ビタミンDについて
ビタミンDについて
今回のお勉強室は「日光浴したら皮膚で合成されると認識していたビタミンD」 実はわんこの場合は人間と違って日光浴しても皮膚で合成されないそうです。 なので、ちゃんと摂取しなくちゃいけないけど過剰摂取にも気をつけて! そしてこのビタミンD、心臓病と深い関係があったのです。 そんな気になることを取り上げてみました。
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ビタミンDがヒトの心臓機能を正常に維持する上で 不可欠な栄養素であるということは常識です。 ビタミンD欠乏症とうっ血性心不全(DHF)との直接的な関連性は 研究によっても裏付けられており、 うっ血性心不全の診断にビタミンDの血中濃度の測定が重要とも言われています。 筋肉と神経が正しく機能するためには、 血中カルシウムが正常な濃度を保っている必要がありますが、 ビタミン D は腸管からのカルシウム吸収の調節によって、 これらの正確なレベルを維持する上で重要な役割を果たしています。 このことはつまり ビタミンDは心筋における電気活動(活性)と 筋収縮を直接支えると言っても過言ではありません。
わんこのうっ血性心不全とビタミンDの関係に対する研究報告
わんこたちにも心臓病は多く、うっ血性心不全は心臓病の中で多い死因です。 その95%が遺伝性や犬種的な特徴によります。 また、シニア犬の60%は心臓疾患にかかっているとも言われています。 今までビタミンDと犬の心臓病との関係は調査されてきませんでしたが、 Veterinary Internal Medicine1ジャーナルに発表された コーネル大学獣医学部の研究では ビタミンDがヒトの心臓病に対して効果を示しているのと同じように 犬の心臓病にも効果があるだろうと断定しました。 コーネル大学の研究によって明らかにされた記述は以下のとおり;
うっ血性心不全の犬の血中のビタミンD濃度は異常に低レベルを示します。コーネル大学の研究では、犬の血中ビタミンDを うっ血性心不全のある犬と健康な犬で比較したところ うっ血性心不全の犬の血中ビタミンD濃度は 健康な犬のそれに比べて極めて低い濃度を示しました。 このことからヒトのケースと同様に、 血中ビタミンD濃度の低下が生存率と深い関係を示すと述べています。
また、食べ物から、またはサプリメントから摂取しながらも日光浴によって皮膚でもビタミンDを合成できるヒトと違い、 犬の場合は、日光から皮膚でビタミンDを合成することができません。 このことはつまり、犬の場合は食事からビタミンDをきちんと摂る必要があるということです。 残念ながらコーネル大学の研究では食事内容が犬のビタミンD不足症の原因であったかどうか 証明することはできませんでした。そのため、アンケートによる分析を行いました。 ヒトにおいて、心臓病は患者のフィットネス・レベルと体脂肪の量に深い関係性を示します。
ビタミンDは脂溶性なので、体脂肪を減らすことで血中濃度を下げることができますが、コーネル大学の研究に使用されたすべての犬は体脂肪レベルが一般レベルでしたので、 心臓病と体脂肪の関係を証明することはできませんでした。 コーネル大学の研究で証明できなかったもう一つは、うっ血性心不全を持つ犬が ビタミンD血中濃度を下げる働きのある薬物治療を受けていたかどうかでした。
利尿剤は、ヒトやイヌの心臓病の治療に一般的に用いられますが、排尿が増えることにより血液中の化学物質の低下を引き起こす可能性があり、 多尿によってビタミンDが失われている可能性も否定できません。 この研究は犬のうっ血性心不全とビタミンDの関係を検討した初めての研究ですので、 今後、多くの研究、検討が必要ではありますが これまでの研究から明白に実証されていることは 「うっ血性心不全をかかえた犬は血中のビタミンDレベルが低い」ということです。
このことはつまり、ビタミンDの血中濃度の低さが生存期間の短縮を意味するということです。研究者たちは「犬のうっ血性心不全でビタミンDレベルを改善することは、 毒性を引き起こすことなく有益であるだろう」と結論づけています。
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「うっ血性心不全にビタミンDが有効」と聞くと サプリメントで強力に補給したくなりますが、それはNGです!
うっ血性心不全には有効とされるビタミンDですが、健康な子の場合は、ビタミンD欠乏よりも 「過剰摂取の方が問題となる」ということを覚えておいてください。 バランスのとれた手作り食はもちろんですが、 市販されているコマーシャルフードであっても ビタミンDはAAFCOで定められた基準量が含まれています。
*AAFCOとは米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Official)の略で ペットフードの栄養基準や原材料、ラベル表示のガイドライなどを設定しています。
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ビタミンDは脂溶性ですので、 身体は食事に含まれる脂肪と一緒にビタミンDを吸収します。 そして、過剰に摂取されたものは肝臓に貯蔵されます。 犬が間違って齧歯目動物(うさぎやリスなどの)の餌を食べてしまったり、 ビタミンDサプリメントを与えた場合、非常に高い頻度で毒性が起こります。 したがって、ビタミンDサプリメント(単体)は、推奨されません。 ビタミンDは、その毒性に注意が必要なので、「食事から摂取すべきビタミン」と言えます。 ビタミンDの食料源としては、オヒョウなどの魚、タラの肝油、 チーズ、ヨーグルトやケフィア、肝臓、卵などです。 これらの食材は、ビタミンDサプリメントの代わりに推奨される食材たちです。
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ビタミンD過剰症の症状
毒性の症状は過度によだれを垂らす・嘔吐(時に血液を含む)・食欲不振・ 口渇と排尿の増加・衰弱・落ち込み・腹痛・黒いタール便・体重減少・便秘・ 筋肉の震えおよび痙攣発作 ビタミンD毒性は、重大な症状で命に関わるため、緊急治療が必要です。 ビタミンDを含んだ合成物を誤飲した場合、最初の72時間は救命治療が必要です。 また、その後も長期入院が必要となり、非常にコストがかかると覚えておいてください。 ビタミンD過剰症を防ぐために
もしもウサギやリスなどの齧歯類を一緒に飼っている場合は必ず遠ざけて その餌を間違って食べたりしないように、厳重な注意が必要です。 バランスのとれた食事をあげて、ビタミンDサプリメントをあげないで下さい。 (総合サプリメントで他の栄養素とバランスよく配合されているものはOK)
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これからは本格的な夏、真っ盛り! これからの時期はとにかく「食欲を落とさないこと」 これが一番大切です。
我が家のCoCoっちもしっかり食べてますよ~!ちょっと食べ過ぎ注意報なのはチュ~ちゃん譲りかな?
みんなバテないようにしっかり食べてしっかり寝て毎日を気持ちよく元気に過ごしましょうね!
Jul.2014
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