでトータル的に見て、ご参考になさってくださいね。
わんこには動物性タンパク質!ではありますが、 それらばかりを多量に食べ続けると、 アンモニア・硫化水素・メタンガス・ヒスタミン・ ニトロソアミン・インドールなどの毒性物質が腸内で発生します。 加えて、動物性タンパク質を多く摂取することで 尿中にリン酸塩や硫酸塩が多くなり、pHが酸性に傾き、 カルシウムの再吸収が抑制されるために、 尿中にカルシウムが多く残り、尿中クエン酸が減少し、 結石の原因にもなりやすくなります。 タンパク質を多く摂取することで、 アミノ酸の分解の際に生じる窒素が多くなり その処理を担う肝臓や腎臓に負担がかかります。
わんこに多い病気と血漿中のアミノ酸濃度 |
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病名 |
上昇するアミノ酸 |
低下するアミノ酸 |
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* Cit(シトルリン)はタンパク質に含まれるアミノ酸ではなく、 体内やスイカなどの食品に含まれるアミノ酸です。 シトルリンには血管拡張作用・疲労回復作用があるとともに それ自体が抗酸化物質です。 はじめの方に書きましたが、 必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つは BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれます。 ほとんどのアミノ酸が肝臓で代謝されるのに比べて、
BCAAは主に筋肉と脳で代謝され、運動エネルギーとなる必須アミノ酸群です。 筋肉を作るアミノ酸ですので、 筋肉犬育成には必須のアミノ酸とも言えます。 上記の表でわんこに多い病気のほとんどで このBCAAが低下しています。
筋肉犬であることが、病気予防にいかに大切か、その裏付けにもなりますね。 みんな良質なアミノ酸バランスのタンパク質をしっかり摂って 元気いっぱいの筋肉犬を維持しましょうね。
アミノ酸って奥が深い!! しっかり筋肉犬にしてあげるにはこれとこれを加えて ・・・なんて、気がついたら違う方向へ行ってたり・・・ そして、最近サボっていたCoCoっちの「卵の殻ふりかけ」 また再開しようと決意!!です。 難しいことはいっぱいですが、大事なのは「バランス」 そのバランスを取る際に「どうせなら良い食材を」で そんな感じで楽しく取り入れていただけたら嬉しいです。 みんな良質なタンパク質をしっかり摂って、ずっと元気な筋肉犬でいましょうね。 もうすぐお花もいっぱい咲き誇る春~!! 美味しいご飯で筋力アップして、元気に春を迎えましょうね! Mar.2016
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