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  5. わんことミネラル - 1
 7月 15, 2003  PawPawClub, PawPawお勉強室  手作り食と食材・栄養のこと,  * 栄養素のこと

 わんことカルシウム(Ca)のこと

 

カルシウムはよく取り上げられる栄養素ですが、適量を知って
過剰症や不足による問題を起こさないように気をつけてあげてくださいね。
 
まずは、カルシウムの体内での働きと、
まずは、基本的な「不足するとどうなるの?摂りすぎてはいけないの?」からです。
これは復習の部分も多いのですが、ここにまとめますね。

 

カルシウムの働き
  • わんこの身体にとってミネラルの中でも一番多く必要とされる栄養素です。
  • リンやマグネシウムとともに働いて、その99%が骨と歯のを作るためにになくてはならないミネラルです。
  • 残りの1%は血液中や筋肉、神経などにあり、細胞や神経系の情報伝達に重要な働きをするとともに、筋肉・神経を正常に維持します。
  • 体内の鉄の代謝を助け、血中コレステロールを下げる多種の酵素の働きの補助作用があります。
不足する事によって起こる問題
過剰症とは?
  • 摂取したカルシウムは骨に蓄えられますが、不足すると血液中に溶け出してしまい、骨や歯がもろくなります。
  • 不足すると成長阻害、不整脈、腰痛、肩こりなどのいろいろな障害を引き起こします。
  • カルシウムは、白血球の食菌作用を助ける働きがあるため、不足すると免疫力が弱まりアレルギーになりやすいとも言われています。
  • 心臓のビートを保つ働きをしますので、不足すると心臓が弱り、不整脈や高血圧を起こしやすくなります。
  • 血中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムを急いで放出させるために副甲状腺ホルモンやビタミンDが働き、血液中のカルシウム濃度を一定に保とうとするため、骨のカルシウムがどんどん血中に出て行きます。骨は、カルシウムの貯蔵庫ですので、摂取量が少なければ減り、多ければ蓄積されます。
  • カルシウムの過剰摂取は、リン、鉄分、亜鉛、銅の吸収量を減少させ、これらの欠乏症を起こします。
  • 特にパピーの場合はカルシウムの過剰による亜鉛欠乏症により、発育不全、皮膚炎、睾丸変性、神経系の機能障害、免疫不全、骨格異常などを引き起こします。(詳しくは下に述べています)
  • 便秘の一番の原因はカルシウムの取りすぎと言われています。骨やカルシウム強化のガムなどをたくさん食べ過ぎるとウンチが固くなります。ウンチは身体の調子を全てを物語るというのがこんなところからもわかりますね。
カルシウムとリンはバランスが大事!
過剰症にならないようにするには、やはりバランスが大切です。
カルシウムとリンの割合は1.3:1から2:1の間になるように気をつけましょう。
(いろいろな文献のデータでは、1.3:1、1:1とも言われています)
一緒に働く栄養素
リン・ビタミンDがまずあげられますが、その他、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンF、
ソディウム(ナトリウム)、マグネシウム、鉄、ポタシウム(カリウム)なども一緒に働く栄養素です。

 

 

 カルシウム(Ca)を食品から摂るには・・・

 

* 全ての食品を同じグラム数で比較しようとも思ったのですが、1日にゴマ100gなんてまず摂らないので
摂取量=使える量(わんこの1日に食べられる量)を目安にしています。
 
* いろいろな食材を載せていますが、アレルギーのある子はアレルゲンを避けた食品を選んであげてくださいね。
 
** 1TBsp.とは、大匙1杯のことです。1tsp.とは、小さじ1杯のことです **
Ca(mg)= カルシウム含有量  P(mg) = リン含有量
 このマークが付いてる食品はチュ~ちゃんご飯に入っています。
 
カルシウムを多く含む食品
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 320.0 mg/kg ・ アダルトわんこ 119.0 mg/kg
食品名
摂取量
KCal
Ca(mg
P(mg)
パルメザンチーズ
1TBsp. 6g
280
77.8
50.8
クリームチーズ
1TBsp. 13g
44.5
8.9
11.2
カテージチーズ
1TBsp. 10g
10.5
5.6
13.2
ミルク
1カップ 210g
140.6
230.5
195.1
ノンファットミルク
1カップ 210g
69.5
211.0
190.0
スキムミルク
1TBsp. 6g
21.3
66.1
60.2
ヨーグルト(全脂肪・ノンシュガー)
1TBsp. 16g
9.8
19.3
16.1

 お豆腐(エキストラファーム・もめん)

1丁 300g
215.8
358.8
331.0
お豆腐(ファーム・絹ごし)
1丁 300g
168.0
128.5
243.6
お豆腐(ソフト)
1丁 300g
178.0
273.5
246.2
高野豆腐
1個 20g
106.0
132.2
176.3
 納豆
40g
80.2
36.2
76.3
挽きわり納豆
40g
77.3
23.4
100.2
大豆 (調理した量=茹でた量)日本産
1/2カップ 70g
124.8
48.2
132.8
大豆 (ドライのもの)アメリカ産
1/2カップ 70g
302.0
160.6
335.8
豆乳
1/2カップ 206g
94.8
30.9
100.94
 カブの葉 (新鮮なものを調理した量)
50g (1個分 約20g)
11.6
95.2
23.4
 ブロッコリー (新鮮なものを調理した量)
50g
13.7
16.6
33.4
オクラ (新鮮なものを調理した量)
50g (1個分 約10g)
16.7
45.1
27.9
小松菜 (新鮮なものを調理した量)
50g
7.6
75.4
23.6
大根の葉 (新鮮なものを調理した量)
50g
12.8
110.6
31.4
菜の花の葉 (新鮮なもの
50g
18.2
145.4
46.2
青梗菜 (新鮮なものを調理した量)
50g
6.2
60.2
13.8
 パセリ (新鮮なもの)
10g
4.6
29.4
6.3
  煮干
10g
33.2
220.0
150.0
オイルサーディン
10g
35.4
34.8
36.6
まいわし(ボイルしたもの)
50g
112.4
42.9
125.8
鮎(天然もの・ベイクしたもの)
50g
50.6
135.8
155.9
はも(生・切り身)
50g
72.4
39.8
140.7
ちりめんじゃこ(ウェットのもの)
10g
11.6
21.3
47.2
ちりめんじゃこ(ドライのもの)
10g
20.9
52.3
86.4
ひじき (ドライのもの)
10g
13.9
139.8
71.8
わかめ (ドライのもの)
10g
11.7
77.8
34.7
 カットわかめ (ドライのもの)
10g
13.8
81.8
28.5
青海苔 (ドライのもの)
10g (1tsp. 1g)
15.0
71.9
37.8
  昆布 (ドライのもの)
10g
13.8
75.8
23.9
ゴマ
1TBsp. 9g
51.9
107.8
48.2
  ゴマ(炒ったもの)
1TBsp. 9g
53.3
107.8
50.0

 

* ゴマは、剥きゴマにしてしまうと9g中のカルシウムは、5.6となります。

 

 

 カルシウムを上手に摂るには・・・

 

食品によってカルシウムは身体の中での吸収率が異なります。
ヨーグルトやミルクなどの乳製品では約50%、小魚類は約30%、野菜類は約18%です。
 
効率よく摂るにはビタミンDやリンなど、カルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒にとります。
ビタミンDと一緒にとる事で、腸におけるカルシウムの吸収が調節され、関節や骨をしっかり守ってくれます。
リンは、カルシウムの吸収作用を助け、骨の形成、エネルギーの発生、腎臓の働きに必須です。
リンもビタミンDの助けにより腸における吸収が調節されます。
 
たんぱく質の過剰摂取は、せっかく摂ったカルシウムの対外への排泄量を増やしてしまいます。
(ナトリウムの過剰摂取も同様です)
また、お肉や加工食品に多く含まれ、知らない間に摂りすぎの傾向にあるリンは、
カルシウムの2~3倍量を超えて摂ると、カルシウムの吸収を抑制します。
なのでお肉中心の食事にカルシウム剤を摂取してもかなりの量を摂らないと意味がないんですよ。


 その他のカルシウムの吸収を阻害する物質としては、ほうれんそうに含まれるシュウ酸、
豆類や穀類に含まれるフィチン酸、食物繊維などがあげられます。
ただ、これらははカルシウムの供給にマイナスでも、他のミネラルとの働きなどを考えると重要な栄養素です。
要は「バランスが大切」ということで、極端に偏っていなければ大丈夫と言えそうです。

 

 

 カルシウム過剰の問題点

 

「カルシウム=多くあげればいいというものではない」ということを裏付けるこんな記事が載っていました。
以下は [Dog Health & Nutrition for Dummies] からの抜粋です。

 

 

私が大人になってから最初の犬はアイリッシュウルフハウンドのShaunaでした。
私は、大学から獣医学校を卒業する長い間、犬と生活できないでいたので、やっと犬が飼える状況になったときに、
できるだけ大きな犬を飼いたかったのです。
彼女のブリーダーは、彼女が大型犬であり、それゆえ成長する過程でカルシウムを多く必要とする犬種でしたので、
多くのボーンミール(骨の粉でカルシウムおよび燐を補充するもの)を彼女の食事に必ず補足するように私に命じました。そのことで私は、言われたとおり忠実に彼女に与えていましたが、その量は今私達が知っているもの必要量以上のカルシウム量でした。
その結果、Shaunaは腰形成障害、肘形成障害および頚部の脊椎の不安定(スプーン症候群)になってしまいました。
そして遂に彼女は、5年という若い年齢で骨癌のために亡くなりました。

私が彼女に与えたカルシウムのハイ・レベルがいかにそれらの問題を著しく引き起こしたかという経験は、
少なくとも犬を育てることに関する科学研究に寄与したことと思っています。
 

 

文献の中では、パピーの成長のために多くのカルシウムが必要なのではと、
フードにカルシウムを添加して与えることは禁忌であると述べられています。
カルシウムの過剰摂取は、骨と軟骨の正常な発育を妨げ、股関節や肘関節などの骨格異常を引き起こしたり、
他のミネラルの吸収を減少させるため、ミネラル不足から皮膚病や発育不良、
神経系の機能障害、免疫の不全などを引き起こす原因となると言われています。
 
以下は [Home-Prepared Dog & Cat Diet] からの抜粋です。

 

カルシウムサプリメントの、成長期のパピーに対する過剰摂取による弊害
大型犬のパピーに対してカルシウムの過剰摂取は、血液カルシウムおよびリン酸塩を増加させることで、骨成熟、骨形成、軟骨生成を遅らせ、成長プレートを妨害し、骨軟骨症を増徴させます。
パピーの場合は、過剰摂取量を体内でうまくコントロールするメカニズムを持ち合わせていませんので、
過剰摂取されたカルシウムは、まず骨に吸収され、成長とともに異常が起こってきます。
これらはカルシウムとリン酸塩のバランスだけの問題として取り上げられてきましたが、
バランスとあわせて過剰摂取をまず抑えることが重要です。

 

以下は、一般的なカルシウム含有食(1.1%、リン0.9%)と、
高カルシウム含有食(カルシウム3.3%、リン0.9%)を
グレート・デンのパピーに与えて影響を調べた研究報告です。

 

カルシウム過剰摂取がもたらす大型犬パピーへの影響

 

内分泌系への悪影響
 
高カルシウム血症、低リン血症、上皮小体機能低下症、甲状腺C細胞活性亢進

 

骨格形成への発育阻害
 
骨芽細胞の増加、破骨細胞の減少、破骨細胞活性の低下、軟骨芯遺残、骨量の増加、骨再構築の遅延

 

骨格異常に伴う疾患
骨変形、骨軟骨病変の増加

 

以前のお勉強室でも取り上げましたが、パピーのカロリー必要量は、
成長期のパピーでは、その体重を成犬の50%以下、51%以上の大きさから計算します。
これらの値は、成犬の50%に達するまでは成犬の約3倍、その後51%から成犬の大きさまでは約2倍です。

これだけのカロリーを満たそうとする場合、大型犬のパピーの場合はかなりの食事量になることで
知らず知らずの間にカルシウムも過剰摂取してしまっている場合が多くあります。
大型犬種のパピーの必要栄養量の目安としては、蛋白質26%、脂肪14%、
カルシウム0.8%、リン0.67%が推奨されており
A.A.F.C.O.はドッグフードのカルシウム濃度は、ドライの成分中2.5%を超えるべきでないとしています。

 

 

pop-line-middle.gif

 

 わんことリン(P)のこと

 

カルシウムと、一緒に働いてくれてなによりもカルシウムとのバランスが大事なのがリンです。

 

リンの働き
  • リンの約80%はカルシウムと結合してリン酸カルシウムをつくり、骨の主成分となっています。(残りの約20%は、筋肉、脳、神経、肝臓などあらゆる組織中に存在します)骨、歯などのエナメル組織を作るとともに、コートの発育にも作用したり、成長を助けたり細胞の修復の働きをします。(細胞膜を構成し、細胞の成長と分化に関与する大事なミネラルです)
  • 脳の働きや腎臓の働きに必須なミネラルです。(身体の中でリン脂質となって脳細胞を作る働きもあります)
  • 血液中のリン酸塩は酸やアルカリを中和して、リン脂質や核酸の成分として働くATPなどを作り、身体の中でエネルギーを貯えまる働きをします。
  • ビタミンB3(ナイアシン)はリンがなくては吸収されず、心臓の働きにも重要な役割を果たします。
  • ビタミンB1・B2と結合して補酵素となり、糖質の代謝に関与します。
  • ビタミンDの助けにより腸におけるリンの吸収が調節されます。
不足する事によって起こる問題
過剰症とは?
  • 歯と歯茎が弱くなるため歯槽膿漏にかかりやすくなります。
  • 成長期のパピーで不足するとクル病にかかりやすくなります。
  • 骨軟化症に罹りやすくなったり、関節が弱まったりします。
  • 腎臓結石の原因となります。
  • 新陳代謝を低下させるため筋力低下や筋肉痛、神経痛を起こしやすくなります。
  • カルシウムの欠乏を起こします。骨粗しょう症の場合には特に過剰症に気をつける必要があります。
  • 腎臓疾患のある場合も過剰摂取は禁忌です。(リンの過剰摂取は、腎損傷を促進させます)
  • リンの過剰摂取は、副甲状腺機能亢進や骨代謝障害を起こします。
一緒に働く栄養素
カルシウム・ビタミンDがまずあげられますが、
その他、ビタミンA、ビタミンF、鉄、プロテインなども一緒に働く栄養素です。

 

 

  リン(P)を食品から摂るには・・・

 

* いろいろな食材を載せていますが、アレルギーのある子はアレルゲンを避けた食品を選んであげてくださいね。
 
** 1TBsp.とは、大匙1杯のことです。1tsp.とは、小さじ1杯のことです **
Ca(mg)= カルシウム含有量  P(mg) = リン含有量
 このマークが付いてる食品はチュ~ちゃんご飯に入っています。
 
カルシウム含有量に対してリンをバランスよく含む食品
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 240.0 mg/kg ・ アダルトわんこ 89.0 mg/kg
食品名
摂取量
KCal

Ca(mg)

P(mg)
プロセスチーズ
30g
101.7
249.0
219.0
ミルク
1カップ 210g
140.6
230.5
195.1
ノンファットミルク
1カップ 210g
69.5
211.0
190.0
スキムミルク
1TBsp. 6g
21.3
66.1
60.2
ヨーグルト(全脂肪・ノンシュガー)
1TBsp. 16g
9.8
19.3
16.1
  お豆腐(エクストラファーム・もめん)
1丁 300g
215.8
358.8
331.0
 オクラ (新鮮なものを調理した量)
50g (1個分 約10g)
16.2
44.8
27.8
鶏卵(ゆで卵・全卵)
30g
46.0
15.2
53.6
鶏卵(ゆで卵・白身)
30g
15.2
2.2
3.4
わかさぎ(生)
100g
77.8
452.0
352.0
オイルサーディン
10g
36.0
35.2
37.1
鮎(天然もの・ベイクしたもの)
50g
52.0
136.8
155.9
ひじき (ドライのもの)
10g
13.9
139.8
9.8
わかめ (ドライのもの)
10g
11.7
77.8
34.7
 カットわかめ (ドライのもの)
10g
13.8
81.8
28.5
青海苔 (ドライのもの)
10g (1tsp. 1g)
15.0
71.9
37.8
  昆布 (ドライのもの)
10g
13.8
75.8
23.9
  煮干
10g
33.2
220.0
150.0
ゴマ
1TBsp. 9g
51.9
107.8
48.2
  ゴマ(炒ったもの)
1TBsp. 9g
53.3
107.8
50.0

 

リンの含有量が多いのは肉類、魚介類、乳製品などですが、
乳製品や魚介類の一部は、カルシウムも多いのでバランスがとれています。
(お魚もほとんどがカルシウム対リンの割合はリン過剰のものが多いのです)
 
下の表で示すように肉類はリンの含有量が多く、カルシウムとリンのバランスは極端です。
わんこは肉食!と決めてしまって肉食中心の食事を与えている場合や
ドッグフードに肉をさらに足してあげている場合、こんなにリン過剰になることを知ってください。
ただ、「お肉はいけない」というのではなく「他の食品と併用して過剰にならないバランスを」という意味です
肉には必須アミノ酸、良質なたんぱく質、鉄分などが含まれています。
なので、ここではあくまで「カルシウムとリンのバランスという意味では」という理解をしてくださいね。

 

 

 リン過剰の問題点

 

以下は [Home-Prepared Dog & Cat Diet] からの抜粋です。
 
カルシウムとリンのバランスの崩れは、一般的に肉食中心の食事の場合に最もに起こってきます。
リン比率へのカルシウム比率は1.3:1.0あるいは約1:1であるべきです。
 
骨カルシウムの低下は、骨折しやすい弱いな骨格の原因となります。
カルシウムの項で述べましたが、カルシウム過剰は特に大型犬のパピーにとって深刻な問題となりえます。
しかし、これは、カルシウム過剰が小型犬にとっては無害であるという意味ではありません。
わんこのサイズに合わせて正しい量をバランスを考えながらあげることが必要です。
 
ママわんこにはお腹のパピーのためにも妊娠中から授乳中はカルシウムの補給が大事ですが、
それでも過剰なカルシウム供給は、お腹の中のパピーに骨軟骨症の因子を与えることになります。
妊娠中や授乳中もそのステージに合った量のカルシウムおよびリン補給にしてくださいね。

 

リンの制限が必要な場合
腎臓病のわんこの食事には、その悪化の程度によりリンを制限する必要があります。
特にシリアスなものは、尿毒症と血中窒素の上昇による窒素血症です。
腎臓の機能が25%まで落ちてくるとこういった症状が出ますが、この場合はデータに基づいて
食事中のリンも25%まで制限します。
 
NRC (The National Reserch Council) は、成犬に対して89mg/kg/day(1日体重1キロ当たり89mg)の摂取を推奨しています。
 
リンの割合は、コマーシャルフード(市販のドッグフード)の中には、約1.3%含まれています。
慢性の腎臓病や窒素血症を起こしている子は、この割合に対してはリン過剰症を起こします。
栄養学者は、慢性の腎臓病や窒素血症を起こしている子はに対するリン摂取割合を約0.35%に抑えるべきであり、腎臓のダメージレベルの全てに対して、リンとカルシウムの割合は1:1もしくはそれ以上にリンの割合を抑えたものであるべきだと提唱しています。
 
腎臓部損害の病因となるカルシウムとリン。身体の中で骨と細胞内にあるものですが、過剰摂取で細胞内のカルシウムあるいはリンを増加させることは、腎臓のネフロン中のカルシウムおよびリン結晶を引き起こします。
この結晶は腎臓感染、腎臓壁の損傷、およびネフロンへのダメージを引き起こします。
このような様々な疾病が、腎臓部の損害およびダメージを引き起こすために、尿として体外に排泄されず、細胞外のカルシウムおよびリンレベルをますます増加させてゆき、このことは全ての疾患の悪化を引き起こします。
カルシウム含有量に対してリンを過剰に含む食品
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 240.0 mg/kg ・ アダルトわんこ 89.0 mg/kg
食品名
摂取量
KCal

Ca(mg)

P(mg)
牛肉・肩ロース(赤身・生・US牛)
100g
130.4
4.3
202.0
牛肉・もも肉(赤身・生・US牛)
100g
141.0
4.3
202.0
牛肉・フィレ肉(赤身・生・US牛)
100g
222.9
4.1
181.6
豚肉・肩ロース(赤身・生)
100g
156.8
4.1
190.0
豚肉・ロース(赤身・生)
100g
142.0
4.0
210.6
豚肉・もも肉(赤身・生
100g
143.6
4.1
210.6
豚肉・フィレ肉(赤身・生)
100g
111.9
4.0
221.1
 チキン・胸肉(骨なし、皮なし)
100g
107.8
4.0
200.6
 チキン・ささみ
100g
104.2
3.2
221.4
ターキー
100g
106.2
8.1
141.0
ラム・ロース(生)
100g
228.0
8.1
101.0
ラム・もも(生)
100g
217.8
5.1
140.5
鶏卵(ゆで卵・黄身)
30g
115.3
45.2
171.1
サーディン(生)
100g
218.2
71.2
232.4
小麦胚芽
1TBsp. 8g
33.8
3.32
86.9

 

* ここでは、こちらのビーフ(US牛)を参考にしていますが、
日本の和牛もリンの含有量はほぼ同じだと思われます。

 

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 わんことビタミンDのこと

 

ビタミンDは、カルシウムやリン一緒に働き、骨の形成に不可欠な脂溶性のビタミンですので
ミネラルではありませんが、こちらに一緒に載せておきますね。
 
ビタミンDの働き
  • 骨の材料となるカルシウムやリンが充分に摂取できていても、ビタミンDが不足すると正常な骨の形成が出来ません。 ビタミンDは肝臓で活性化されて、カルシウムやリンの吸収を助けながらカルシウムが骨に沈着するために働きます。
  • カルシウムは、そのほとんどが骨に蓄えられていますが、カルシウムの摂取量が少ないとビタミンDは、骨からカルシウムを溶け出させて働かせると同時に尿中に排出する前に骨に補充するといったカルシウムの出納係のような役目をします。
  • ビタミンDは、クル病の人と日光浴の関係から発見されたビタミンなんです。なので、お日様をいっぱい浴びていればビタミンD不足にはならないと言われています。ただ、紫外線によって作られるのでママの場合はちょっとイヤかも。それとコレステロールと結合して形成されると聞くももっとイヤかも・・・。紫外線を浴びることで皮膚で形成されて肝臓にたまる脂溶性ビタミンです。
不足する事によって起こる問題
過剰症とは?
  • カルシウムとこの出納係のビタミンDの両方が不足するとカルシウムは骨に沈着せずに血管に沈着し、動脈硬化の原因ともなると言われています。
  • カルシウム過剰症でビタミンDが不足しても血管や内臓にカルシウムの沈着を起こします。
  • 過剰症になると、カルシウムの沈着を促すことから、血管壁、肺、腎臓、胃などの臓器にカルシウムが沈着します。
  • 脂溶性ビタミンですので身体にたまりやすいため、過剰症には注意が必要です。
一緒に働く栄養素
カルシウム・リンがまずあげられますが、
その他、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンF、コリンなども一緒に働く栄養素です。

 

  ビタミンDとお日様の関係

 

ビタミンDは、実はそのままでは働かないんです。
体内で、肝臓や腎臓で活性化されて活性型ビタミンD3となり、この状態で働きます。

ただ、食事から摂ったビタミンDは、腸で吸収されてから肝臓に蓄えられます。
肝臓に一旦溜まってから、一部は酵素の働きで血液中に放出されます。
過剰摂取されたビタミンDは、肝臓に取り込まれたまま溜まりますが、
一部は胆汁の働きで腸に戻って排泄されます。
 
皮膚で合成されたビタミンD3は肝臓に直接行くのではなく、
ゆっくりと血中に放出されて行き、肝臓に溜まらずに有効に働いてくれます。
 
太陽の下で元気に思い切り遊ぶことは、こんな部分でも大事なんですね。
チュ~ちゃんの自主的日光浴も「そろそろビタミンD不足解消」ってことかも。
関節や骨が弱くなるシニアにとって日光浴ってビタミンD合成のために必要なんです。
お日様を適度に浴びて、もやしっ子わんこにならないようにしましょうね。
特にパピーやシニアには大切です~!適度に日光浴して骨の強いわんこを目指そう~!

 

 ビタミンDは過剰にならずに!

 

ビタミンDは食事のカルシウムおよびリン吸収に必要ですが、
最も過剰摂取に注意しなくてはいけないビタミンであるということを覚えておいてください。
 
但し、水溶化処理(Water Solubilized)されている脂溶性ビタミンに関しては、肝臓に溜まることなく
使われなかったものは他の水溶性ビタミンと同様におしっこに混じって体外に排泄されます。

 

 ビタミンD過剰の問題点

 

以下は [Home-Prepared Dog & Cat Diet] からの抜粋です。
 
有毒となる過剰摂取は、腎臓、心臓および主な血管中のカルシウムとリン酸塩の結晶化を促進します。
慢性の腎臓疾患は腸の吸収機能の低下に関係していて、いくつかのミネラルの尿への排出を促進します。
このことによって鉄と亜鉛、鉄の欠乏も起こってきます。
さらに、ビタミン欠乏症も腸の吸収能力の低下のために起こります。
商用ペットフードは過剰ビタミンD(それは慢性の腎臓部の疾病の原因でありえる)を含んでいる場合が多いのです。
毎日過剰なビタミンDを与えることによって、カルシウムは腎臓の細胞を破損します。
このようなダメージからのネフロンの保護は、食事のビタミンDを最小限にすることにより可能です。
 
ここではIUという単位を使っていますが、μgという単位で示される場合もあります。
1μg=40 IUと計算してくださいね。
 
ビタミンDを適度に含む食品
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 22.0 IU/kg ・ アダルトわんこ 8.0 IU/kg
食品名
摂取量
Kcal
ビタミンD(IU)
まいたけ (生)
10g
1.7
12.7
干ししいたけ
5g
9.0
25.6

 

ビタミンDを過剰に含む食品
体重1.0キロ当たりの必要量 : 成長期のパピー 22.0 IU/kg ・ アダルトわんこ 8.0 IU/kg
食品名
摂取量
Kcal
ビタミンD(IU)
うなぎ(生)
100g
256.3
721.1
オイルサーディン
100g
360.0
281.4
サーディン(缶詰・水煮)
100g
189.2
241.3
まいわし(生)
100g
216.8
399.6
へリング(にしん・生)
100g
46.2
12.0
サーモン(紅・生)
100g
139.6
1328.0
サーモン(ピンク・生)
100g
163.2
402.3
ソードフィッシュ(かじき・生)
100g
140.3
439.5
さば(生)
100g
203.2
441.2
ティラピア(生)
100g
133.4
439.5
きくらげ
5g
8.1
873.1

 

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なんだか難しくなっちゃいましたが、
要は「偏った食事をしないようにしましょう」ということです。
過剰症というのは、長期に渡っても偏った食事をすることによって起こるものです
 
基本だけちゃんと知っておくのも大事かな?ということなんです。

肉食文化のアメリカではいろいろな成人病も多いですよね。
その分、いろんなサプリメント文化でもあるんです。
わんこの食事も手作りでも市販のフードでもなによりもバランスが大切ですよね。
いろんな食材を上手に取り入れながらバランスよくが大切です。
最近、「太りすぎでダイエットしなくっちゃなんです~」のわんこも多いので、
栄養素の含有量と一緒にカロリーも載せておきました。ダイエット中の子にご参考になるかな~?
ダイエット中のわんこも必要な栄養素はしっかり摂ることが何よりも大切です。

     
 ダイエットと言えば、先月のお勉強室で「おすもうさんの逆説式ダイエット」に挑戦中の
 PPCわんこをご紹介させていただきましたが、その後、少しずつ着実に
 体重が落ちているそうです。
 「しょっちゅうご飯にありつけて、こんなに幸せなダイエットがあったなんて!
 ありがとう~!」という嬉しいご報告と一緒に
 こんな可愛いわんこおむすびの写真が届きました。

 ママもわんこもハッピ~といったほのぼの生活が伝わりますね~~。
 ダイエット目標は500グラム減だそうです。ゆっくり頑張ろう~!

うちのチュ~ちゃんは3年前には、な、な、なんと12パウンドもあったのです。
12パウンドと言えば、約5.4キロ!!身体の長さは短い子なので完全におデブでした。
それを2年かけて8パウンドまで落としました。
体重が2/3になるというのは私達でも大変なことですが、(と、言うより、まず無理ですね。笑)
ゆっくり時間をかけて体調をみながらのんびりと取り組んできました。
体重が減ってからは、気持ちも若返ったようでピチピチになりましたよ~。
夜中のハァハァもなくなったし、足にかかる負担も減り、ダッシュも快調!元気!元気!です。
ダイエット食も「血液検査の結果は満点維持」をずっと目指しています~!
血液検査は、血中のミネラル値を知ることが出来ますので食事の目安にもなりますね。
 
Jul.2003
  

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