外耳炎を防ごう!
今回は、最近「この季節になるとお耳を痒がるんです」でというご相談が多く、
春から夏にかけてたくさんのわんこを悩ます「外耳炎」です。
外耳炎は放っておくと中耳や内耳まで影響が出ますが、外耳炎自体は匂いやお耳の垢などで異常が発見しやすいので お家での注意点などもを取り上げようと思いました。
最近、アレルギーの子の多さにも驚きますがアレルギーの症状として最も出やすいのが皮膚症状と外耳炎でもあります。
普段から予防していても湿度の関係や他のわんこからの耳ダニプレゼントでもらってしまう子も少なくありません。
そして1度かかると再発しやすいやっかいなものなんです。
素人判断で放っておいて悪化するケースもありますので、ここで少し一緒にお勉強してみましょう。
早期発見がいかに大事か理解していただき、お耳のチェックを毎日のお手入れに加えてくださいね。
お耳の入り口から鼓膜までを外耳と呼びます。外耳炎はここに炎症を起こす病気です。 炎症を起こしたまま放置すると、中耳炎や内耳炎まで引き起こしますので注意が必要です。 原因はお耳の中に生えた毛に耳垢が絡みついて取りきれないところに湿気が貯まったりして、 細菌やカビなどが住みやすい環境になることやアレルギーなどの2次的症状、 それと接触するだけでうつるダニだったり、常在菌の増えすぎだったりします。
外耳炎は垂れ耳わんこの宿命的な病気ですが、 垂れ耳じゃないのに、外耳炎になっちゃうわんこもとても多いのです。 わんこやにゃんこの外耳道は一旦真下に降りてそれからインサイドに向かって 直角に曲がるL字型をしています。そしてそのL字の先に鼓膜があります。 外耳炎になりやすいのは、自然に乾燥しにくい構造になっているからなんです。 外耳動が曲がっているので乾燥しにくい上に 垂れ耳わんこは更にお耳に蓋をしちゃう状態なので、更に乾燥しにくい状態にありますね。
お耳の中に毛が生えているのも外耳炎の原因になります。 マルチーズ、シーズー、ヨーキー、シュナウザー、プードルなどはお耳の中に毛が生えています。 こういった犬腫の場合は、耳垢などがお耳の中の毛に絡まって取れにくく それが悪化の原因にもなります。お耳の中の毛は定期的に抜いてあげて、 お耳の中が少しでも乾燥しやすい状態に保つ工夫が必要です。 アレルギー性の外耳炎は、ウェスティ、シーズー、プードル、柴犬、 スコッティー、ビーグル、リトリーバーなど肌の弱い子に多いです。 こういった子たちは接触性皮膚炎になりやすいので、 全身状態とあわせてしっかりチェックしてあげてください。 お耳の細菌が全身の皮膚に回る可能性もありますので要注意です。 また体質的に外耳炎を起こしやすい子はキャバリアやコッカーなどスパニエル系の子たち、 スパニエルの子は且つ垂れ耳なので、普段からお耳の匂いは要チェックです。 グルーマーをやってた頃、スパニエル系の子たちはお耳の悪い子が70%くらいでした。
外耳炎の種類
耳垢の色・匂い・感触など
原因
耳疥癬 黒い色から茶褐色の乾いた感じの耳垢
ミミヒゼンダニというお耳に寄生するダニ
- 俗に耳ダニと言われるものです。
- パピー(特に生後2-3ヶ月)の子がかかりやすく、多頭飼いの場合は1匹が感染すると他の子も感染している場合がほとんどなので要チェック。パピーを迎えたらまずお耳のチェックをして下さいね。
- 痒いので耳を掻く、頭を振るなどの症状が見られます。黒いカサカサした耳垢が出ていないか確認してください。ミミヒゼンダニはお耳の皮膚表面をひっかきながら通るのでお耳をとても痒がることが特徴です。
- 耳ダニの疑いがあるような耳垢を見つけたらお耳の中に綿棒を入れたりする洗浄方法はいけません。耳ダニの場合、過度な刺激は悪化を招きます。外耳をイアウォッシュなどで湿らせたコットンなどで清潔に拭いてあげてください。
- 黒い耳垢を発見したら、受診をお勧めします。病院では耳垢を取って耳ヒゼンダニがいるかどうかを確認してくれます。耳ダニが発見された場合はお耳の洗浄をしたのち、ダニを殺す薬で治療されます。
- このダニは3週間周期で成虫になるので、3週間後に再発することが多いといわれます。そのためになかなか完治しにくいので定期的な受診を勧められます。
マラセチア性外耳炎 イースト臭・赤黒いまたは茶褐色で
脂っこい湿った感じの耳垢マラセチアという常在酵母菌(イースト)
- 普段は常在していてなんの害もないもの(マラセチアも酵母として常在しています)が外的環境(湿気や温度など)で増えすぎると痒みや匂いを伴うようになります。
- マラセチアは常在菌ですが、脂っこい環境を好み、増えると自分たちの住みやすい環境にお耳の中をどんどん変えて行く為に耳垢は脂っぽい酸っぱい酵母臭の強い赤黒い耳垢が出ます。お耳が臭いと思ったらマラセチアの可能性が高いのです。こちらでは外耳炎の原因として一番多いものです。(こちらではイーストと言います。昔チュ~ちゃんもなりました。)
- とても痒いので、お耳を掻き掻きするためにお耳の中が真っ赤になる場合もあります。そしてイースト臭がするので臭いんです。そのぶん早期発見できるものでもありますね。
- マラセチアが増えた状態でお耳を掻くと、それが指の間に移ります。お耳を掻くと同時にPawをしきりに舐めるという場合は要注意です。Pawの指の間をチェックしてみてください。脂っこい黄色いワックスのようなものは付いていませんか?(チュ~ちゃんが昔かかったときは、指の間にワックス状のものが付いていてこれが痒いらしく、しきりと指の間を舐め舐めしていました)また、内股や毛玉の下、わきの下や陰部などに移行する場合もあり、皮膚炎を併発します。
- 洗浄などで緩和する場合が多いのですが、ひどくなるとマラセチアの場合は普通の抗生物質では効果がないのでマラセチアに効く点耳薬などが処方されます。
耳垢性外耳炎 黄色の脂っこい耳垢
外耳炎の慢性化
- 外耳炎が慢性化してくると肉芽腫のように外耳が腫れて来ます。ひどい場合はお耳の穴が見えないほど腫れあがる場合もあります。
- 掻きすぎてそこが腫れあがるような急性のものもあります。この場合は、ノミやダニのアレルギーや食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などの2次症状として起こる場合などが多いので、本来の原因を探ることが必要となります。
細菌性外耳炎 強い悪臭のする膿状の黄色(薄い茶色)の耳垢
黄色ブドウ球菌(常在菌)・緑膿菌・大腸菌
- 細菌(細菌そのもの、細菌の出す毒素、細菌の排泄物など)に対してアレルギーを持っている子に発症しやすいのが特徴です。
- ブドウ球菌などは常在菌ですが、免疫力の低下などで増殖します。細菌への感染を防ぐと共に免疫力の増強によるアレルギーの改善がとても大切です。
- 河やプールで泳いだりする子も免疫力が弱っている場合は要注意です。
- シャンプーのすすぎ残しもアレルギー反応を増長させますのでシャンプー液は充分に洗い流すようによくすすいでくださいね。
- 細菌性外耳炎の場合は菌を特定して、その菌に対する薬を使います。普段から抗生物質軟膏などを使っていると常在菌の変化や耐性菌などが増えていざという時に抗生物質が効かない状態になります。
- ブドウ球菌もマラセチアと同じように湿った通気性の悪い脂っこい場所で増殖します。お耳のお手入れで増殖を普段から予防して、彼らが住みにくい環境にしましょう。
アトピー性外耳炎 -
ハウスダストなどのアレルゲン
- アトピー性の外耳炎は、左右対称に起こり、とても痒く、赤くなった部分に熱を持つのが特徴です。
- アレルゲンとなりやすいハウスダストなどで、アレルギー体質となってそれがお耳の症状として慢性的な外耳炎を引き起こします。
- アトピーの症状は外耳炎だけではなく、お手手やあんよの先、腋の下、お口の周り、お目眼の周り、お腹、モモの内側などにただれが見られます。
- 原因を調べ、アレルゲンを徹底して絶つことが必要です。
急性アレルギー性外耳炎 -
草の種、花粉などのアレルゲン
- 急性アレルギー性外耳炎は、異物性アレルギー性外耳炎や接触性アレルギー性外耳炎とも言われます。アレルゲンとなる物質(草の種やその他のアレルゲンとなりうるもの)に接触することで起こります。
- 早期に原因となるアレルゲンを絶つことで改善しますが、放置すると症状が全身に拡がって慢性化して治療に時間がかかることになります。
- アトピー性外耳炎と同じように痒みがひどく、外耳道が赤くなります。
腫瘍性外耳炎 症状、経過によって膿などを伴う
新生物(腫瘍)
- お耳に出来てしまう腫瘍にも良性のもの(良性腫瘍)と悪性のもの(癌)があります。
- 腫瘍には、外耳炎が慢性化してできる腫瘍もありますので外耳炎を放置しないことが大事です。(慢性化した外耳炎の場合は、掻くことで皮膚に刺激を与え続けて腫瘍形成のきっかけを作ってしまう場合もあります。)
- 腫瘍はとにかく「早期発見、早期治療」がなによりも大切です。いつもお耳をよく触ってチェックしてあげてなにか異常を感じる場合は早期受診をしてください。
慢性化膿性外耳炎 悪臭を伴う膿
細菌
- 外耳炎を長い間放置しておくと、痒いので掻着続けることによってその部分の皮膚が傷つき、そこが細菌感染を起こします。そうなると更に痒いので、更に賓会に強く掻く事で粘膜を傷つけて細菌感染の範囲を拡げることになります。
- 症状によっては掻き跡が肉芽腫のように盛り上がってしまい、お耳の穴をふさいでしまう場合もあります。
- こういった慢性化した外耳炎になってしまうと、治療にかなり長い時間がかかります。また、お耳の穴をふさいでしまっているような場合には外科的な手術まで必要となります。
老年性脂漏性外耳炎 発酵臭のする黄色い耳垢
甲状腺ホルモンの不足
- わんこもシニアになってくるとホルモンバランスが崩れてくることによって外耳炎が起こりやすくなります。これは甲状腺ホルモンの不足によって皮脂の分泌異常が起こることと、2次的に男性ホルモンや女性ホルモンの分泌が減少してくるために起こります。
- 内分泌の異状によるものなので、知らない間に発症し悪化する場合が多いのでお耳を掻く動作が増えたらこまめにチェックが必要です。
- 悪化してしまった場合は、ホルモン異常や代謝異常も含めて病院での検査が必要となります。シニアの場合は外耳炎は病気のサインだったりしますので、特に注意して見てあげてくださいね。
お耳の匂いとお耳の状態、耳垢のチェック |
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お耳掃除でお耳の中をできるだけ清潔で乾燥した状態に保つ |
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お耳の中の毛を定期的に抜いて通気性を良くし、耳垢が貯まりにくくする |
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ダニの住みにくい環境にするためにお掃除の徹底・ダニ対策 |
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アレルギーのある子は食生活にも注意 |
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早期発見、早期治療 |
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綿棒で、お耳の奥まで拭く方法をお勧めしない理由・・・ |
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お手入れ前のお耳です。こ~んなに毛がいっぱい生えてます。 | イアパウダーで滑り止めして抜きやすくします。 | 手前の毛から徐々に抜いてゆきます。 |
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毛を抜いた後はイアパウダーが残らないようにイアウォッシュでぬらしたコットンや綿棒できれいにお掃除します。 | こんなにきれいになりました。さっぱりしたね~!優等生のお耳ちゃんです。うちでは、「よく聞こえますか~?どうですかぁ~?」と確認します。 | お耳の中の見えないところに残った水分は自分でこんな風にプルプルして飛ばします。トップノットがぶんぶんですね~。 |
垂れ耳わんこのヘビーな汚れは・・・ |
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ちょっとヘビーに汚れてるかな?の時は、こうしてイアウォッシュをお耳の中にポタポタっと入れてグチュグチュっとマッサージをします。マッサージされてる間、気持ちいいのでお目眼を細めてうっとりしてます。その後は上の写真のようにブルブルして自分で水分を飛ばしますので、ブルブルしたあとでお耳の表面に残った水分をコットンで拭き取ります。 |
食事はあくまで2時的な予防という意味です。 普段食べているものにこんなものを加えることでこんな効果があるんです。 消化酵素を含む食べ物で免疫力を上げながら、解毒・消炎作用のある食べ物やビタミンCを!
効果のある食べ物 |
どういう風に効果があるの? |
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こんな時 |
どんなハーブが有効なの? |
お耳の症状が春から夏にかけて悪化する場合 |
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イーストまたはバクテリアが原因の場合 |
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ハーブ |
どういう風に使うの? |
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有効ハーブをブレンドしたPaw's イアウォッシュもお勧めです!
外耳炎は、罹りやすくて再発しやすい最も多い病気だけど、 普段から抵抗力をつけて、しっかりケアしてもらって予防しようね。 春から夏にかけてどんどん湿気が高くなりますので、しっかりチェックしてください。 みんな、気持ちのいいお耳で過ごそうね~!
Apr.2003
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