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  5. 脂漏性皮膚炎とマラセチア
 11月 15, 2014  PawPawClub, PawPawお勉強室  病気のケア,  * 病気と家庭でできること

chuchu-from-kakomie.jpg脂漏性皮膚炎・悪さをするイースト(酵母)って?

 

今回のお勉強室は、これから暖房の入る季節に入って意外に多い
「脂漏性皮膚炎・マラセチア(イースト)による感染症」を取り上げます。
マラセチアによるお耳のトラブルや皮膚の炎症は夏に最も多いのですが、
冬場もお部屋の暖房や加湿で意外に多かったりします。
季節の変わり目でぶり返しちゃったというご報告も頂いていますので
ちょっと季節外れっぽく感じられますが、取り上げてみました。
イーストはつぼみのような胞子体の真菌で、
マラセチアとも呼ばれる酵母です。

 イーストは常在菌で、ヒトも犬も健康な状態であれば

そのバランスを崩すことなく、身体に普通にあるものなのです。
 
健康な犬の皮膚フローラ(*皮膚微生物叢)には自然に発生するイーストの軽い層と
同じように自然に発生するブドウ状球菌が存在していて、
これらの健康なレベルはバランスのとれた免疫システムによって保たれています。
(*Normal Flora は「通常真菌叢」とも訳されます)
 
このバランスはなぜ崩れるのか?
そしてどういった症状が出るのか?
どうしたらバランスを保てるのか?
今月のお勉強室ではそんなことをお勉強します。
 
CoCoっちもかかった皮膚炎、みんなも気をつけて過ごしていてね。

 

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  イースト(マラセチア)感染症が発症する仕組み

 

免疫システムが正常に保たれているとき、
身体のバランスは平衡を保たれ、免疫機能は正常です。
 
そのことは皮膚においても同じで、
脂腺から分泌された皮脂は皮膚表面で汗などの水分と混ざって
皮膚表面をコーティングする「皮脂膜」を形成します。

皮脂膜は正常な状態では弱酸性で殺菌作用を持ち
有害物質の侵入や感染予防に役立っています。

免疫機能が低下している状態では、このバランスが保てない為
pHが崩れた結果としてイーストが異常繁殖する場合があります。
 
逆に、アレルギーなどの過剰免疫反応がある場合も
バランスが保てないことで、イーストが異常繁殖する理由となります。

アレルギーで受診すると、過剰な免疫反応を抑える目的で
ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤を処方される場合がありますが、
(これは症状を改善しますが、アレルギーの根本的な治療にはなりません)
このような薬剤で免疫反応を抑えている間は
皮膚フローラ(皮膚微生物叢)は正常な細菌叢レベルを調整することも
そのバランスを取ることもできません。
その結果としてイーストの増殖を招く結果となります。
 
また、アレルギーによる2次的な感染を防ぐために
抗生物質が処方される場合も多いと思います。
抗生物質は悪い菌と一緒に皮膚フローラ(皮膚微生物叢)の
善玉菌まで一掃してしまうので、結果として
悪い状態を更に悪くしてしまうことも少なくありません。
 
アレルギーを持つ犬の皮膚にイーストが異常発生している場合、
「イーストに対するアレルギー」である可能性があります。
皮内テストを行うと、アレルギーを持つ犬は彼自身の常在菌である
イーストに過度に反応していることが明らかになる場合があります。
 
イースト(マラセチア)が増殖する為には脂質が必要なため、
皮脂腺から分泌される皮脂を栄養にして増殖していきます。

皮脂の成分の1つであるトリグリセライドは
マラセチアが分泌する酵素リパーゼによって脂肪酸に分解され、
その分解された脂肪酸が炎症や痒みを引き起こすのが脂漏性皮膚です。
 
アレルギー反応は身体全体に起こりますので
非常に深刻で鼻の先からしっぽの先端まで赤くなり、
ヒリヒリとした炎症を起こします。
このような場合は分解されて出来た脂肪酸だけでなく
過剰増殖したマラセチア自体も炎症を起こさせています。

 

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  イースト過剰反応の兆候と症状

 

獣医さんでの確定診断は皮膚を綿棒でこすったものを
顕微鏡で検査する「細胞診」と
皮膚の一部を培養する「培養診」によります。
(球形から卵形をしたマラセチアや
棒状に分化したマラセチアが見つかります)
 
しかし、こういった検査の前に
飼い主さんがまず気が付けることがあります。
それは「匂い」

イースト感染している子は普通(正常な時)の犬の匂いではありません。
イースト臭というのは独特な臭いですので、気が付くのも容易です。
例えば、カビの生えたパンのような臭いだったり、
ある種のチーズのような臭いだったり、
カビ臭い、不快な臭いであることに間違いはありません。
 
あんよがカビ臭かったり、お耳からすえたような発酵臭がしていたら
それはも違いなく「イースト感染症(マラセチアの過剰増殖)」です。
 
匂い以外の兆候は「掻くこと」です。
バランスを崩して異常繁殖したイースト感染は非常に「痒い」のです。

お耳を掻きむしったりしていませんか?
お手手を必要以上に舐めたり噛んだりしていませんか?
そんな時はまず「匂い」を嗅いでみてください。

 

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    感染除去方法:ステップ 1 - 抗イースト食

 

イーストの異常増殖が確認された場合、
まず皮膚フローラ(皮膚微生物叢)を
正常な細菌叢レベルにしてあげなくてはなりません。
 
そのためにまず必要なのが「抗イーストダイエット」です。
抗イースト食は「抗炎症食」でもあります。

イーストは「糖分」を栄養としてエネルギーを得ます。

「炭水化物」は体内で分解され、「糖」に変わりますので、
イースト感染の場合に「最も避けるべき食材」と言えます。
 
炭水化物と糖分を徹底して避けた食事は
イースト感染の改善に最も大切なステップです。
食事は「低糖分」の徹底が必須です。
ジャガイモ、コーン、小麦、米などの炭水化物は、
徹底的に避ける必要があります。
これは、とっても重要なステップです。

またハチミツはある種の有益食材ではありますが
「糖」ですので、やはりイースト感染には避けるべき食材です。
 
手作り食でない場合、コマーシャルフードのラベルに
以下のものが記載されていないか確認してください。
「トウモロコシ、小麦、米 など、すべての炭水化物とスターチ、
蜂蜜、高果糖コーンシロップなどの糖類」
 
脂漏性皮膚炎に対しては、皮脂を抑える効果のある栄養素として
ビタミンB2、ビタミンB6が挙げられます。
 
抗真菌性のあるナチュラル食材を少し、
食事に加えることはとても有効です。
ごく少量のオレガノやガーリックには
抗真菌作用と抗イースト作用がありますので、
身体のイーストレベルを低下させるのに役立ちます。
 
またグレープフルーツシードエキスやエチネシアチンキなどの
感染に対抗するハーブを短期間(5-7日間)与えることも有効です。
腸内細菌を元気にするアシドフィルス菌、
バランス栄養食と一緒にがお約束です。
 
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  感染除去方法:ステップ 2 - イースト感染部分の消毒方法

 

イースト(酵母=マラセチア)が原因となっている炎症性の皮膚病
「脂漏性皮膚炎」や「フケ症」は、原因であるイーストを「除菌」すれば
症状は改善します。
 
イースト感染で病院にかかると抗真菌作用のあるクリームや
軟膏を処方されると思います。
 
その抗新菌作用のあるクリームや軟膏を使い
マラセチアが死滅するとフケのようなかさぶたのような層を作ります。
それを取り除かないで抗真菌剤のクリームなどを塗ると
マラセチアの死骸の層の上に更に層を重ねることになります。

この場合、まずはマラセチアの死骸の「層」を除去し、消毒しない限り、
皮膚状態を更に悪化させることになります。
 
実際にCoCoっちに皮膚症状(痒みとポツポツ)が出たとき
ティツリーを塗って様子を見ていたら
数日後に乾燥してフケのようなものがこびりついていました。
(最初はフケのような層に「え?ツメダニ?!」とビックリしました)
それをノミ取りコームのようなもので丁寧に剥がしました。
乾燥していると剥がしにくいので我が家ではハーバルスプラッシュに
ティツリーとラベンダーを混ぜたもので濡らしながら取り除きました。
そこにティツリーを追加で塗って1日。
翌日に更に乾燥したものと、前日取りきれなかった層を取りきって
ハーブバターを塗ったら翌日にはほぼきれいに、数日後には完治しました。
 
とにかく大事なのは
「消毒後にイーストの死骸の層をしっかり取り除くこと」
毛をかき分けてしっかり取り除いてあげてくださいね。
そしてその後「消毒」をしっかりして「殺菌」することです。

 

・・・ CoCoっちのぶり返す膿皮症の処置と経過 ・・・
 
またお腹ブツブツができたのでティツリーの原液を塗りました。マラセチアの死骸が固まっています。   ノミ取りコーム(我が家では眼ヤニちゃんを取るのに使っています)でマラセチアの死骸の層を取ります。
 
赤くてまだ痛々しいので、2-3日はハーブバターを塗ってあげます。   赤みが引いたら完治シャンプー。こんなにきれいに治りました。
 
 
  今回のケアに使った商品たち
 
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voice1_teatreeoil.gif voice1_herbbutter.gif
 
 
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  お耳にマラセチアを増やさないでね

 

マラセチアは皮膚にも炎症を起こしますが、
最もよく繁殖しやすいのがお耳です。

できれば毎日「匂い」をチェックしてください。

そして「イースト臭」がしている場合は「できるだけ早く」
そして「できるだけ完全に」イースト臭と耳垢が消えるまで
きちんとしたケア(クリーニング)をしてあげてください。
 
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一旦異常増殖を始めたイーストは自然に消えることはありませんので
ケアをしない限り、単なる耳垢(ワックス)からマラセチアの異常感染に
そしてその後、劇症細菌感染にまで悪化する可能性があります。

「早期発見・早期ケア」がとっても大切です。
 「外耳炎を防ごう」 も合わせてご参考になさってくださいね。

 

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  お散歩後の足洗い、半乾きでイーストを増やさないでね

 

イースト(マラセチア)は湿った場所や閉鎖気味の隙間が大好き。
だから垂れ耳わんこの外耳炎の原因になるのですね。

お耳以外にもお散歩後のあんよ洗いのタオルドライで半乾き状態の
脇の下や脚の付け根のしわ、肉球の間、外陰部や肛門周りを
特に注意して見てあげてください。
 
うちのCoCoっちはお散歩のあと、タオルドライだけで半乾き。
なのでお尻の下の部分と尻尾の付け根、
そしてお腹の部分とあんよの付け根にイーストが繁殖したのかも。

(今まではそんなことはなかったのですが、
今年はバルコニーの工事でずっと騒音続き。
そんなストレスが免疫力を低下させているのと、
ドリリングの振動でサッシの隙間から入ってくる粉塵に
負けたのも影響しているのかもしれません。
工事が終わればトラブルなしに戻ると思うのですが・・・。)
 
ホリスティックな獣医さんのおすすめの足浴ディップがあります。

1ガロン(約3.8リットル)の水に
カップ1杯(こちらでは240ml)の過酸化水素水(オキシドール)と
カップ1-4杯(240mlから約1リットル)のホワイトビネガー(白酢)を
加えたもので足浴させてあげる方法があります。

足浴後はすすぎ流すことはしないで、よく乾燥させます。
すすがないことで自然な抗真菌剤の役目をするのと
足を舐めたり噛んだりすることの予防にもなるからです。
 
このディップは1日に必要だと思われるだけ使用できますが、
大切なのはディップしたあとは「必ずよく乾かすこと」です。
なぜならマラセチアは「乾燥」が苦手だから
よぉく乾かしてやっつけちゃいましょう。

 

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  イースト退治の完治シャンプー

 

身体にマラセチアが異常繁殖している場合は
「ナチュラル」な抗真菌シャンプーが勧められます。

バック石炭やタール誘導体などから作られている
非常にきついシャンプーは絶対に使用しないでください。

ナチュラルなシャンプーであれば必要に応じて頻回に使用して構いません。
 
ただし、「オートミールシャンプーはイースト感染には禁忌」です。
オートミールは「穀類」ですから、イーストの餌になるものです。
 
例えばティツリーオイルやその他ハーブブレンドなど
「抗真菌作用」を持つシャンプーを選んでください。
 
蒸し暑い夏のあいだには以下の「抗イーストリンス」もお勧めです。
このリンスはシャンプー頻度3回に1回程度で使用します。

抗イーストリンス:水1ガロン(約3.8リットル)に対し
ビネガーまたはレモン汁1カップ(240ml)を加えたもの
またはペパーミントオイル 20滴を加えたもの
 
レモンリンスのもうひとつの作り方は
薄くスライスしたレモン1個を
沸騰させた1クオート(0.95リットル=約1リットル弱)のお湯に加え
10分間ボイルします。その後、蓋をして3時間かけて冷やします。
シャンプーの後、首から下にかけてあげます。
すすがないでタオルドライをします。
このリンスは特に吹き出物やホットスポット、感染症に効果があります。
 
ティツリーシャンプー後、これらのリンスをすることで
マラセチアをノックアウトすることができます。
また、これらのリンスはとても香りが良いので快適でもあります。
 
この「抗イーストリンス」のポイントと注意点は
顔や頭には絶対に使用しないこと、目に入らないように注意。

背中から流してコートと皮膚によくすりこんであげてください。
すすがないでタオルドライでしっかり乾かしてください。
 
上記のあんよ洗いのところで出てきた過酸化水素水(オキシドール)と
「抗イーストリンス」の「レモン汁」は
黒いコートの子には漂白剤となり、毛の色を明るく脱色させてしまいますので
これらの代わりに「ビネガー(お酢)」を使用してくださいね。
 
CoCoっちの場合はハーバルシャンプーで全身を洗ったあと
シャンプーの泡あわはそのままで
炎症のあるところ(身体だけ)にティツリーの原液をポタポタ。
その後、患部にしっかり5分くらいマッサージしながら塗りこみます。
その後流して、必要なら上がり湯にもティツリー
またはラベンダーを数滴加えたものを首から下にかけます。
 
CoCoっちの「完治シャンプー」もご参考になさってくださいね。
 

CoCoっちの完治シャンプー 1

CoCoっちの完治シャンプー 2

 

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  それでも繰り返す頑固なマラセチア感染には

  

この記事をこのシーズンに真剣に読んでらっしゃるママさんの子は
きっと「繰り返す頑固なマラセチア感染症」の子かな?

・・・というのは、イーストは蒸し暑い夏のあいだに特に繁殖するからです。
もちろんこれからの季節でもお部屋が暖房でぬくぬく、
しかも保湿が十分なお部屋で過ごしている子はイーストも大好きな環境なので
一概には言えませんが、1年を通してイースト感染を起こしている子の場合は
潜在的な「免疫システム」の問題を考える必要があるかもしれません。
 
その場合は獣医さんで免疫テストを受けて
免疫グロブリン濃度(IgG、IgMとIgA)を測定してもらってみてください。
安定したイースト菌レベル(正常な状態)の場合には
これらの数値は低く出ます。
もしも免疫グロブリン濃度が正常範囲であれば
どのような感染症でもそして特にマラセチアのような常在菌による
感染症は克服できるはずですので、そのことがご希望になりますね。
 
マラセチアとストレスの関係について
興味深い記事を見つけましたのでリンクを貼っておきますね。

マラセチアを認識する受容体が、ストレスで発現するレクチン「Mincle」と判明
皮膚疾患の原因となる病原性真菌マラセチアの受容体を同定

やっぱりCoCoっちの皮膚炎は騒音によるストレスだったかも
騒音がひどいと出るから正直な身体なのですね。
今は治っているのに、今日もまた騒音が・・・
早く工事終わって欲しいです。
 
CoCoっちの皮膚病は、食事に消化酵素(Paw's A.G.E.)を再開したこと
ビタミンミネラルサプリ(フォーエバーパップ)を再開したことも
関係しているようで本当にきれいに治りました。

食事と腸内環境、やはりこれは一番大切だと思います。
CoCoっちも治ったので、きっとみんなも治るよ。
ちょっと時間がかかる子もいるかもしれないけど、
食事と自然療法で頑張ろうね。

 

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この時期、落ち葉や枯葉に深まる秋を感じながら一緒に歩く幸せ。
    晩秋の黄昏時は日差しも柔らかくて金色の光の中で
    シニアになったチュ~ちゃんと拾った松ぼっくり、
    まだ幼かったCoCoっちと早朝の公園で拾ったどんぐり、
    そんな優しい思い出たちがセピア色に染まりながらキラキラと輝いています。

 

これからサンクスギビングが来て、そしてクリスマス・・・
    本当に1年が経つのがすごく早く感じます。
   これからは急に冷え込んだりする季節、
    シニア組さんたちは特に注意してあげてくださいね。
 
みんな深まる秋を堪能しながら元気元気に過ごしていてね!

 

Nov.2014

 

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