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新陳代謝、物質交代を促進し、骨の形成やホルモン合成、神経伝達に関わっているとともに 活性酸素の分解にも一役買っているミネラルです。 大量に摂ると中毒を起こしますが、銅と同じく普通の食生活で過剰にはならないミネラルです。
マンガンの働き - 骨の石灰化に働き、カルシウムやリン、その他のミネラルやビタミンとともに骨を作る働きをします。
- 骨の結合組織に必須の酵素の補酵素として働き、骨や関節を丈夫に保ちます。
- 糖質、脂質、たんぱく質の代謝に必要な酵素の構成成分として必須のミネラルで、たんぱく質の合成や体にとって必要なエネルギーの産生に働きます。
- 甲状腺ホルモン、インシュリン、コレステロールの生成に必要なミネラルでもあるとともに、神経系の伝達にも関わっています。また、血液凝固因子の合成を助ける働きもあります。
- 体内で活性酸素を分解する酵素の構成成分として働き、細胞膜の酸化を予防します。
不足する事によって起こる問題 過剰症とは? - インシュリンの合成に関わっているので、不足するとインシュリン合成不足から糖尿病になりやすくなります。
- 骨の成長やたんぱく質合成に関わっているので、不足すると骨が弱くなり、骨粗しょう症や発育遅延などを起こすとともに筋力が衰えるので運動失調、細胞再生機能の衰えから傷などの治りが遅くなります。
- エネルギーの産生にも関わるため、不足するとエネルギー不足になり疲れやい体質になります。
- 神経伝達に関わることから、平衡感覚の乱れなどが起こります。またアグレッシブになったりもします。
- 普通の食生活では過剰摂取にはなりにくいミネラルです。
マンガンにまつわるこんなこと・・・ - マンガンは電池に使われています。マンガン電池を舐めたなどの事故では中毒を起こしますので注意してあげてくださいね。(土壌にも含まれます)
一緒に働く栄養素 ビタミンB群、骨の合成に主にカルシウム、リンと一緒に働きます。
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ヨウ素は英語で Iodine と言います。 ヨウ素と言えば海藻、海藻と言えばヨウ素ですね。 甲状腺ホルモンを作る材料となる大切なミネラルです。 こちらのお塩でも Iodized Salt というのがあり、これはヨウ素を添加したお塩の事なんです。 日本のように海藻をいっぱい食べる国ではないのでこういったものがあるんですね。 うちもお塩と言えば普通に Iodine Salt を使っています。(Iodized Salt はヨウ素を45%含むお塩なんです) ヨウ素はカロチンがビタミンAに変わるのを助ける働きもしますので、カロチンを含む食材の味付けにいいんです。 チュ~ちゃんご飯にはお塩は使いませんので、食材からヨウ素は摂るようにしています。
ヨウ素の働き - 交感神経を刺激し、糖質、脂質、たんぱく質の代謝を活発にさせ、発育を促進しエネルギー産生を高める働きをする甲状腺ホルモンのチロキシンとトリヨードチロニンの成分です。(体の中のヨウ素の2/3は甲状腺にあると言われています)コートや爪、皮膚を健康な状態に保ちます。海藻がコートにいいと言われる所以です。
- 甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にさせるので、発育促進とともに、余分な脂肪を燃焼させる働きもあります。
- 甲状腺ホルモンの働きにより精神の働きを活発にします。
- ヨウ素は、また、カロチンの形で体内に取り込まれたものを肝臓内でビタミンAにするために働きます。
不足する事によって起こる問題 過剰症とは? - 発育促進に関わるミネラルですので、不足はコートや皮膚のつやがなくなったり、成長期のパピーでは発育遅延となります。
- 基礎代謝が低下し、エネルギーの産生がうまくいかなくなるため、低血圧、疲労など体力低下が起こります。
- 新陳代謝の低下により肥満傾向が高まります。
- 甲状腺ホルモンの成分ですので、過剰症になると甲状腺腫や甲状腺機能不全症となり、甲状腺ホルモンの生成機能が低下します。
ヨウ素にまつわるこんなこと・・・ - ヨウ素は海産物に多く含まれます。そのため日本のわんこやにゃんこでは簡単に食事に加えてもらうことができます。アメリカに住むわんこやにゃんこのコマーシャルフードにも最近は「ケルプパウダー(海藻パウダー)」や「シーウィード(海藻類)」としてハーブ感覚で取り入れられるようになってきています。
一緒に働く栄養素 たんぱく質、炭水化物、チロシン(アミノ酸の一種)と一緒に働きます。
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 0.032 mg/kg ・ アダルトわんこ 0.012mg/kg |
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セレニウムは日本語では一般にセレンと呼ばれています。 抗酸化作用に優れ、抗酸化ビタミンのビタミンEと共に働き、互いの効果を高めます。 免疫機能に必要な抗体の生成にも必要なミネラルであるとともに 抗癌作用もありますが、多量摂取で中毒を起こすミネラルでもあります。
セレニウムの働き - 抗酸化作用としては、過酸化脂質などの分解酵素の必須成分で、細胞膜を過酸化物から守ります。特にビタミンEと一緒に働いた時に相互の効果を高める働きをします。抗酸化作用は血管の老化や目の粘膜の酸化を防ぎます。
- 抗酸化作用の一部とも言えるのですが、がん細胞の増殖を抑制する作用が認められています。
- 抗体の産生に役立ち、免疫システムを向上させる働きをします。カドニウムや水銀などの大気汚染物質に対してもそれらの毒素を軽減する働きをします。
- ビタミン様物質であるユビキノンの生成を助ける働きがあります。(ユビキノンとは強い抗酸化作用を持ち、細胞膜を酸化から守る働きと共に酸素やエネルギーの供給に働き、心臓を保護する働きや免疫細胞、白血球の働きを高める働きをします。ん?どこかで聞いたことがある説明?そう、CoQ-10は補酵素10ともビタミンQともユビキノンとも呼ばれます)
不足する事によって起こる問題 過剰症とは? - 抗酸化作用があるので不足すると、細胞膜の酸化が進み、白内障にかかりやすくなったり、老化が進み、発ガンリスクが高まります。
- ユビキノンの生成に関与しているため、不足は心臓を弱め、心筋症や不整脈、動脈硬化などの心臓病のリスクが高まります。また、肝臓機能の低下、筋力低下なども起こります。
- 免疫システムに関わるため、不足すると抵抗力が弱まります。大気汚染にも弱くなります。
- 男の子では生殖機能が弱まります。
- 毒性の強いミネラルなので過剰症に気をつけなくてはいけません。サプリメントなどで過剰に摂らないようにしてください。
- 過剰症で中毒を起こすと、吐き気や脱毛、爪が抜けるなどが起こります。
一緒に働く栄養素 ビタミンEと一緒に働き、互いの作用を高めます。
セレニウムを多く含む食品(過剰摂取に注意したい食品でもあります) 体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 6.0μg/kg ・ アダルトわんこ 2.20μg/kg * 上記は NRC requirements for dogs & cats に基づく値です。 AAFCO では、ドライフード中のセレニウムの値としては、体重当たりの摂取量として わんこの場合には 0.11mg/kg(パピーにはこの倍量を提唱しています)、 にゃんこの場合には 0.1mg/kg を推奨しています。
セレニウムは、わかさぎやいわし、かれい、たらなどの魚介類や牛肉に含まれます。 「五訂日本食品標準成分表」には、各食品の含有量は載っていないのですが、 概算でわかさぎ40gに対して約50μg、いわし40gに約47μg、かれい50gに約32μg、牛肉40gに約18μg含まれます。 またホールグレイン(精製していない穀類)にも含まれ、玄米(ご飯として)60gに約15μg含まれます。 野菜ではブロッコリーに含まれます。 食べ物から摂っている分には中毒症状を起こす量には達しないと言われています。
消化酵素などのサプリメントを摂っているペットの場合、 上昇したセレニウムの値が甲状腺ホルモンを刺激することがあります。 セレニウムは、てんかん、扇動的な腸の不調、猫白血病、ネコの免疫不全ウィルス症、 および癌などの病気を持ったペットのために他の酸化防止剤と一緒に処方されます。 これはセレン補足がいくつかのタイプの癌から細胞を保護することができるという考え方からなのですが、 それは酸化防止剤グルタチオンperidoxaseの細胞保護作用によるものだと言われています。 人の場合では、セレニウムは癌の予防、エイズ、ニキビ、白内障、 心臓病、多発性硬化症、頚部の形成障害、喘息、リウマチ性関節炎、 神経症、痛風、男性の脱毛、乾癬、潰瘍などに推奨されるミネラルです。 コルチコステロイド(ステロイド剤)による治療はセレニウムの欠乏を引き起こしますので、 長期にわたるステロイド剤による治療が必要なペットに対してセレニウムサプリメントは推奨されます。
セレニウムは過剰摂取で中毒を起こすミネラルではありますが、 摂取量を守れば安全、且つとても重要なミネラルです。 人間の場合、非常の多量のセレニウムで中毒になることが知られています。 中毒症状としては、デプレッションやナーバスになったり、落ち着きがなくなったり、神経過敏、 吐き気や脱毛、爪が抜け落ちるなどの症状がある場合もあります。 わんこやにゃんこの場合、まったく同じように中毒症状を起こすとは限りませんが 過剰摂取に注意したいミネラルであることは違いありませんので、 セレニウムを含むサプリメントを摂取している場合などには、注意が必要です。 魚や他のシーフードを含む高たんぱくなキャットフードの場合、 そのセレニウム含有量は4.0mg/kg以上の場合もありますが、 それはにゃんこの場合はやや高いセレニウムレベルを許容できる事が理由となっています。 ただ同時にドッグフードやキャットフードなど、コマーシャルフードに含まれる セレニウムの有効性は非常に低いレベルであるとも言えます。
これでミネラルのお勉強は一旦終了です。 なるほどの理解をしていただけたかな~? なんだか難しい部分もいっぱいありましたが、いつものご飯に含まれているミネラルを考えるとき 「このミネラルはこんな働きをするんだね~。これは何にいいんだよ~。」と これらの内容のちょっとだけでも、楽しく反映されればいいな~~と思います。 Feb.2004
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