ビタミンE
今回はわんことビタミン-3で、ビタミンEについてです。
シニアわんこに必要な栄養素としてもビタミンA、C、セレニウムとともに
筆頭にあげられるものです。
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、細胞膜や脂質を含んでいる組織を
フリーラジカルから守ってくれるビタミンです。
脂溶性ビタミンの中でも過剰症が比較的少ないビタミンでもあり、
短期のメガビタミン療法に使用されます。
(メガビタミン療法に関しては、ビタミンAのページ=わんことビタミン-1を見てくださいね)
その使用方法によっては大変有効な抗酸化ビタミンで、老化防止などに役立ちます。
小麦胚芽から発見された強力な抗酸化物質です。 ナッツ類や種子から取った植物油に多く含まれます。
ビタミンEの働き
- 強力な抗酸化作用があり、過酸化脂質(不飽和脂肪酸が酸化してできたもの)を分解し、活性酸素の害から細胞を守ります。
- 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の酸化を防ぎ、血管壁に付着しにくくさせることで、血管の老化を防ぎ、心疾患や脳卒中などを予防します。
- 過酸化脂質を分解することで血液の流れもスムーズにしてくれますので、血行障害からくる症状を緩和してくれるとともに、血管拡張剤の作用もあります。
- ビタミンEは黄体ホルモン・男性ホルモンなどの生成にも関わっていますので、更年期障害の改善にも使用されます。
- ビタミンA、ビタミンCの酸化を防ぐ働きがあります。メガビタミン療法でもそうですが、A・C・Eはチームワークで働くビタミンといっても過言ではありません。
- 細胞により多くの酸素を供給する働きがあり、肝臓・心臓・脂肪組織・筋肉・血中・生殖組織・副腎・脳下垂体などに蓄えられます。
- 身体の中に長い年月をかけて溜まったリボフスチン(老化色素で、過酸化脂質が蛋白質と結合したもの)はビタミンE摂取量が多いほど少ないと報告されています。
- 強い抗酸化作用には発癌のリスクを下げる働きがあります。
- 大気汚染物質が体内に入ると、その酸化性を押さえ込むためにビタミンEがビタミンAと一緒に積極的に働き、大気汚染物質から肺へのダメージを防ぎます。
- 利尿剤としての作用もあり、その結果血圧を下げる働きがあります。
- アミノ酸のシスティンやメチオニンの酸化を防ぐ働きがあります。
不足する事によって起こる問題
過剰症とは?
- 大気汚染物質から肺を守る役目があります(ビタミンAと一緒に働きます)ので、不足すると呼吸器系の障害が起きやすくなります。
- 筋肉・生殖器系の発育、回復、維持、免疫系に必要なものです。欠乏すると、筋組織にダメージを受けやすくなったり(栄養性筋ジストロフィーなど)、生殖器系の病気にかかりやすくなるとともに、免疫機能の低下を引き起こします。
- 過酸化脂質の分解が追いつかなくなるので、血液がどろどろになりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるとともに、末梢血管への血の流れがスムーズに行かなくなりますので、血行障害による障害が起きやすくなります。
- 黄体ホルモンの生成に関わっていますので、更年期障害や生理痛、不妊などの原因にもなります。
- 老化を防ぐビタミンとも言われますので、不足すると老化現象が進みます。
- 過酸化脂質は癌の発生原因のひとつですので、ビタミンE不足では発癌のリスクが高まります。
- 過酸化脂質が蛋白質と結びつくことで、肝臓や筋肉などの機能障害の原因となります。
- 紫外線で壊れる性質から、不足はシミなどの原因にもなります。
- 過度の不足では赤血球が壊れやすくなります。
- わんこに与える上限としては、メガビタミン療法の場合は1000IU/kgです。(これは治療目的の為の上限です。一般的な毎日の推奨量は下の表を参照してくださいね)ただし、極めて多い量のビタミンEを摂取する場合は、同時にビタミンA、ビタミンD、ビタミンKを追加で摂取する必要があります。
- 血液をサラサラにする作用(抗凝固作用)がありますので、過剰摂取は、血液の凝固を促進するビタミンKの吸収を妨げますので血液凝固障害の原因となります。メガビタミン療法において術前、術後の2週間にビタミンEを中止するのもこういった理由からです。(血液さらさら効果のあるハーブ(ガーリックやギンコなど)に関しても同じことが言えますので、手術前などの使用を控える場合もあります)出血障害のある場合はビタミンEの大量摂取はできません。
性質と注意点など
- ビタミンEは大きく2種類・細かくは8種類に分かれます。トコフェノールとトコトリエノールですが、それぞれ4種類のα・β・γ・δに分かれます。最も抗酸化力の高いαトコフェノールは自然の酸化防腐剤として使用されています。
- ビタミンEは植物オイルなどに多く含まれています。オイルは本来非常に酸化しやすい物で、且つオイルを完全に酸化から防ぐほどの量のビタミンEが入っているわけではありません。使用したオイルは早めに使い切って酸化した形の脂(過酸化脂質)を摂取しないように注意しましょう。
- ビタミンEはアルカリや紫外線、熱、塩素、鉄、鉱油などで壊れます。
- 無機鉄はビタミンEを破壊しますので、同時にとってはいけません。(少なくとも8時間は間を置いて摂取すること)
- 水道水には塩素が含まれています。塩素が多く含まれている水を飲んでいる場合は、より多くのビタミンEを必要とします。
薬とビタミンEの関係 [Vitamin Bible] の見解
- 高脂血症用剤(コレスチラミン・クロフィブラートなど)・下剤・結核治療薬はビタミンEを激減させます。
- 血液抗凝固剤(ワーファリンなど)を飲んでいる場合は同じ効果や相乗効果がありますので、血液抗凝固剤使用中で、且つビタミンEサプリメントを使用する場合には、ドクターに確認してください。
一緒に働く栄養素
ビタミンCにはビタミンEの抗酸化力を高める働きがありますので一緒に摂るのがベストです。 ビタミンEは、ビタミンA(βカロチン)・セレン・ビタミンCと一緒に働いて、それらの酸化を防ぎます。
* いろいろな食材を載せていますが、わんこに与えられる食材のみを記載しています。 アレルギーのある子はアレルゲンを避けた食品を選んであげてくださいね。 このマークが付いてる食品は我が家の先住犬チュ~ちゃんご飯(シニアの加熱食)に入っていた食材です。
油や種子類に多く含まれ、野菜や肉にはわずかしか含まれません。 うちでは小麦胚芽は全麦粉で作るパワーバーに含まれますが、 油脂類としては、一価不飽和脂肪酸が最も多いオリーブオイルをあげていました。 (小麦胚芽もオリーブオイルもビタミンE補給目的ではなく、心臓の為に加えてあげていました)
ビタミンEを多く含む食品 |
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多く含まれる食品 |
量 |
ビタミンE量 (mg) |
小麦胚芽 |
50g |
16.8 |
オリーブオイル |
50g |
3.8 |
サフラワー油 |
50g |
9.75 |
米ぬか油 |
50g |
13.2 |
コーン油 |
50g |
12.1 |
ひまわり油 |
50g |
19.6 |
卵黄 |
50g |
1.8 |
パセリ |
50g |
1.7 |
大豆(ドライ) |
50g |
1.8 |
モロヘイヤ(生) |
50g |
3.3 |
かぼちゃ |
50g |
2.4 |
アボカド |
50g |
1.7 |
赤ピーマン |
50g |
2.1 |
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(単独ではなくいくつかの抗酸化ビタミンのコンビネーションとなっています) 体重ごとの量が記載されていない場合は以下の体重を目安にしてください
小型犬
15パウンド以下(約7キロ以下)
中型犬
15-35パウンド(約7キロから16キロ)
大型犬
40-85パウンド(約18キロから39キロ)以上のジャイアント犬種
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免疫システムとビタミンE [Vitamin Bible] の見解 強力な抗酸化ビタミンであるビタミンEは、免疫システムに対して 強い影響力があり、ペットの身体を環境汚染物質や毒素から守ってくれます。 特に都会に住むペットには必須です。 ストレス下にある犬や大型犬は心臓病のリスクが高いので ビタミンEのサプリメントは大変有効です。
また、魚ばかりの食事を与えられているネコはビタミンE欠乏となりやすいと言われています。ツナ缶などは多価不飽和脂肪酸が多いので、より多くのビタミンEを必要とします。 ビタミンEが欠乏すると、食欲減退、発熱、身体の痛み、脂肪組織炎の症状が起き、 動くのを嫌がるようになってきます。
[Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 免疫力をサポートする為のわんこへのビタミンE量としては 5-10IU(mg)/lb/day (体重450gあたり1日5-10IUを1日1回)です。 おできや炎症とビタミンE [Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 感染などに関しては免疫を上げるビタミンを摂ります。 ビタミンC
5-10mg/lb/2-3times/day (体重450gに対して5-10mgを1日2-3回)
ビタミンE
5-10mg/lb/day (体重450gに対して5-10mgを1日1回)
ビタミンA
75-100IU/day を1日1回
上記の量を免疫を上げる効果のあるエチネシアやゴールデンシールと 1週間併用します。 口内炎や歯周病がある場合は上記のビタミンE量に ビタミンCとバイオフラボノイドを一緒に摂り、 (この場合は体重450gに対して10mgを1日2-3回) CoQ-10を 1-3mg/lb/day(体重450gあたり1日1mgを1回) ピクノジェノールなどの強力なバイオフラボノイドも併用します。 0.5-1mg/lb/day(体重450gあたり1日0.5-1mgを1回)
白内障とビタミンE [Herbs for Pets] の見解 ビタミンEの強力な抗酸化効果は他の栄養素と併用することによって 水晶体の濁りを遅らせることができます。 ビルベリーとビタミンEの併用で人間の老人性白内障の進行を 阻止する効果があることが証明されています。 この処方をペットに使用する場合は、アントシアノサイド25%のビルベリーエキスを 体重40パウンド(約18.0キロ)に対して20-40mgを1日3回与えます。
[The Encyclopedia of Natural Pet Care] の見解 [How to Have a Healthier Dog] の中でWendell Belfield は ビタミンA、ビタミンE、セレニウムを使用した獣医からの報告で 白内障が予防、進行阻止、改善されたと報告しています。
その他の栄養素としては、ビタミンC、バイオフラボノイドと微量ミネラルの併用も効果的だと述べています。 眼は他の臓器よりもより多くのジンク(亜鉛)を必要としますので 亜鉛を含むサプリメントを選ぶのが効果的です。 そのほかの栄養素として、カロチンは非常に有効です。 犬はキャロットジュースとして摂取する形が効果的なのに対し、 ネコの場合は、レバーなどの動物性のものから摂取するのがより効果的です。
[Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 眼の健康保持のためのビタミンE、ビタミンC量は以下となります。 加えてビタミンAを多く含む食事を与えます。
ビタミンC
5-10mg/lb/2-3times/day (体重450gに対して5-10mgを1日2-3回)
ビタミンE
5-10mg/lb/day (体重450gに対して5-10mgを1日1回)
心臓病とビタミンE [Natural Nutrition for Dogs and Cats] の見解 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクを下げる働きがあります。 ビタミンEの摂取によって心臓発作を予防できる確率は ヒトの場合、40-80%です。(摂取量による) ビタミンEとビタミンCの併用による効果が高いといわれています。 ハーバード大学の研究結果では、200IU/dayのビタミンEを2年間摂った男性が 心臓発作の発現率が40%低下したと報告されています。 動脈の壁に付着したLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が酸化し 塊になったものや血小板が互いにくっついたものが、 動脈の壁にくっついて心筋への血流を妨げたりすることが 虚血性心疾患の誘発原因となりますが、 ビタミンEは、LDLコレステロールの酸化を防ぐ働き(中和作用)や 血小板の凝集を防ぐ役割があります。
[Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 心臓病をサポートする為のわんこへのビタミンE量としては 5-10IU(mg)/lb/day (体重450gあたり1日5-10IUを1日1回) フラックスシードオイルも効果があります。 1日量は体重10パウンド(約4.5キロ)あたり1/4ティスプーンです。 またCoQ-10は心臓病を持つ場合に最も推奨できるサプリメントです。 -
ビタミンEの摂取量として400IUを超える場合(ヒトの場合)に関する報告もあります。 (参考のために効果だけでなく逆説的なレポートも取り上げておきますね) ヒトにおける試験報告ですが、その他の食事や運動など重要なことを併用せず サプリメント依存のみの過剰摂取に起因することが書かれています。 推奨量よりもかなり高い摂取量なのと、単体での使用報告ですので 「他のものと組み合わせてバランスよく」という意味では問題になりませんが 「病気に対して単体で高濃度に使用される」という部分では 気になりましたので、一応載せておきますね。
High doses of vitamin E supplements do more harm than good 11/10/2004 JAMA ( Journal of American Medical Association=米国医師会雑誌) 03/16/2004 ビタミンEは癌や心血管疾患の予防に有用ではないばかりか、 心不全のリスクを増大させる報告を受けた。 心血管疾患または糖尿病の罹患歴のある高齢者数千人を対象とした試験で、 ビタミンE摂取(400IU)群の方がプラセボ(偽薬)投与群よりも 心不全リスクが最大19%高いことが示された。
マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)集団健康調査研究所内科教授のEva Lonn博士らは、1993年12月~1999年4月にかけて実施されたHOPEと呼ばれる試験の終了後、 1999年4月~2003年3月にかけて、同試験の参加者から約4,000例を登録させ、 HOPE-TOO試験を実施した。 (HOPEとは、Heart Outcomes Prevention Evaluationのことで国際基準に基づくブラインドテスト) さらに、試験対象外の患者の医療記録からも追跡情報を多数評価した。 その結果、ビタミンE摂取群の方がプラセボ投与群に比べ心不全リスクが13%高く、 入院を必要とする心不全リスクは19%高かった。 Lonn博士によれば、リスクが高まる機序は明らかではないが、 酸化ストレスの存在下では、ビタミンEが抗酸化物質としてではなく 酸化促進物質として作用するのではないかと推測している。
今回の試験結果について、Lonn博士は、ビタミンEを摂取している人すべてが懸念する必要はなく、 ビタミン剤などの健康補助食品さえ摂取していれば、 十分な運動をして適切な食生活を送るなど、癌や心疾患を予防するための 他の手段を講じる必要がないと考える人が多いことに問題があると指摘する。
一方、健康食品業界を代表する米国栄養評議会(CRN)会長のAnnette Dickinson氏は、今回の試験が重篤な疾患に罹患し、種々の投薬を受けている 高齢者を対象としたものである点を指摘。 (この対象は、脳卒中の病歴、冠血管疾患か末梢血管疾患の既往、 または1つ以上の心血管危険因子を伴う糖尿病を有する55歳以上の患者) 「ビタミンEが数種の癌、眼疾患およびアルツハイマー病などの神経系症状に 有益性を示す試験が多数報告されている」と述べるとともに、 「健康な人であれば、1日あたり400IUのビタミンE摂取は安全である」との考えを示している。
[The American Heart Association] の関連レポート ダラスにおける研究発表 09/10/2007 ビタミンEは女性の深部静脈凝血の危険を減少させる可能性があるかも知れません。 ビタミンEの摂取は、女性のVTE(静脈血栓塞栓症=生命に危険を及ぼす凝血症候群)に対し、 危険なリスクを減少させる可能性を報告されています。 しかしながら、さらなる研究成果が慎重に検討されるまでは 患者が、処方された血液凝固阻止剤摂取を止めるべきでないと認めます。 VTEとは血管内で起こった凝血が体内を巡り、それが、肺、心臓または脳への血流を 妨げることによって生命に危険を及ぼすようになります。 ワーファリン(血液凝固阻止剤)はVTEを防ぐためにしばしば処方されますが、 副作用を慎重に見守る必要があります。 ボストンハーバードメディカルスクールの生物統計学助教授である Robert J. Glynn, Ph.D., Sc.D.,は、「ワーファリンに変わる副作用の低い予防策を 探し続けていましたので、この結果は非常に有意義である」と語っています。
肝臓病とビタミンE [Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 肝臓病をサポートする為のわんこへのビタミンE量と併用する栄養素 ビタミンC 5IU(mg)x2-3/lb/day (体重450gあたり5IUを1日2-3回) ビタミンE 5IU(mg)/lb/day (体重450gあたり5IUを1日1回) ビタミンB群 10mg/20-25lb/day (体重9キロから11.25キロに対し1日10mg)
ミルクシッスル
体重10パウンド(約4.5キロ)あたり1/4ティスプーン/1日 * シリマリンを多く含み肝臓を保護します
ターメリック 体重10パウンド(約4.5キロ)あたり1/4ティスプーン/1日 CoQ-10 1mg/lb/day(体重450gあたり1日1mgを1回) 肝臓病をサポートする為にビタミンEとビタミンCを併用します。 更にビタミンB群は肝臓の働きを助けます。
シリマリンを多く含むミルクシッスルは肝臓を保護し、ターメリックは肝臓を感染から守ります。 また抗酸化力に優れたCoQ-10も効果をあげます。
癌とビタミンE [Vitamin Bible] の見解 健康な免疫システムの維持、癌を予防するためのサプリメントプログラム (中型犬の場合。小型犬はこの1/2、大型犬は2倍が目安) * もしもマルチビタミン&ミネラルサプリメントを摂っている場合は 追加摂取すると2倍くらいの量を摂っていることになるので注意する。
ビタミンC
1000-2000mg
ビタミンE
200IU
ベータカロチン
15 IU (これはどんな大きさであっても同じ)
セレニウム
25mg (体重が20パウンド=約9.0キロの子はこの2倍)
こちらはわんこの癌予防の為の「ACES」プログラムです。 予防強化のためのプログラムですのでかなり多い量となっています。 * ACESとは抗酸化サプリメントの代表格、ビタミンA(ベータカロチン)、C、E、セレニウムを まとめた呼び方で、サプリメント大国アメリカで「抗酸化サプリ=アンチエイジング」として かなりの人口に積極的に利用されている組み合わせです。 ただ、そんな中で気になるレポートもありました。 私的には「総合的に他の栄養素とバランス良くが一番」という結論ですが、 ここでは「単体として分析しよう」という意味で載せさせていただきますね。
JAMA ( Journal of American Medical Association=米国医師会雑誌) 02/28/2007 デンマークのコペンハーゲン大学の研究チームが 抗酸化物質を含むサプリメント(栄養補助食品)を摂取すると、 種類によっては死亡率が高まるという分析結果を報告した。 研究チームは、抗酸化サプリメント(ビタミンA、C、E、セレニウム)の摂取と 死亡との関連を研究した過去の385例の研究を調べ、 23万22606人のデータを分析した。 その結果、すべての研究対象(約23万人)の分析では、 抗酸化サプリメントと死亡率に関連はなかったが、 研究チームが分類した18万938人のデータを含む47例の 高品質の研究のみの分析では、ビタミンAの摂取は死亡率を16%高め、 ベータカロチンは7%、ビタミンEは4%死亡率を高めたとしている。 なお、セレニウム摂取では死亡率減少の傾向があった。 ビタミンCには死亡率との関連はないとも報告している。
研究チームのゴラン・ビジェラコヴィク医師は、「北米、欧州の成人の1-2割である約8000万~16000万人が 抗酸化サプリメントを摂取していることを考えると、 今回の分析結果は実質的で意味がある。 抗酸化物質で活性酸素(フリーラジカル)を排除する時に、 本来の防衛メカニズムが妨害されることも考えられる。 病態と関連した抗酸化物質の働きのメカニズムを理解する必要がある」と述べている。
ただ、今回の研究で使用された研究例には深刻な病気を発症した人を対象とした研究も含まれている。 また、いくつかの研究は、通常の摂取量をはるかに超えたものなので、 このような結果が出たという指摘がある。 米ハーバード大学のMeir Stamfer栄養学・疫学学教授は、 「今回の研究の問題は、対象とした人や抗酸化物質の投与量が多様すぎた点だ。 全部一緒にまとめて分析することは適切ではない」と述べている。 糖尿病とビタミンE [The Encyclopedia of Natural Pet Care] の見解 ビタミンEにはグルコース感受性への改善作用がありますので、 糖尿病の場合は、ビタミンEの使用でインシュリンの量を減らすことができます。 25-200IUのフードベース(食品から摂った)総合ビタミンEを 獣医さんと相談しながら使ってみてください。 (オメガ-3脂肪酸を豊富に含むフラックスシードオイルと併用すると、 インシュリン耐性改善を促進させるという報告もあります) 前立腺の問題とビタミンE [Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 去勢していない(睾丸を残している)シニアのオスには 前立腺の肥大などの問題がよく起こります。 前立腺は亜鉛を多く含む臓器ですので、 他の栄養素と一緒に亜鉛を与えると良いと言われます。 悪性化を防ぐ意味で、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEとの併用が進められます。 その中でも前立腺に対する抗酸化効果が高いのがビタミンEなのです。 30パウンド(13.5キロ)まで:12.5mg/day それ以上-36キロまで:25mg/day 36キロ以上:50mg/day 1/4Tsp/10lb/day (体重4.5キロ毎に対して1/4ティスプーン・1日量) * フラックスシードはオメガ3脂肪酸と ガンマリノレン酸が豊富です。前立腺の問題には ガンマリノレン酸は非常に有効です。 ボリジまたは イブニングプリムローズ 30パウンド(13.5キロ)まで:125-250mg/day それ以上-36キロまで:500-1000mg/day 36キロ以上:1000-1500mg/day * ガンマリノレン酸が豊富です。 5-10mg/lb/day (体重450gに対して5-10mgを1日1回) 5-10mg/lb/2-3times/day (体重450gに対して5-10mgを1日2-3回) 1/2ティスプーン-1テーブルスプーンを できれば食前に与えます。 * 上記に加えて、ローヤルゼリーをひとつまみ、食事に加えてあげると効果的です。
ジンク(亜鉛) フラックスシードオイル ビタミンE
ビタミンC
ケルプ
ケルプ(海藻類)1/4-1ティスプーン与えます。
レシチン
-
変性脊椎症(変性脳疾患)とビタミンE [Homeopathic Care fo Cats & Dogs] の見解 Don Hamilton,DVM の見解 変性脊椎症(変性脳症)・Degenerative Myelopathy この症候群は犬、特に大型犬に起こりやすいものです。 最初に起こる麻痺症状としては時間に従って次第に悪くなる後足の麻痺、 そして、膀胱や腸の反応を失うことで失禁を起こします。
これらは脊髄の組織破損によるもので、痛みは伴いません。そのようなことから同じような症状を引き起こす脊椎の滑り出しによる症状や、 股関節異形成や関節炎などと、区別するのは簡単です。 この疾患の原因は不明ですが、自己免疫疾患であるため、 ワクチンがトリガー(引き金)になるのでは、と私は疑っています。 私が獣医学校を卒業したばかりの頃は この疾患はシニア犬に多い病気でしたが、 現在は若い犬にも、そしてネコにも起こっています。 命にかかわるような緊急を要する疾患ではありませんが、 もしも疑われるような症状があるなら獣医の診断をあおぐとともに 他の問題がないかを慎重に調べてもらって下さい。
決め手となる治療はありませんが、ホリスティックセラピーとして推奨するものが助けになるかも知れません。 病気の進行阻止や改善を望めない中でも 抗酸化は、ダメージを最低限に食い止めるのに役立つでしょう。 以下のものを推奨します。 ビタミンC 5-10mg/lb/2-3times/day (体重450gに対して5-10mgを1日2-3回)
ビタミンE
5-10mg/lb/day (体重450gに対して5-10mgを1日1回)
ビタミンA
75-100IU/day を1日1回
CoQ10
1-2mg/lb/1-2times/day (体重450gに対して1-2mgを1日1-2回)
SOD 2000IU or 125mcg/10lb/day (体重4.5キロに対して1日2000IUまたは125マイクログラム) * SOD=スーパーオキシド・ジスムターゼ
ピクノジェノール
1-2mg/lb/2times/day (体重450gに対して1-2mgを1日2回)
レシチン
体重4.5キロごとに1/2-1ティスプーンを毎日 * レシチンは最大限に神経に働きかける栄養素です。
上記の処方は、関節など筋骨格の問題を抱える場合にも ビタミンC、ビタミンE、ピクノジェノール、CoQ-10、SODを同量に、 グルコサミン、コンドロイチン、アミノ酸を加えた形で推奨します。
てんかんとビタミンE [Healing with Vitamins] の見解 トロント大学での研究によると、てんかんの子供24人の 半数にいつもの薬と併用してビタミンEを連日400IU、3ヶ月摂取させたところ、 12人中10人で発作頻度が60%減り、そのうちの6人は 発作頻度が90-100%減少した。 薬とプラセボ(偽薬=ブラインドテストなのでビタミンEの代わりの偽薬)を 使った12人では変化は起きていない。 その後、この薬とプラセボを与えた子供12人にビタミンEを与えたところ 発作頻度が70-100減ったと報告されている。 ビタミンEには、起きてしまったてんかん発作を沈める作用はないが 発作予防には効果があると報告されている。
* わんこの文献にはてんかんとビタミンEの関連記事はありませんでしたが人間用文献に上記の記事がありましたので参考までに載せさせて頂きました。
わんことビタミンをテーマとしてひとつずつ病気と併せて考えてゆくと 文献のインデックスとページの往復ですね。 だけど、こうして分析してみると、どうして必要なの? どうして多く摂ってはいけないの?という、とてもベーシックなことの 裏づけとして確信ができていいな・・・と、思いました。
効果をうたわれているものは、それだけ検証された結果からいろいろな意見や研究結果も出ています。 効果があるからといって大量に摂取した結果は逆効果という部分もありますね。 愛するわが子に少しでも健康で長生きしてほしいから 「効く」と言われるとついつい多くあげたくなってしまう場合もあります。 (私たちにとってのいろいろな商品のうたい文句である 「アンチエイジング」も、また、そうですよね) どんなに効果のあるものも「適量を他の栄養素と一緒にバランスよく」 これはどんなに時代が変わっても変わらないベーシックですね。 ハーブデータがやっと完成したので、今度は栄養成分データかな? 愛しい愛しい命の為のお勉強は終わりがありませんよね。 日本ではそろそろ桜のつぼみも膨らみ、 日差しも暖かく、ほんわりとしたやさしい季節ですね。
春の健康診断もみんな花マルをもらって、これからの季節、楽しく元気にお散歩を楽しんでね!
Mar.2008
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