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検査データを理解しよう!
今回は「血液検査で何がわかるの?」と「尿検査はなんの指標?」といったことを それぞれの正常値を知り、 異常値の場合にどんな病気の可能性があるのかなどをお勉強したいと思います。 ある程度の知識があれば獣医さんに行ったときに 説明を受けてもきちんと把握できますし、 万が一注意を与えられても、その理由が理解でき、 気をつけてあげることに具体的に結びつけることが出来ます。
私たちもそうですが、定期的に健康診断を受けますね。 身体の中で弱ってるところはないか、 早期発見による早期治療への目安となるとともに また、注意すべきことを早く知る手がかりになります。 全て問題がないと「安心」と「自信」が得られますね。 わんこも同じです。 定期健診にわざわざ行かなくても1年に1回のワクチン接種や フィラリアの検査の時に一緒に「健康診断」を受けておくと安心できますね。
このフードは本当にこの子に合っているのかな?寄生虫はいないかな?内臓機能は健康かな?といった 目に見えない部分を調べてもらうことで不安も解決し、自信が持てますね。
基本的な身体のチェック(体温チェック、体重測定、 目の動きや眼底の状態、お耳の中の匂いのチェック、 関節の動きのチェック、心音チェック、肺に雑音がないかのチェック、 背骨の状態、歯の状態など)は、受診したときに最低限してもらうことですが、 それに加えて1年に1回の健康診断では、 (こちらでは)検便、フィラリアの検査が含まれています。 血液検査と尿検査は希望がある場合のみなので、 うちは血液検査を追加してもらっています。
チェック項目 |
正常値(成犬) |
正常値(パピー) |
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37.5-39.0℃ |
38.5-39.0℃ |
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10-30/min |
20-30/min |
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80-120/min前後 |
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検便は潜血反応とともに腸内寄生虫がいるかどうかを教えてくれます。 寄生虫の種類には、回虫、コウ虫、鞭虫、条虫、コクシジウムなどがあります。 回虫がいると食欲不振・下痢・栄養障害などの症状が見られます。
寄生虫の種類によって使われる駆虫薬も違いますので、検便で正しい判断をあおいで、正しい駆虫薬の処方が大事です。 ただし、条虫だけは検便では検出されないので、 ウンチや肛門周囲に虫が付着していないかの確認をしてください。 毎日のウンチもしっかり観察してくださいね。
お散歩や他のわんことの接触などによってうつっている場合もあります。 他のわんこのウンチの中の寄生虫の卵が口から入って移ったりしますので お散歩中に他のわんこのウンチクンクンにも注意が必要です。 そういったことからもオーナーがきちんとウンチの処理をすることはマナー以上に大切なんです。 犬回虫などはそのままの状態では感染力はないにもかかわらず その卵を含んだウンチが3週間以上放置されることで、卵が成熟し感染力を強めます。 パピーの頃は回虫がいることが多いので検便が必須ですが、 ママわんこが定期的に検便を受けていて虫がいないことがわかっていれば そのママわんこから生まれたパピーに虫のいる確率は極めて低いと言われます。
主な寄生虫の種類
形状と感染経路、症状
犬回虫 Toxocara canis
- 体長4.0-20.0cmの細長い虫で、小腸に寄生します。ウンチに卵を産み付けるので、それを他のわんこが食べると感染します。
- 犬回虫は成犬の腸には寄生できずパピーにだけにみられるのが特徴です。パピーのウンチの中に白い輪ゴムのような物があったら回虫の可能性があります。
- 成犬の身体の中では犬回虫は幼虫の段階で臓器の中に潜んでて、ママわんこが犬回虫に感染したまま妊娠すると、胎盤を通してパピーに移行します。
- 成虫がパピーの腸に寄生した場合、また幼虫がパピーの臓器の中に寄生した場合でも、ほとんどの場合は無害で無症状で経過しますが、時として致死的感染となることがありますので、パピーの時に駆中剤の投与で一掃します。
- 人にも感染して、幼虫体内移行症という病気を引き起こします。
鈎虫 Ancylostoma caninum
- 犬コウ虫は体長1.0-2.0cmの小型の寄生虫で、小腸や十二指腸に寄生します。
- お散歩のときに土や水の中にいる幼虫を飲み込んだり、爪の間や皮膚から侵入して感染します。
- ママわんこが感染していると胎盤からの感染とともに、乳腺にも入り込み、ママのおっぱいからパピーに感染します。
- コウ虫はわんこの腸の壁にヒルのように付いてそこから多量の血を吸うので、貧血症状を起こします。特にパピーの場合はしばしば致死的となりますので、注意が必要です。
鞭虫 Trichuris vulpis
- 成虫の体長は4.0-7.0cmで、盲腸と結腸に寄生します。
- 経口感染だけ感染しますので、お散歩中のクンクンには注意です。
- 重度な感染では盲腸に炎症が起きることにより下痢や血便(出血を伴った粘液性の下痢)などを起こしてシニアなどは重篤となりますので、注意が必要です。
条虫 Tape Worm
- マンソン裂頭条虫(俗に言うサナダ虫で、細長い平べったい形状です)、瓜実条虫(瓜やきゅうりの種のような体節が連なった形の寄生虫)、単包条虫、多包条虫などの種類があり、たくさんの節がつながっています。長いものは2メートルにもなります。
- マンソン裂頭条虫は郊外や田園地域でよく感染します。これはミジンコが宿主、カエルや蛇、鳥などが中間宿主であることから、それらの多い地域に自然と多くなりますが、これらに直接接したり、食べたりしなければ感染しません。
- 瓜実条虫は約15.0cmから50.0cmの長さを持ち、ノミやシラミから感染します。(ノミやシラミは瓜実条虫の中間宿主なんです。瓜実条虫の卵を食べてしまったノミやシラミが口から入ることで感染します)ウンチの表面に白色のゴマ粒大のものがついていたらその中にたくさんの卵が詰まっている場合がありますので注意してください。
- 条虫には消化管が無いので、その身体の表面から栄養分を吸収しています。ほとんどの場合は寄生しても無症状ですが、感染の程度により、発育不全、栄養障害、腹痛、下痢などがみられます。ただ、長く成長するのでそれが腸に詰まってしまうと腸重積のような重篤な症状になります。
- ウンチや肛門周囲に虫が付着するとおしりの周りがかゆくなったり、おしりを地面にこすりつけたりしますので、要チェックです。
原虫 Protozoan
- コクシジウム、トキソプラズマ、ジアルジア、ネオスポラ、バベシアなどの単細胞の寄生虫で、経口感染し、身体の中で増殖してゆきます。コクシジウムは腸の粘膜の破壊をしますが成犬が発病する事はあまりありませんがパピーは要注意です。バベシア症とはマダニを中間宿主とするバベシア原虫の感染によって起こり、赤血球を破壊するので極度の貧血から重篤な症状に陥ることもあります。
- ウンチと一緒に排泄される原虫による感染は、排泄直後のウンチの中の原虫には感染力がないので、すぐに処理すれば感染の心配はありませんが、バベシア症のようにダニが媒介するものは徹底したダニ避けによって予防します。
血液検査は身体の機能が正常に働いているかどうかを教えてくれます。 これはすなわち、フードが合っているか、運動量は足りているか、 全ての機能がきちんと成長しているかなどを教えてくれる指標になります。 ここに書いた基準値(正常値)は、あくまで目安です。 その子の状態や測定する器械や測定法によって微妙に違っていたりしますので あくまで、検査データの示す正常値にしたがって (検査データには必ず検査結果の横に正常値が書いてあります) かかりつけの獣医さんの判断を仰いでくださいね。 カッコ内には、[Holistic Guide for a healthy Dog]の中の正常値を目安で書いておきました。 (グリーンのものはUSAのデータなので単位が違うものもあります)
HEMATOROGY/CBC (血液一般像検査) |
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項目 |
REF RANGE: |
UNITS: |
過剰症 |
不足してる場合 |
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細菌感染・炎症・白血病(骨髄の障害)・敗血症・再生不良性貧血 | ウィルス感染・骨髄異型性症候群 |
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ショック状態・脱水症・興奮状態・心肺疾患・急性出血性胃腸炎 | 出血多量・溶血性貧血・栄養不良・再生不良性貧血・腎不全・慢性疾患・骨髄異型性症候群・鉄欠乏性貧血 |
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多血球血症・腎臓癌・激しい下痢や嘔吐による脱水症・ショック状態・心臓疾患・肺疾患 | 慢性的な(消化管などからの)出血・ 鉄分、ビタミンB2、B6、B12や葉酸の欠乏症、尿毒症、腎炎、悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、血小板減少による血液凝固不全、溶血性貧血(玉ねぎ中毒なども含む)、寄生虫感染 |
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脱水・赤血球過多 | 骨髄の血液生産性の低下 |
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本態性血小板血症・真性多血症・慢性骨髄性白血病・骨髄線維症・感染や炎症・化学療法によっても増加します | 再生不良性貧血・白血病・骨髄異形成症候群・悪性リンパ腫・ウイルス性感染症・薬物や放射線障害によっても減少します |
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細菌感染・血管炎・尿毒症・腫瘍・急性出血・溶血・肺 | 敗血症・顆粒球減少症 |
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急性ウイルス感染症・慢性感染症・リンパ性白血病・リンパ肉腫・甲状腺機能亢進症・副腎皮質機能不全 | バルボウイルス感染症・低Ca血症性痙攣・心不全・尿毒症・免疫不全症候群・末期悪性腫瘍・放射線照射も原因となります |
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結核・膠原病・慢性骨髄単球性白血病 | |
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寄生虫・慢性骨髄性白血病・腫瘍・アレルギー | クッシング症・ストレス |
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rare (0.0-0.1x10.3) |
% |
潰瘍性大腸炎・アレルギー | |
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CHEMISTRY (血液化学検査) |
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項目 |
REF RANGE: |
UNITS: |
過剰症 |
不足してる場合 |
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脱水・高ナトリウム血症・尿崩症・糖尿病・下痢 | 低ナトリウム血症・うっ血性心不全・慢性腎不全・下痢・嘔吐・副腎機能不全・飲水過多 |
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リンパ腫・高カルシウム血症・腎疾患・高蛋白血症・悪性腫瘍・上皮小体機能亢進症 | 副甲状腺機能低下症(上皮小体機能低下症)・慢性腎不全・肝臓疾患 |
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循環不全・副腎機能障害・腎不全・腎機能障害・糖尿病・嘔吐や下痢・ショック症状・代謝性アシドーシス・アジソン病・溶血 | 副腎皮質機能亢進・うっ血性心不全・嘔吐や下痢 |
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副腎皮質機能不全・呼吸性アルカローシス・脱水・食塩の過剰摂取 | 代謝性アルカローシス・呼吸性アルカローシス・慢性腎臓疾患・飲水過多 |
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肝機能不全 | |
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溶血・腎不全・上皮小体機能低下症・ビタミンD過剰 | 栄養失調・上皮小体機能亢進症・くる病 |
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骨格筋の壊死や損傷・中枢神経障害・心筋梗塞・肺動脈栓塞症 | |
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胆道閉塞・胆嚢炎・急性肝炎・慢性肝炎・ウィルス性肝炎・肝臓癌・膵臓癌・胆道癌・子宮癌・卵巣癌 | 妊娠中毒症 |
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腎障害・心不全・副腎皮質機能亢進・痛風・尿路結石・高尿酸血症・消化管出血・脱水を起こしている場合も値は上昇します | 栄養不良・タンパク欠乏症・肝機能不全・門脈シャント・尿細管障害・多飲多尿 |
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糖尿病・副腎皮質機能亢進 | 膵臓癌・副腎皮質機能低下(アジゾン病など)・低血糖症状 |
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脱水症・感染症・ショック状態 | 肝臓疾患・腎臓疾患・栄養不良・出血・腹水貯留 |
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脱水症 | 栄養失調・低タンパク血症・寄生虫感染・肺疾患 |
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慢性肝炎・肝硬変・感染症・腫瘍・多発生骨髄症・脱水症・高蛋白血症 | 免疫不全・肝障害・ネフローゼ症候群・栄養不良・低タンパク血症 |
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腎機能不全・副腎皮質機能低下・尿路閉鎖・急性腎炎・慢性腎炎・前立腺肥大・腎臓結石・腎盂腎炎・心不全・脱水・火傷 | 尿崩症・多発性筋炎 |
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肝細胞障害・胆管閉塞(値が劇的に高くなると黄疸が出ます) | |
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肝臓障害・胆管閉塞(胆汁うっ滞)・甲状腺機能亢進症・骨腫瘍・悪性腫瘍 | |
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肝臓障害・筋炎・心筋や骨格筋の損傷 | |
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犬伝染性肝炎・レプトスピラ・肝腫瘍・肝硬変・肝臓組織の壊死・肝炎・砒素中毒・貧血・GI疾患 | |
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糖尿病・溶血・胆管閉塞・ネフローゼ・甲状腺機能低下症 | 栄養失調・肝臓疾患・甲状腺機能亢進症・消化吸収不全 |
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糖尿病・溶血・胆管閉塞・ネフローゼ・肝臓障害・甲状腺機能低下症 | 慢性疾患・肝硬変・栄養失調 |
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肝障害 | |
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腎機能障害、過剰摂取 | 下痢・吸収不良 |
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膵臓障害 | |
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膵臓障害・腸閉塞 | |
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THYROID FUNCTION (甲状腺機能検査) |
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項目 |
REF RANGE:(正常値) |
UNITS:(単位) |
過剰症 |
不足してる場合 |
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甲状腺機能亢進症 | 甲状腺機能低下症(0.75以下) |
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甲状腺機能亢進症 | 甲状腺機能低下症(0.10以下) |
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フィラリア(=犬糸状虫)検査 |
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項目 |
REF RANGE: |
慢性的症状 |
劇的症状 |
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フィラリアの分泌物や排泄物により起こる肺高血圧症や、フィラリア成虫が心臓に詰まったりすることで心臓の機能が充分でなくなることで全身の臓器がうっ血状態になり、肝臓・腎臓・肺などの重要臓器が機能不全となります。 | 大静脈症候群:フィラリアの移動により突然、赤い色の尿(血色素尿)と呼吸困難・虚脱などの循環不全を起こします。 |
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URINALYSIS (尿検査) |
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項目 |
REF RANGE: |
異常所見 |
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今月の内容は、健康な子なら毎月眺めるものではないのですが、 知っておいても損ではないかな~~と、いったものです。 毎年の健康診断のときに「えっとぉ~」とちょっとご参考になればいいかな。 病気を抱えてる子のママは検査値の上がり下がりがとても気になり、それに一喜一憂しますね。 そんなとき「必ず元気になるんだ」と信じる気持ちを持ち続けることが何より大切です。 そんな子たちに少しでもお役に立てれば嬉しいです。 検査データと毎週にらめっこしてた頃を思い出し、 頑張りやさんだったチャチャへの限りない想いを込めてアップしました。 みんな元気にハッピーに過ごそうね! Mar.2003
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